こんにちは、
りんとちゃーです。
初夏を迎えて気温がどんどんと高くなり、ゴールデンウィークにどこにお出かけしようかと考えてしまう行楽日和の「5月」。
5月には、子どもの健やかな成長を願う「端午の節句」や、田植え・茶摘みなどの農作業を行う雑節の「八十八夜」、労働者の祭典「メーデー」といったイベントが催されます。
記事では、以下のことをまとめています。
■端午の節句の由来と歴史
■柏餅・ちまき・こいのぼり・五月人形の意味
■八十八夜・メーデーなどについて
■2024年5月のカレンダー【付録】
5月にまつわる行事の知識を取り入れて、ゴールデンウィークの旅行の話のネタにしましょう。
端午の節句(たんごのせっく)【5/5】
「こどもの日」の異称で知られる「端午(たんご)の節句」は、男の子の誕生を祝うとともに、その健やかな成長を祈る行事です
当日になると、子どもの出世を願って「こいのぼり」を立てて、兜などの「五月人形(ごがつにんぎょう)」を飾る他、邪気払いのために「菖蒲湯(しょうぶゆ)」に入ったり、縁起物として「ちまき」や「柏餅(かしわもち)」を食べたりします。
端午の節句の「端」は「初め」という意味で、もともとは月初めの「午(うま)の日」を示していました。それが後に、午が5に通ずることと、5が重なることにちなんで、「5月5日」を指すように変化したと言われています。
歴史
5月5日はちょうど二十四節気の「立夏(りっか)」にあたり、高温多湿な気候の影響で病害虫や伝染病が多く発生していました。
そのため中国では古くから、この日に薬草を摘んだり、菖蒲酒(しょうぶざけ)を飲んで疫病・邪気払いをする習わしがありました。
その中国の風習が平安時代に日本へ伝わり、江戸時代になると、菖蒲(しょうぶ)が尚武【=武事を尊ぶこと】に通ずることにちなんで、武家に生まれた男の子の出世を願って家の前に「こいのぼり」が立てられたり、「武者人形」が飾られるようになります。
菖蒲(しょうぶ)
薬草としても有名な「菖蒲(しょうぶ)」は保温と血行促進の効果が高く、日本では古くから、邪気払いと無病息災の願いを込めて5/5の端午の節句の日に「菖蒲湯」に入る習わしがありました。
また地域によっては、菖蒲を束ねて地面を打って大地の邪気を払う「菖蒲打ち」や、5/4の夜に菖蒲を枕の下に敷いて魔除けをする「菖蒲枕(しょうぶまくら)」などの風習が残っています。
柏餅(かしわもち)
平たい丸形の上新粉の餅に小豆の餡(あん)をはさんで二つ折りにし、柏の葉(※1)で包んだ、こどもの日の定番和菓子「柏餅(かしわもち)」。
(※1)柏(かしわ)・・ブナ科の落葉樹林。葉が大きく丈夫で、縁に大きな鋸歯(のこぎりば)があるのが特徴。秋にどんぐり状の実を付ける。
「柏」は、秋に枯れた後、新芽が出る春まで葉を落とさないことから、子どもが生まれるまで親が死なない(=家系を絶やさない)ものとして昔から尊ばれていました。
そんな子孫繁栄の縁起を担いで、「柏」の葉で餅を包んだ「柏餅」が江戸時代に縁起食として庶民に普及したと言われています。
「柏餅」は、名前の通り「柏」の葉で包むのが一般的ですが、柏の葉が入手しづらい西日本では、代わりに「サルトリイバラ」の葉(※2)を使うことがあるそうです。
(※2)サルトリイバラ・・日本全国の山野に自生するつる性落葉低木。サルトリイバラの茂みにサルを追い込むと、トゲが引っ掛かって動けなくなり、容易に捕えられることから「猿捕茨」と漢字表記されている。
■豆知識①『関西・九州で鶏肉を「かしわ」と呼ぶ理由』
日本では古くから、在来種の茶色の見た目をしたニワトリのことを、茶褐色の柏の木と似ていることにちなんで「かしわ」と呼んでいました。そのときの呼び名が、関西・九州地方(+中部地方の一部)の方言にそのまま残ったと言われています。
ちまき
