【花札4月①】「藤(フジ)」の特徴・種類と花言葉|マメ科植物に学ぶ『マメ』知識

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんちにちは、

 りんとちゃーです。

たおやかで良い香りを放ち、木に巻きつく姿から、愛する男性を慕って離れない女性を想起させる植物の「藤(フジ)」

花札4月札(左から順に「藤に不如帰」「藤に短冊」「藤のカス」「藤のカス」)
(左から順に「藤に不如帰(ほととぎす)」「藤に短冊」「藤のカス」「藤のカス」)

紫色の花を咲かせることから花札の中で「黒豆」と表される「藤」は、これからの春の時期に日本全国で鑑賞することができます。

また、人気アニメ「鬼滅の刃」の作中で、鬼が嫌う特別な植物として登場したこともあって、「藤」の花にあらためて興味・関心を持つようになった人も多くいるようです。

そんな不思議な魅力のある「藤」について、以下のことを記事にまとめました。

藤の生態と特徴・種類
藤の名前と花言葉の由来
藤の名所と藤紋、マメ科植物の毒性について

マメ科フジ属に分類される「藤」の『マメ』知識を順に学んでいきましょう。

※「藤」と一緒に描かれている「ホトトギス(不如帰)」については別記事でまとめています(下記事参照)。




藤(フジ)

たおやかに垂れ下がるうす紫の藤(フジ)の花

■基本データ


分類:マメ科フジ属

学名:Wisteria floribunda

英名:Japanese wisteria

和名:藤(ふじ)
別名:野田藤(ノダフジ)

原産地:アジア、北米、ヨーロッパ

開花時期:4~5月

特徴

マメ科ツル性落葉低木の「藤(フジ)」は、蝶(チョウ)のような形のうす紫色の小花を房状につけ、その花穂は長くしだれて20~80cmにもなります。また、花の色である「藤色(ふじいろ)」色名の由来にもなっていて、花の後には10~20cmくらいの実を結びます。

(※1)藤色・・女性の衣服である襲(かさね)の色目にもなっている色。派生色に「藤紫」「大正藤」などがある。

ちなみに「藤」は、縁起物の木としても有名で、樹齢がとても長く、数百年のものから千年を超える長寿の木も存在するそうです。

種類

古来から様々な品種が作られてきた「藤」には、「ノダフジ」「ヤマフジ」の2系統の種類があり、両者の違いをまとめると以下のようになります。

ノダフジ(Wisteria floribunda)※2)・・近畿より西部の西日本に自生。淡いうす紫色の花を咲かせ、その花穂は長く垂れ下がる。一般的に「藤」と言えばこの「ノダフジ」を指す。ツルの巻き方は右巻き

ヤマフジ(Wisteria brachybotrys)・・北海道以外の全域に自生。濃い紫の花を咲かせ、花穂は短くずんぐり型。ツルの巻き方は左巻き

ここで言う「右巻き」「左巻き」は、植物を上から見下ろしたときのツルの巻き方を表したものですが、厳密な定義があるわけではありません。そのため、本によっては逆に表記される場合もあります。

実際、学校の授業では、かつて「左巻き」の植物だと教えられていたアサガオを「右巻き」と教わるそうで、これは、現在では「上から見下ろしたときの巻き方」ではなく、「根本から先端を見上げたときのツルの巻く方向」を見てとらえるのが一般的だからです。

(※2)「ノダフジ」の下位分類に、花が白色の「シロバナフジ」、花穂が長く別名『六尺藤』と呼ばれる「ノダナガフジ」、『桃色藤』の異名がある「アカバナフジ」、花弁の先が淡い赤色で『口紅藤』と呼ばれる「アケボノフジ」、濃い紫色の八重咲きをする品種で『八重黒竜』の名を持つ「ヤエフジ」などがある。

由来・語源

「藤(フジ)」の名前(漢名と和名)の由来には諸説あり、これといった定説はありませんが、一般的なものは次の2つだと言われています。

中国名のシナフジ説・・シナフジを漢字にすると「紫藤」となり、ここから「紫」がとれて、今でいう「藤」になった。
フキチリ説・・風に吹かれて舞い散る花のことを「フキチリ(吹散)」と呼び、これが略されて「フジ」になった。

ちなみに、「藤」の学名「Wisteria floribunda」の「Wisteria(ウィステリア)」は、アメリカの解剖学者カスパール・ウィスター(Caspar Wistar)の名前からとったもので、 「floribunda(フロリバンダ)」花が多いという意味。フジの別名である「野田藤(ノダフジ)」は、フジの名所である大阪市福島区の「野田藤(=摂津国野田の藤の宮)」に由来します。




花言葉

気品よく咲く藤(フジ)の花

「藤」の花言葉には次のようなものがあります。

花言葉

歓迎、優しさ、佳客、恋に酔う、決して離れない、忠実

それぞれの言葉には由来があって、「歓迎・優しさ・佳客」は、藤の花が頭を下げている様子が、客をもてなす女性のように見えたことから、「恋に酔う」は、源氏物語の恋に陶酔する藤壺を由来に、「決して離れない・忠実」は、藤のツルが藤棚にしっかりと巻き付いて離れないところからきています。

