【花札】各月に描かれた絵柄(動植物)の意味と由来 一覧|旧暦の読み方と語源つき

花札

 この札に描かれた

 絵柄は何だろう? 

花札で実際に遊んだことがある人なら、こんな風に思った人もいるかもしれません。

たしかに、花札の絵札に描かれている植物や動物はとても気になりますよね。

花札には「ピンきり」「しかと」など、ゲームから生まれた言葉が数多く存在し、さらに絵柄それぞれにも様々な意味・由来があって非常に興味深いものです。

本記事では、以下の内容を簡単にまとめております。

各月ごとの絵札に描かれた動植物の意味や由来の解説
旧暦の由来・語源に関する簡単なまとめ

なお、絵札の動植物に関するより詳しい内容と、旧暦の由来・語源の詳細については別記事にまとめていますので、そちらをご参照ください。

※絵札の動植物の詳細記事は、各月の末尾に関連記事としてリンクを貼っています。

▼旧暦の月名(和風月名)の由来・語源を詳しく知りたい方はこちら▼

【日本文化】旧暦の月名の読み方と由来・語源|和風月名で知る季節の彩り

それでは最後まで読んで、花札の雑学知識を身につけていきましょう。




【1月】睦月(むつき)~松に鶴~

1月札4枚、左から「松に鶴」「松に赤短」「松のカス」×2
『松に鶴(20点)松に赤短(5点)松のカス(1点)松のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
「鶴」は本来、湿原や平地などに生息する鳥なので、「松」に止まるようなことはありません。では、なぜこの札の「鶴」は「松」に止まっているのでしょうか?

実はこれは、実際の様子を描いたものではないのです。

古くから「鶴」は、白い羽と老人の白髪をかけて、「松」「亀」に続く「長寿の象徴」とされていました。また「松」も同様に、冬でも緑生い茂る常緑樹という性質から「不老長寿のシンボル」と言われてきました。

そういった経緯から、同じ「長寿」同士の「松」と「鶴」がペアで1月の札に描かれ、そこに縁起担ぎ的なニュアンスが込められるようになったのです。

ちなみに、短冊の「あかよろし」「明らかに良い、実にすばらしい」の意味です。「あのよろし」ではないので注意して下さい。「の」の上に「丶」をつけて「か」と読む、いわゆる「変体仮名」です。

睦月(むつき)の語源

由来・語源にはいくつかの説がありますが、最も有力なのは「睦み月(むつみづき)」が転じたというものです。「睦」には、「親しく仲が良い・仲睦まじい」という意味があり、正月に家族や親戚と仲睦まじく過ごすことからこの漢字があてられました。

【2月】如月(きさらぎ)~梅に鶯(うぐいす)~

2月札、左から「梅に鶯」「梅に赤短」「梅のカス」×2
『梅に鶯(10点)梅に赤短(5点)梅のカス(1点)梅のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
漢詩で花と言ったら「梅の花」を指すように、「梅」は古くから中国の代表花とされてきました。その後、「万葉集」や「古今和歌集」などにも用いられるようになり、日本を象徴する美しい花として広く世間に広まりました。

「鶯(うぐいす)」も日本を代表する鳥の一つで、その特徴的な鳴き声は誰もが知っているかと思います。

この2つがペアで描かれているのは、手紙の挨拶文にも添えられる「梅鶯(ばいおう)の候」という言葉にあるように、両者が美しく調和する取り合わせだと考えられていたからです。

ちなみに、「うぐいす」の体色は薄茶色なので、描かれている緑の鳥は「うぐいす」ではなく「めじろ」です。

現代において、一般的に「うぐいす色」と言ったら「緑」を連想してしまうように、当時の人々も、緑の鳥は「うぐいす」であると勘違いしていたのでしょう。

如月(きさらぎ)の語源

読みの由来・語源として最も有力なのが、「衣更着(きさらぎ)」が転じたという説で、「衣更着」とは、「厳しい寒さにそなえて衣服を重ね着すること」を指します。ちなみに、漢字で「如月」と書くのは、中国において2月をさす言葉が「如月」だったからです。




【3月】弥生(やよい)~桜に幕~

3月札、左から「桜に幕」「桜に赤短」「桜のカス」×2
『桜に幕(20点)桜に赤短(5点)桜のカス(1点)桜のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
「幕」は満開の「桜」の下に描かれた幔幕(まんまく=横に伸びた長い幕)を示し、「花見席」を表現しています。また、幔幕(まんまく)の「まん」と桜の満開(まんかい)の「まん」は「頭韻」を踏んでいます。

札の「みよしの」は桜で有名な奈良にある吉野山を敬った言葉で、「みよしの」の由来は、後鳥羽上皇の和歌(『みよしのの  たかねにさくら  ちりにけり  あらしもしろき  はるのあけぼの』)にあります。