「ちまき」は、かつては魔除け効果のある「茅萱(チガヤ)」を巻いて食べられていましたが、現代では「笹」や「マコモ」を巻いた形のものが主流になっています。
「ちまき」を食べる風習の起源とされているのは中国の詩人・屈原(くつげん)の次の説話です。
5月5日に川に身を投げて亡くなった中国・楚の詩人「屈原」。
彼の命日となる日に、米を詰めた竹筒を川に投げ入れたところ、屈原の霊が突然現れ、こんな言葉を残しました。
「龍の好物の米はすぐ食べられてしまうから、竹筒ではなく龍が嫌うチガヤの葉で包んで欲しい――。」
これが人々の間に伝わり、翌日から、川にチガヤの葉で包んだ米(=ちまき)が投げ入れられるようになったと言われています。
こいのぼり
端午の節句に飾る、鯉(こい)をかたどったのぼりの「こいのぼり」。
室町時代の頃の武士の家で、家紋の入った幟(のぼり)を合戦前にあげる習わしがあり、それが「こいのぼり」の起源になったと言われています。
江戸時代に入ると、竜門を登って鯉が龍になったという中国の故事「登竜門(とうりゅうもん)」にあやかって、男の子の健やかな成長と立身出世の願いを込めて「こいのぼり」が立てられるようになり、さらに明治時代には黒い真鯉(まごい)のみだった「こいのぼり」に赤い緋鯉(ひごい)が追加。現代では、子どもの人数分だけ青い子鯉(こごい)を飾るのが慣例となっています。
鯉の各色は中国の五行説と深く関わりがあり、黒・赤・青の色には次の意味合いがあります。
●黒・・冬(生き物が活動をやめてじっとする季節)と水(全ての生き物の生命の源)を象徴する色で、どっしりと構えて家族の大黒柱となる『父親』を表している。
●赤・・夏(生き物が育まれる季節)と火(文明の発達と知恵)を示す色。あらたな命を育み、知恵を持った存在でもある『母親』を表している。
●青・・春(生き物が成長する季節)と木(真っ直ぐ空に向かって伸びる)を象徴する色で、すくすくと成長する『子ども』を表している。
五月人形(ごがつにんぎょう)
「五月人形」とは、5月5日の端午の節句の日に、男の子の誕生を祝うとともに、強くたくましく成長することを願って飾られる鎧兜の人形のことです。
その起源は江戸時代にまでさかのぼり、武家社会では、武士を中心に、神聖な装備である兜を自分の身を守るためのお守り・厄除けとして飾る風習がありました。
この習わしが庶民に広まり、現在では「事故や病気から我が子を守ってくれるように」と願いを込めてこどもの日に「五月人形」が飾られています。
■豆知識②『折り紙のかぶと』
こどもの日に
メーデー【5/1】
「メーデー(May Day)」とは、毎年5月1日に世界各国で開催されている労働者の祭典のことです。
もともと5月1日は、ヨーロッパで夏の訪れを祝うお祭りが行われていた日でしたが、1886年のアメリカのシカゴで起きた労働条件の改善を求める労働者団体のストライキをきっかけにして、労働者が声をあげて権利を主張する日へと変化。
その後、1889年にパリで開かれた第二インターナショナル創立大会で「万国労働者団結の日」と正式に定められ、翌年に世界各国で「メーデー」がスタートすることになりました。
日本で初めて「メーデー」が実施されたのは1920年のこと(=上野公園での労働者集会)で、現代においても、毎年5月1日になると労働者が集会を開き、労働条件改善のスローガンを掲げたり、デモ行進を行ったりしています。
■豆知識③『春闘(しゅんとう)とは?』
日本には「メーデー」と同じ労働者に関するイベントとして「春闘【しゅんとう】(春季生活闘争)」があります。
「春闘」は、労働時間や賃金の交渉を目的に労働組合が企業に要望を出す活動のことで、デモや集会で国にアピールする「メーデー」とは少し意味合いが異なります。
八十八夜(はちじゅうはちや)【5/1】