ちなみに、最後の藤の巻き付く習性に関しては、「一度巻き付いたら二度と離れない」というように執着・強い愛情の象徴と捉えられることもあり、場合によってはネガティブな意味合いを持ちます。

藤の名所

「藤」の開花時期は4月下旬~5月上旬で、日本各地で「藤棚(ふじだな)」(※3)や「藤トンネル」を見ることができます。

(※3)藤棚・・藤のツルをはわせて、垂れ下がる藤の花を鑑賞できるようにした棚のこと。日当たりの良い公園や庭園などに設置されている。

大阪市福島区の「野田藤」や埼玉県春日部市春日大社の「牛島の藤」、栃木県の「あしかがフラワーパーク」などの有名なスポットが全国にあるので、ぜひ足を運んでその美しい姿を鑑賞したいところです。

藤紋

長寿で繁殖力が強い「藤」は、縁起の良い植物として古くから家紋に用いられてきて、奈良時代から鎌倉時代にかけて栄華を誇った藤原氏が、自身の名にちなんで、「藤紋(ふじもん)」と呼ばれる「家紋(丸に下り藤)」を作ったことでも知られています。

ちなみに、「藤紋」「五大紋(ごだいもん)」の一つであり、「五大紋」とは、日本に存在する3000以上の家紋のうち、特に多く使用されている「鷹の羽紋(たかのはもん)」「木瓜紋(もっこうもん)」「片喰紋(かたばみもん)」「桐紋(きりもん)」「藤紋(ふじもん)」の5つのことを指します(下記イラスト参照)。

五大紋

各紋の特徴は以下の通りです。

●鷹の羽紋・・「鷹の羽」は和弓に用いる矢羽根の材料。尚武的な意味のある鷹紋と同じ意味合いでこの「鷹の羽紋」を用いる。

●木瓜紋・・瓜を輪切りにした断面や鳥の巣を図案化したもの。子孫繁栄の意味合いがあり、有職文様(公家の装束・調度に用いられる文様)の一つでもある。

●片喰紋・・「片喰」は、カタバミ科カタバミ属の多年草で、繁殖力が強いことから子孫繁栄の縁起担ぎとして家紋に用いられている。

●桐紋・・ゴマノハグサ科の樹木である桐を図案化したもの。日本国政府の紋章として使用されている。

●藤紋・・藤の垂れ下がる花と葉を藤の丸にして図案化したもの。「上り藤」「下り藤」「利久藤」などがある。

藤の毒性

かごからこぼれ出た白いインゲン豆

アニメ「鬼滅の刃」の作中で、鬼除けに使ったり、その毒で鬼を退治したりと、鬼が嫌う特別な植物として登場する「藤(フジ)」。

発音が「不二」「不死」に通ずるということで、昔から魔除けの力がある植物だと考えられていた「藤」は、マメ科の植物なのでその種子に毒性があります。

大豆をはじめとしたマメ科の植物には、「レクチン」(※4)と呼ばれる有毒成分が含まれていて、多量に食べると吐き気や頭痛、めまいの症状があらわれ、重症化すると胃腸炎を引き起こします。

(※4)レクチン・・細胞の表面の糖鎖に結合しやすいタンパク質の総称のこと。すべての動植物に何らかのかたちで含まれていて、特定の植物の「レクチン」は人間の身体へ害を及ぼす可能性があると考えられている。例:豆類(大豆、インゲン豆)やナス科野菜(ナス、トマト、ジャガイモ)など。

ただし、豆製品は通常、加熱して食するものなので、一般的には無毒化されて問題になることはありません。とはいえ、このことを知らずに生の豆を多量に食べて中毒症状になるケースも中には存在するので、大豆や枝豆・インゲン豆などを食べる際には、きちんと火を通すようにしましょう。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

では、最後に内容をおさらいしましょう。

マメ科ツル性落葉低木の「藤(フジ)」は、蝶(チョウ)のような形のうす紫色(藤色)の小花を房状につけ、その花穂は長くしだれる

「藤」には「ノダフジ」「ヤマフジ」の2系統の種類があり、両者はツルの巻き方(右巻きか左巻きか)で見分けられる。
「藤(フジ)」の名前の由来は、中国名の「シナフジ(紫藤)」と、風に散るという意味の「フキチリ(吹散)」にある。

日本各地に「藤の名所」(大阪市福島区の野田藤など)があり、「藤棚」や「藤トンネル」を鑑賞することができる。

「藤」は古くから家紋に利用されてきて、有名な紋としては藤原氏の「藤紋(丸に下り藤)」があげられる。
藤をはじめとするマメ科植物には「レクチン」という有毒性分が含まれ、生のものを多量に食べると中毒症状を引き起こす。

これからがちょうど開花時期の藤の花。

全国各地でその姿を見ることができ、藤の名所と言われる場所では「藤まつり」と呼ばれる花のおまつりが開催されています。

特に、夜間にライトアップされた藤は幻想的な美しさがあっておすすめなので、ゴールデンウィークなどに、各地のスポットへお出かけしてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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