【花札4月②】ホトトギスの生態と托卵の習性|和歌や俳句・戦国武将に詠まれた夏鳥

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

花札4月札の絵柄として、「藤(フジ)」とともに描かれている「ホトトギス」

花札4月札(左から順に「藤に不如帰」「藤に短冊」「藤のカス」「藤のカス」)
(左から順に「藤に不如帰(ホトトギス)」「藤に短冊」「藤のカス」「藤のカス」)

夏を代表する渡り鳥である「ホトトギス」は、カッコウと非常に良く似た外観をしていて、「種間托卵(しゅかんたくらん)」という一風変わった習性を持っています。また、夏の季語でもある「ホトトギス」は、万葉集や和歌・俳句などのモチーフとしても頻繁に登場します。

記事では、以下のことをまとめています。

ホトトギスの生態と特徴、托卵の習性
漢字表記・異名の由来・語源

和歌・俳句の中のホトトギスと戦国武将の名句

それでは、日本を代表する夏鳥「ホトトギス」の雑学を一緒に学んでいきましょう。

※「ホトトギス」と一緒に描かれている植物の「藤(フジ)」については別記事でまとめています(下記事参照)。




ホトトギス

樹の上で周囲を伺うホトトギス(不如帰)

■基本データ


分類:カッコウ目カッコウ科

学名:Cuculus poliocephalus

和名:ホトトギス

漢名・異名:不如帰、時鳥、子規、杜鵑、郭公など

英名:Lesser Cuckoo

生息地:中国、インド、アフリカなど

食性:蛾の幼虫や昆虫などを好む

生態・特徴

5月頃に日本に渡来することから、夏を代表する渡り鳥と言われている「ホトトギス」

その外観はカッコウに非常によく似ていて、体長は約28cm、背中は青灰色で羽は黒褐色、腹部が白っぽく縞模様があり、目の周りに黄色いアイリングがあります。

「キョ、キョ、キョキョキョキョ」といったユニークな鳴き声が特徴的で、地域によっては鳴き声を「本尊かけたか」「テッペンカケタカ」「特許許可局」などに聞きなす(=鳥のさえずりを人の言葉に置き換える)こともあります。

ホトトギス(不如帰)のイラスト

 ぼくの鳴き声は

 こんなのだよ↓↓

習性

巣に入った2つの卵

「ホトトギス」は、「托卵(たくらん)」(※1)という少し変わった習性を持っており、ウグイスの巣に自分の卵を産んで、ウグイスに子どもを育てさせます

(※1)托卵・・他の生物に自分の子どもを育てさせる習性のことで、同種の別の親に自分の子どもを育てさせる「種内托卵(しゅないたくらん)」と、異なる種の親に自分の子どもを托す「種間托卵(しゅかんたくらん)」の2種類がある。ホトトギスの「托卵」はこの「種間托卵」。

ちなみに、托卵されたホトトギスの卵はウグイスの卵より先に孵(かえ)り、産まれたホトトギスの子どもによって、周りのウグイスの卵は捨てられてしまいます。結果、ウグイスは、ホトトギスの子どもを自分の子どもだと思い込んで世話をすることになるのです。




由来・語源

20以上あると言われる「ホトトギス」の異名・漢字表記のうち、代表的なものの由来・語源を以下にまとめました。

ホトトギス

和名の「ホトトギス」は、ホトトギスの鳴き声「ホトホト」に、鳥を意味する接尾語「ス」をつけたものが由来だとされています。

時鳥

ホトトギスが渡来する時期がちょうど田植えを開始する頃で、田植えを告げる鳥という意味で「時鳥(ときつどり)」と呼ばれています。また、同様の意味合いで「勧農鳥(かんのうちょう)」「早苗鳥(さなえどり)」と呼ばれることもあります。

不如帰

古代中国の蜀の王であった「杜宇(とう)」が、ある時、悪行をおかしたという理由で王位の座を退位させられます。その後、「杜宇」は復位を強く願うのですが、全く聞き入れてもらえず、心ならず国を離れることになります。その時に彼が、泣きながら「国へ帰りたい=帰るに如かず」と嘆いたという逸話「不如帰」の語源になっています。