「八十八夜」とは、二十四節気の「立春(りっしゅん)」から数えて88日目(=新暦の5/2頃)にあたる雑節のことです。
農作業の目安ともなる日で、この日から苗代づくりや種まき・茶摘みなどが始まります。
「八十八夜」は「八十八夜の別れ霜」のことわざで示されるように、古くから遅霜によって農作物が被害を受ける日とされていました。そのため、注意喚起の意味合いで暦に記されるようになったと言われています。
■豆知識④『夏も近づく八十八夜??』
日本の唱歌「茶摘み」(上記の音源)の中で「夏も近づく八十八夜~♪」と歌われていますが、「八十八夜」は新暦では5/2頃にあたり、夏と呼ぶには少し早い時期です。おそらく、暦の上で数日後に立夏(=夏の始まり)がやってくるので、それに由来にして「夏も近づく」と歌っているのでしょう。
ちなみに「八十八夜」に摘まれた新茶は栄養価がとても高く、不老長寿の仙薬として昔から重宝されていました。
母の日【5/12】
毎年5月の第2日曜日(今年は5/12)に行われている「母の日」は、母の苦労を労い、日頃の感謝を示す日です。
起源については諸説あり、一説によると、100年ほど前にアメリカのアンナ・ジャービスという女性が、亡き母を追悼するためにフィラデルフィアの教会で白いカーネーションを配ったのが始まりとされています。
この風習がアメリカ全土に広がり、1914年のウェストヴァージニア州知事の宣言を受けて、5月第2日曜日が正式に「母の日」と定められることになりました。
日本ではじめて「母の日」が行われたのは明治末期のことで、大正時代に入ると教会が主催となって母の日の行事を開催。その後、徐々に民間にも広まっていったと言われています。
三社祭(さんじゃまつり)【5/17~19】
「三社祭(さんじゃまつり)」は、5月の第3金・土・日曜日に行われている東京浅草神社の例大祭(=毎年決まった日に行われる重要な祭祀)で、毎年180万人ほどの観光客が浅草の町を訪れて賑わいます。
今年(2024年)の開催日は5月の17~19日で、一番の見所は、最終日に町の中を渡御する、江戸風情を残した勇壮かつ華やかな御輿(みこし)です。
浅草神社には3人の神様(師真中知【はじのあたいなかとも】・檜前浜成【ひのくまはまなり】・檜前武成【ひのくまたけなり】)が祀られており、名前の「三社祭」は、その3人(三社)にちなんだものだと言われています。
5月のカレンダー【付録】
最後に、付録として2024年度5月の年中行事・祝日・二十四節気・記念日などが分かるカレンダーを載せておきました。日々の生活にお役立てください。
【国民の祝日】
●憲法記念日【5/3】・・日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日。
●みどりの日【5/4】・・自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心を育む日。2006年までは「4/29」だったが、2007年の法改正で「5/4」に移動した。
●こどもの日【5/5】・・子どもの人権を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに国に感謝する日。「端午の節句」と同義。
【二十四節気】
●立夏(りっか)【5/5】・・夏の始まりで、気候としてはまだ春の色合いが濃い時期。「立夏」は夏の季語にもなっている。
●小満(しょうまん)【5/20】・・「小満」は万物が次第に長じて、天地に満ち始めるという意味。さまざまな生き物の生気があふれる時期で、早いところでは梅雨入りが始まる。
【雑節・五節句】
●八十八夜(はちじゅうはちや)【5/1】・・立春から数えて88日目のことで、遅い霜で作物が無駄にならないようと注意を促してくれる日。この日に摘んだお茶を飲むと、一年間、健康に暮らせると言われている。