弥生(やよい)の語源「いや(弥)」には「いよいよ、ますます」という意味、「おい(生)」には「草木が芽吹く(生い茂る)」という意味があり、この時期になると、「草木がだんだん(弥)と芽吹いてくる(生)」ので、「弥生」という漢字があてられました。

【4月】卯月(うづき)~藤に不如帰(ほととぎす)~

4月札、左から「藤に不如帰」「藤に短冊」「藤のカス」×2
『藤に不如帰(20点)藤に短冊(5点)藤のカス(1点)藤のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
描かれているのは植物の「藤」「不如帰(ほととぎす)」です。

昔から和歌の中で、「藤」と「ほととぎす」はセットで詠まれていました。それは「藤」の咲く頃に「ほととぎす」が鳴き出すからです。

藤は別名「青豆」「黒豆」とも呼ばれ、気品ある薄い青紫色の花を咲かすことから「藤色」の由来にもなっています。

また、樹齢が長いことから「長命の象徴」として日本人に古くから愛されてきました。

卯月(うづき)の語源由来・語源としては、「卯の花(ウツギの白い花)が咲く時期だから」という説や、「稲を植える」という意味の「植月(うえつき)」が転じて「うづき」となったなどの説があります。




【5月】皐月(さつき)~菖蒲(しょうぶ・あやめ)に八橋~

5月札、左から「菖蒲に八橋」「菖蒲に短冊」「菖蒲のカス」×2
『菖蒲に八橋(10点)菖蒲に赤短(5点)菖蒲のカス(1点)菖蒲のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
描かれているのは「菖蒲(しょうぶ・あやめ)」ではなく「杜若(かきつばた)」で、「いずれ菖蒲か杜若」という故事があるように、その花のかたちはとてもよく似ています

しかし、実際の菖蒲(しょうぶ・あやめ)の花は、花弁の白い部分が網目(文目=アヤメ)模様になっているので、普通ならば違いがすぐにわかります。

おそらく、「菖蒲(しょうぶ)」とゲームの「勝負(しょうぶ)」を掛けるという洒落(しゃれ)た図らいから、故意にそうなっているのでしょう。

「八橋(やつはし)」三河(愛知県)にある「八つ橋」という地名が起源で、「伊勢物語」の在原業平らころも つつなれにし ましあれば るばるきぬる びをしぞおもふ」と詠んだことでも有名です。

ちなみに、この和歌は「折句(おりく)」とも呼ばれ、頭文字をとると「か・き・つ・は・た」になります。

皐月(さつき)の語源「さ」が古語で「耕作」を意味し、そこから稲作の月として「さつき」と呼ばれるようになったというものや、「早苗を植える月」という意味の「早苗月(さなえづき)」が転じたなど諸説あります。

【6月】水無月(みなづき)~牡丹(ぼたん)に蝶~

6月札、左から「牡丹に蝶」「牡丹に青短」「牡丹のカス」×2
『牡丹に蝶(10点)牡丹に青短(5点)牡丹のカス(1点)牡丹のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
札に描かれているのは「牡丹(ぼたん)と蝶」です、「バラ」ではありません。

「牡丹(ぼたん)」は別名「百花の王・富貴花・深見草」とも呼ばれ、幸福・高貴を象徴する高尚な花とされていました。

また、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言う言葉があるように、安定感をもって落ち着いて座っている女性の形容にも使われます。

「蝶」は「回生・復活」の象徴でもあり、古来から死や霊と結びつけらることの多い不吉な存在でした。

しかし日本では逆に、その美しく変容していく姿が、華やかに変容する女性の生き方に似ていると考えられて、着物や振り袖の文様などに広く使われています。

ちなみに、蝶は上図のように牡丹の上側をとんでいるのが正しい向きなので、間違って逆に置かないようにして下さい。

水無月(みなづき)の語源「水の無い月」と書きますが、実際に水が無いわけではなく、ここでの『無』は「神無月(かんなづき)」の『無』と同じように、連体助詞の『の』を示します。つまり、「水無月」とは「水の月」という意味です。旧暦の6月は、田んぼに水を引く季節で、そこから「水の月」⇨「水無月」となった考えられています。




【7月】文月(ふみづき)~萩(はぎ)に猪(いのしし)~

7月札、左から「萩に猪」「萩に短冊」「萩のカス」×2
『萩に猪(10点)萩に短冊(5点)萩のカス(1点)萩のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
描かれているのは植物の「萩(はぎ)」「猪(いのしし)」です。

「萩(はぎ)」は秋の七草の一つ「赤豆」と呼ばれ、花が咲く秋のお彼岸には「おはぎ(お萩)」を食べる風習があります。

また「萩」は「猪(いのしし)」の寝床でもあり、優しげな相好の「萩」と、野生的でどこか荒々しい「猪(いのしし)」が対比して描かれています。

文月(ふみづき)の語源短冊に歌や文字を書いて書道の上達を祈願する七夕の行事にちなんだ「文被月(ふみひらづき)」がその名の由来とされています。

【8月】葉月(はづき)~芒(すすき)に月・雁(かり)~

8月札、左から「芒に月」「芒に雁」「芒のカス」×2
『芒に月(20点)芒に雁(10点)芒のカス(1点)芒のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
十五夜(8/15)のお月見の日に、秋の七草の「芒(すすき)」を飾ることが絵柄の由来で、「雁(かり)」は秋の鳥でもあります。