子規

「不如帰」という言葉が、ふるさとを離れた旅人に「帰心(=故郷に帰りたいと思う心)」を想起させることから「不如帰」「思帰(しき)」に変化し、さらにそれが転じて「子規(しき)」となったと考えられています。

ちなみに、正岡子規の名前の「子規」もこの異称からとったもので、血を吐いたような赤い口のホトトギスの姿を、結核による吐血で苦しむ自身の姿と重ね合わせたものだと言われています。

和歌と俳句

明け方の空にぼんやり浮かぶお月さま

夏の季語にもなっている「ホトトギス」は、万葉集や和歌・俳句などにも頻繁に登場します。ここでは、その中の代表的な3首を例にあげたいと思います。

『ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば ただ有明(ありあけ)の 月ぞ残れる』 ――後徳大寺左大臣

百人一首の選者である藤原定家(ふじわらのさだいえ)のいとこである藤原実定(ふじわらのさねさだ)の歌で、百人一首(81)にも詠まれています。

意味は、「ホトトギスの鳴いたほうを眺めてみるがその姿は見えず、ただ明け方の月が淡く空に残っているだけだ」となります。

『目には青葉 山ほととぎす 初鰹』 ――山口素堂

この句を詠んだ山口素堂(やまぐちそどう)(1642~1716)は江戸中期の俳人です。

夏の季語が3つ含まれる「季重なり」は、一般的に俳句の世界では「禁じ手」と言われていますが、それでもこの句が成立しているのは、「目に鮮やかな青葉」「美しい鳴き声のホトトギス」「美味しい初がつお」といった「初夏の新鮮さ」を象徴する3つを、作者がありのままに受け止め、あふれんばかりに喜びを表現しているからでしょう。

『帰ろふと 泣かずに笑へ 時鳥(ほととぎす)』 ――夏目漱石

正岡子規の大親友であった夏目漱石が、入院中の子規を見舞った際に詠んだ有名な句です。2人の間の深いつながりと、漱石から子規への励ましのメッセージが強く読み取れます。

戦国武将とホトトギス

部屋に置かれた由緒ある刀

戦国時代を代表する三大武将の「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」

彼ら3人の性格・人間性を端的に表した有名な川柳「ホトトギスの句」というものがあり、これらの句は江戸時代後期の平戸藩主・松浦静山が書いた随筆「甲子夜話(かっしやわ)」の中に登場します。

以下は、3武将の「ホトトギスの句」の簡単なまとめです。

『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』 ――織田信長

▶▶鉄砲などの革新的武器をいち早く取り入れ、軍事に改革を起こしたことでも知られる織田信長の、気難しく短気でどこか残虐性のある性格を象徴する句です。

『鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス』 ――豊臣秀吉

▶▶知略家であり人心掌握術に長けていた豊臣秀吉。農民から天下人へと知恵を駆使して成り上がった、彼の要領の良さをこの句は端的に示しています。

『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』 ――徳川家康

▶▶長きに渡る江戸幕府の礎を切り開いた初代将軍の徳川家康。堅実で忍耐強く、天下が取れる時期まで辛抱強く待ち続けたという彼の性格を上手く表現している句です。




おわりに

いかがでしたか。

名前は非常に有名な「ホトトギス」ですが、詳しい生態など意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。

では、内容をおさらいしましょう。

夏を代表する渡り鳥である「ホトトギス」は、鳴き方が非常に特徴的で、その外観はカッコウに非常に良く似ている。
「ホトトギス」は、自分の子どもを他の生物に育てさせる「種間托卵」の習性を持っていて、育て親として「ウグイス」を選んでいる。
「ホトトギス」の異名・漢字表記には、「時鳥」「不如帰」「子規」など多数存在し、それぞれに由来・語源がある。
夏の季語でもある「ホトトギス」は、和歌・俳句などでよく用いられている。

戦国時代の三英傑「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」の性格を端的に表現した「ホトトギスの句」という有名な川柳がある。

ホトトギスは、古くから日本人に愛されてきた鳥で、今回ご紹介した以外にもたくさんの歌が詠まれているので、興味・関心を持たれた方はぜひ調べてみてください。

また、自然の多い所に行った際に、ホトトギスの声や姿を探してみるのも風情あっていいかも知れませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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