●端午(たんご)の節句【5/5】・・別名「菖蒲(しょうぶ)の節句」。「端午」とは月の初めの午(うま)の日のことで、5月のこの日に薬草の菖蒲を使って邪気払いをする習わしがあった。男の子が勇ましく丈夫に育つことを願う日で、粽(ちまき)や柏餅を行事食としていただき、鯉のぼりをあげる。
【行事・記念日】
●緑茶の日【5/2】・・春から夏への節目となるこの日が茶摘みの最盛期であることにちなんで、1990年に日本茶葉中央会が制定。
●ラムネの日【5/4】・・1872年のこの日に、東京の実業家・千葉勝五郎がラムネの製造販売の許可を取得したことに由来する記念日。
●ゴーヤの日【5/8】・・ゴー(5)ヤー(8)の語呂合わせから、JAおきなわと沖縄県が制定。
●アイスクリームの日【5/9】・・アイスのシーズンインとなるこの日に、アイスをたくさんの人に楽しんでもらおうと、東京アイスクリーム協会が都内の各施設にアイスをプレゼントしたことが始まり。
●カクテルの日【5/13】・・アメリカのニューヨークの週刊新聞「バランス・アンド・コロンビア・リポジトリ」5/13日号に『カクテルの定義』が掲載されたことを記念して制定。
●ヨーグルトの日【5/15】・・ヨーグルトに含まれるブルガリア菌が老化防止に役立つことを発見したイリア・メチニコフ博士の誕生日(1845年5月15日)にちなんで、明治株式会社が制定。
●葵祭(あおいまつり)【5/15】・・京都三大祭の一つで、上賀茂(かみがも)神社と下鴨(しもがも)神社の例祭のこと。京の都に初夏の訪れを告げる風物詩となっている。
●旅の日【5/16】・・松尾芭蕉が奥の細道に旅立った日(5/16)にちなんで、1988年に日本旅のペンクラブが制定。
●キスの日【5/23】・・1946年のこの日に、日本で初めてキスシーンを撮影した映画「二十歳の青春」が公開されたことを記念して制定。
●百人一首の日【5/27】・・1235年のこの日に藤原定家が小倉百人一首を完成させたことに由来する記念日。
●こんにゃくの日【5/29】・・こ(5)んに(2)ゃく(9)の語呂合わせから、全国こんにゃく協同組合連合が1985年に制定。
【その他】
●旧暦5月『皐月(さつき)』・・「さ」は古語で「耕作」を意味し、そこから稲作の月(=「さつき」)と呼ばれるようになったとする説や、「早苗を植える月」を意味する「早苗月(さなえづき)」が転じたなど、由来には諸説ある。
●5月の英名『May』・・ギリシャ神話における春と豊穣の女神「マイア(Maia)」を語源とする説や、5月が「年長者」を表す月なので「man、major」などの年配を意味する言葉からとったなど、複数の説がある
●時候の花・・カーネーション、つつじ、藤 など
●旬の菜と魚・・アスパラガス、春キャベツ、らっきょう、イサキ など
●5月の童謡・唱歌
『こいのぼり』(作詞:近藤宮子/作曲者不詳)
『茶摘み』(文部省唱歌)
『夏は来ぬ』(作詞:佐佐木信綱/作曲:小山作之助)
おわりに
いかがでしたでしょうか。
花見のシーズンが終わり、気が付けば大型連休のゴールデンウィークまであと数日。皆さんは旅行の計画を立てていますでしょうか。せっかくの連休なので、どこか遠くにお出かけして美味しい料理を食べたいものですね。
ちなみに「5月」は、「5月病」という言葉があるように心の不調が起きやすい時期です。うつにならないように休みの間にストレスを発散して、来たるべく夏に向けて心と身体のコンディションを整えておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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