この札は別名「坊主」(黒い山が坊主頭に見える)とも呼ばれています。

葉月(はづき)の語源由来・語源としては、「葉の落ちる月」という意味の「葉落ち月(はおちづき)」が転じたという説や、「稲の穂が張る月」という意味の「穂張月(ほはりづき)」が変化したなどの説があります。




【9月】長月(ながつき)~菊に盃(さかづき)~

9月札、左から「菊に盃」「菊に青短」「菊のカス」×2
『菊に盃(10点)菊に青短(5点)菊のカス(1点)菊のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
描かれているのは「菊と杯(さかづき)」です。

「菊」は別名「千代見草(ちよみぐさ)」「翁草(おきなぐさ)」「齢草(よわいぐさ)」とも呼ばれ、健康効果が高いことから、「重陽の節句(9月9日)」不老長寿を願ってお酒に浮かべて一緒に飲む風習があります。

また、皇室の家紋が「菊紋」であるように、「菊」は古くから天皇家に愛された格式高い植物で、今でも皇族には菊を鑑賞する習慣が残っています。

長月(ながつき)の語源秋分を過ぎるとしだいに日が短くなって夜が長くなることから「夜長月(よながづき)」と呼ばれるようになり、これが転じて「長月(ながつき)」となったというのが一番有力な説です。

【10月】神無月(かんなづき)~紅葉(もみじ)に鹿~

10月札、左から「紅葉に鹿」「紅葉に青短」「紅葉のカス」×2
『紅葉に鹿(10点)紅葉に青短(5点)紅葉のカス(1点)紅葉のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
秋の「紅葉(もみじ)と鹿」は、2月の「梅とうぐいす」の時と同じように、縁起の良い取り合わせだと考えられています。

ちなみに、この札の鹿がそっぽを向いていることが由来となって「しかと(鹿十)」という言葉が生まれました。

神無月(かんなづき)の語源旧暦の10月は、全国の八百万(やおろず)の神さまが出雲大社に集まる時期で、出ていってしまった国には神さまがいなくなるので「神無月(かんなづき)」と呼ばれるようになりました。




【11月】霜月(しもつき)~柳に小野道風(おののみちかぜ)~

11月札、左から「柳に小野道風」「柳に燕」「柳に短冊」「柳のカス」
『柳に小野道風(20点)柳に燕(10点)柳に短冊(5点)柳のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
真ん中にいる男性は「小野野道(おののみちかぜ)」で、彼が、柳につかまる「蛙」を眺めているところが札に描かれています。

素札(図の一番右)は別名「鬼札」と呼ばれ、柳は「雨」とも呼ばれています。

「雨」と呼ばれる理由は、道風が傘をさしているからとか、柳が雨になびいているからとか諸説ありますが、はっきりとは分かっていません。

霜月(しもつき)の語源由来・語源として最も有力なのが、「霜の降りるくらい寒い月」という意味の「霜降り月(しもふりつき)」が転じたという説で、これ以外にも、「作物の収穫を『もの神』に感謝して食す」という意味の「食物月(おしものつき)」が変化したなどの説があります。

【12月】師走(しわす)~桐(きり)に鳳凰(ほうおう)~

12月札、左から「桐に鳳凰」「桐のカス」×3
『桐に鳳凰(20点)桐のカス(1点)桐のカス(1点)桐のカス(1点)』

▼絵札の意味・由来▼
中国神話の架空の霊長「鳳凰(ほうおう)」「青桐(あおぎり)」にとまっていたという伝説が絵柄の由来です。

「最上から最下まで」もしくは「最初から最後まで」を意味する「ピンきり」という言葉は、この札の「桐(きり)」がもとになって生まれました。

師走(しわす)の語源師走(しわす)の由来としては、この時期に先祖供養のために師(お坊さん)が忙しく走り回っていたからというものや、一年の最後の月として「今年やりとげることを全部する」という意味を持つ「為果(しは)つ」が変化したというもの、さらには、「四季の終わり」を意味する「四極(しはつ)」が転じたなど、諸説あります。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

普段何気なく遊んでいるゲームの花札も、このように別の視点から見てみると意外と面白いものです。

各月札に描かれた動植物についてさらに深堀りすれば、まだまだ派生的に知識は広がっていくので、より詳しく知りたいと思った方は、各月にある関連記事もチェックしてみてください。

本記事以外にも、花札の遊び方や歴史、スマホ花札アプリなどに関する記事も投稿しています。興味のある方は下のリンクも合わせてどうぞ。

 最後までお読みいただき
 ありがとうございました 

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