【花札9月】「菊に盃(さかずき)」で汲み取る知識の雫|高貴な菊紋と重陽の節句

花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。 

花札9月札に描かれている「菊(きく)」「盃(さかずき)」

花札9月札「菊に盃」

その絵柄のモチーフとなっているのは、五節句の一つである「重陽(ちょうよう)の節句」の菊酒(きくざけ)の風習です。

また、「菊」は古くから格式高く・高貴な植物であると考えられていて、皇族の紋章に使われたり、仏さまの供え花として重宝されてきました。

記事では、以下のことをまとめています。

菊の生態と名前の由来
天皇家の「菊花紋章」と「十六八重表菊」について
「重陽(ちょうよう)の節句」の由来とその行事

菊について楽しく学んで、格調高き「菊」の恩恵にあずかりましょう。




菊の生態・由来

淡い黄色が美しい小菊

キク科キク属の「菊(きく)」は、主に観賞・葬儀用に使われる多年生植物で、平安時代に中国から日本に伝わってきました。

花弁が密集した姿をしているのが特徴で、花の色は黄色が主流(一部は赤や白色)。開花時期は8~10月頃になります。

菊の名前の由来は以下の2説が有力です。

①日本に伝来した時の呼び名「クク」「キク」に変化した説。
②一年の最後に咲く花なので、日本語の「行き詰まり」と同じ意味を持つ「極(きわ)まる」が語源となった説。

ちなみに、学名の「chrysanthemum」は「黄金の花」という意味で、ギリシャ語の「chrysas=黄金」「anthemon=花」が語源となっています。

 たんぽぽやひまわり、

 マリーゴールドも

 菊の仲間だよ。

菊の紋章

ガラス玉とパスポート

菊は古くから格式高く・高貴な植物であると考えられていて、その特性から皇室や皇族の紋章として用いられてきました。

日本で最初に菊紋を用いたのは後鳥羽上皇で、現在天皇家で用いられているのは「菊花紋章」(通称:菊花紋)と呼ばれる菊紋です。

また、この「菊花紋章」と非常によく似た菊紋に、八重桜を図案化した「十六八重表菊」(通称:十六菊)というものがあり、こちらはパスポートの表紙にも描かれています。

十六八重表菊

画像:『十六八重表菊』

菊の花言葉の「高尚」「高貴」は、こういった菊の「格式・格調高さ」が影響して生まれたと考えられていて、さらにこの意味合いを汲んで、仏さまに最高の敬意を払うために、葬式の際に菊の花をお供えするようになったと言われています。




重陽の節句とは

お刺身と日本酒

旧暦9月9日に行われる「重陽(ちょうよう)の節句」(別名:菊の節句)は、五節句の一つで、秋の収穫を祝うとともに、お神酒(みき)に菊を添えて無病息災や不老長寿を願う伝統的な行事です。しかし、他の節句に比べてあまり馴染みがないせいか、最近では知らないという人も多いようです。

古来中国から、菊酒(きくざけ)には邪気払いや延寿の効果があると考えられていて、この風習が平安時代に日本に伝わり、貴族の宮中行事としてこの「重陽の節句」が取り入れられるようになりました。

ちなみに、「重陽の節句」の「重陽」とは「陽数が重なる」という意味で、「陽数」とは「奇数」のことです。

中国の陰陽学においては、奇数は良いことをあらわす「陽数」、偶数は悪いことをあらわす「陰数」を示していて、陽数の重なる日はめでたい反面で不吉なことが起きる日であると考えられていました。

そのため、陽数の重なる「五節句」には邪気払いの儀式が行われるようになり、その中でも一番大きな陽数(9)が重なる9月9日のことを陽が重なる「重陽」の節句と定め、不老長寿や繁栄を願うようになりました。

■豆知識『五節句(ごせっく)』


節句(せっく)とは、年中行事をおこなう季節の重要な節目のことで、江戸時代に公的に定められた5つの節句(下記参照)のことを特に「五節句」と言います。

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人日(じんじつ)の節句(1/7)

・・別名「七草の節句」。邪気払いと薬効のある七草粥を食べて無病息災を祈願します。
上巳(じょうし)の節句(3/3)

・・別名「桃の節句」。女の子の健やかな成長を祝う日で、お雛様を飾ったり、桃の花・菱餅を供えたりします。
端午(たんご)の節句(5/5)

・・別名「菖蒲の節句」。男の子が勇ましく丈夫に育つことを願う日で、粽(ちまき)や柏餅を食べたり、鯉のぼりをあげたりします。
七夕(しちせき)の節句(7/7)

・・別名「笹の節句」。天に伸びる神聖な笹に短冊を結んで願いを託します。
重陽(ちょうよう)の節句(9/9)

・・別名「菊の節句」。長寿の効果がある菊酒を飲んだり、菊の花を鑑賞したりします。

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重陽の節句の行事

グミの実

重陽の節句に関係する行事・風習の中で、比較的有名なものをご紹介します。

菊酒(きくざけ)

蒸した菊の花びらを器に入れて冷酒をそそぎ、一晩置いて香りを移すことで出来上がるのがこの「菊酒」で、菊を鑑賞しながらこのお酒を飲むと長寿になると言われています。

現代においては、菊の花びらを散らした杯(盃)に冷酒をそそいで飲むのが主流です。

 花札9月札の絵柄の

 モチーフとなったのが

 この風習だよ。

菊湯・菊枕(きくゆ・きくまくら)

邪気払いの効果がある菊を湯船に浮かべた「菊湯」に入ったり、乾燥した菊の花びらを詰めた「菊枕」で眠ったりします。

着せ綿(きせわた)

前日の晩に菊に綿を被せ、9日の朝に夜露と香りの染み込んだ綿で身体を拭いて、不老長寿を願います。

茱萸嚢(しゅゆのう)

呉茱萸(ごしゅゆ)の実を緋色の袋に入れた、いわゆる「茱萸嚢(しゅゆのう)」を、魔除けのために身に着けたり飾ったりします。

■豆知識『くんち』


「おくんち」にナスを食べると中風にならない』という言い伝えが古くからあり、重陽の節句の時期には、焼きナスなどのナス料理が好んで食されました。(※中風とは発熱・悪寒・頭痛などの症状の総称のこと)

ちなみに「くんち」(9日がなまったもの)とは、収穫を祝うための秋祭りのことで、旧暦9月9日に行われることがその名の由来です。有名な「くんち」としては、九州の「長崎くんち」「唐津くんち」などがあります。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

では、最後に内容をおさらいしましょう。

黄色の花が特徴の「菊(きく)」の名前の由来には、伝来当時の呼び名の「クク」が変化したという説と「極まる」が語源になったという説がある。

高貴さの象徴でもある菊は、皇室や皇族の紋章に用いられており、有名なものに「菊花紋章」「十六八重表菊」がある。
五節句の一つである「重用の節句」は、無病息災・不老長寿を願う伝統的行事で、「重陽」とは縁起の良い「陽」数が「重」なるという意味である。
重陽の節句の行事には、「菊酒」「菊湯」「菊枕」「着せ綿」などがある。

天皇家の紋章に採用されたり葬式に供えられたりと、「菊」は日本人にとって関わり深い植物であるのに、肝心の「重陽の節句」が世間一般にあまり知られていないというのはどこか寂しい気がします・・。

そんな可愛そうな「菊」の花のためにも――。

今回記事で紹介した五節句の「重陽の節句」と格式高い「菊紋」を忘れずに覚えて帰ってくださいね。

 最後までお読みいただき
 ありがとうございました 

 

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