
こんちにちは、
りんとちゃーです。
初夏を迎えて気温がどんどん高くなり、ゴールデンウィークにどこにお出かけしようかとつい考えてしまう行楽日和の「5月」。
5月には、ゴールデンウィークの他、子どもの健やかな成長を願う「端午の節句」や、種まきや田植え・茶摘みなどの農作業を行う雑節の「八十八夜」があります。
記事では、以下のことをまとめています。
■端午の節句の由来と歴史
■柏餅・ちまき・こいのぼり・五月人形の意味
■八十八夜について
■2022年5月のカレンダー【付録】
5月にまつわる雑学を身に付けて、ゴールデンウィークの旅行の友に持っていきましょう。
端午の節句(たんごのせっく)
別名「こどもの日」「菖蒲の節句」と呼ばれる、男の子の健やかな成長を願う日の「端午の節句」には、子どもの出世を願って「こいのぼり」を立てたり、兜などの「五月人形(ごがつにんぎょう)」を飾ったりする風習があります。
他にも、邪気払いのために「菖蒲湯(しょうぶゆ)」に入ったり、縁起物として「ちまき」や「柏餅(かしわもち)」を食べたりします。
端午の節句の「端」は「初め」という意味で、もともとは月初めの「午(うま)の日」を表していました。それが後に、午が5に通ずることと、5が重なることにちなんで、とりわけ「5/5」のことを指すように変化しました。
歴史
二十四節気の「立夏(りっか)」に近い5/5は、高温多湿で病害虫が多く、伝染病も流行ったことから、古くから中国では、薬草を摘んだり、菖蒲酒(しょうぶざけ)を飲んで疫病・邪気払いをする習わしがありました。
それが平安時代に日本へと伝わり、江戸時代になると、菖蒲(しょうぶ)が尚武【=武事を尊ぶこと】に通ずるとして武家社会に重んじられ、「武者人形」を飾ったり、武家に生まれた男の子の出世を願って「こいのぼり」が立てられるようになります。
菖蒲(しょうぶ)
薬草としても有名な「菖蒲」は保温・血行促進効果が高く、古くから日本では、邪気払いと無病息災の意味を込めて、5/5の端午の節句に菖蒲湯に入る習慣がありました。
他にも、菖蒲を束ねて地面を打って大地の邪気を払う「菖蒲打ち」や、5/4の夜に菖蒲を枕の下に敷いて魔除けをする「菖蒲枕(しょうぶまくら)」という風習が各地に残っています。
柏餅(かしわもち)
平たい丸形の上新粉の餅に、小豆の餡(あん)をはさんで二つ折りにし、柏の葉(※1)で包んだ和菓子の「柏餅」。
(※1)柏(かしわ)・・ブナ科の落葉樹林。葉が大きく丈夫で、縁に大きな鋸歯(のこぎりば)があるのが特徴。秋にどんぐり状の実を付ける。
柏は、秋に枯れても翌年春に新芽が出るまで葉を落とさないことから、子どもが生まれるまで親が死なない(=家系を絶やさないもの)として尊ばれ、その「柏」の葉で餅を包んだ「柏餅」が、江戸時代以降に子孫繁栄の縁起食として広く庶民に普及していきました。
ちなみに「柏餅」は、名前の通り「柏」の葉で包むのが一般的ですが、柏の葉が入手しづらい西日本では、柏の代わりに「サルトリイバラ」の葉(※2)を使うこともあります。
(※2)サルトリイバラ・・日本全国の山野に自生するつる性落葉低木。サルトリイバラの茂みにサルを追い込むと、トゲが引っ掛かって動けなくなり、容易に捕えられることから「猿捕茨」と漢字表記されている。
■豆知識①『関西・九州で鶏肉を「かしわ」と呼ぶ理由』
かつて日本では、在来種の茶色の見た目をしたニワトリのことを、茶褐色の柏の木と似ていることにちなんで「かしわ」と呼称していました。そのときの呼び名が、関西・九州地方(+中部地方の一部)で方言として残ったと言われています。
ちまき
「ちまき」は、古くは魔除け効果のある「茅萱(チガヤ)」で巻いた食べ物でしたが、現代では「笹」や「マコモ」で巻いたものが主流になっています。
端午の節句に「ちまき」を食べる風習は、以下の屈原(くつげん)の説話を起源にしています。
5/5に川に身を投げて亡くなった中国・楚の詩人「屈原」。
彼の命日に、人々が竹筒に米を詰めて投げ入れたところ、屈原の霊が突然現れ、こんな言葉を残しました。
「龍の好物である米はすぐ食べられてしまうので、竹筒ではなく龍が嫌うチガヤの葉で包んで欲しい――。」
これが人々の間に伝わり、翌日からは、川にチガヤの葉で包んだ米(=ちまき)が投げ入れられるようになったのです。
こいのぼり
室町時代の頃、合戦前に武士の家で家紋の入った幟(のぼり)をあげる習わしがあり、これが「こいのぼり」の起源になったと言われています。
江戸時代になると、竜門を登って鯉が龍になったという中国の故事「登竜門(とうりゅうもん)」にあやかって、男の子の健やかな成長と立身出世の願いを込めて立てられるように変化。その後、黒い真鯉(まごい)のみだったこいのぼりに、明治以降、赤い緋鯉(ひごい)が加わり、現代では、子どもの人数分だけ青い子鯉(こごい)を飾るのが通例となっています。
ちなみに、鯉の各色は中国の五行説と密接に関係していて、一般的な黒・赤・青には次のような意味合いがあります。
●黒・・冬(生き物が活動をやめてじっとする季節)と水(全ての生き物の生命の源)を象徴する色で、どっしりと構えて家族の大黒柱となる『父親』を表している。
●赤・・夏(生き物が育まれる季節)と火(文明の発達と知恵)を示す色。あらたな命を育み、知恵を持った存在でもある『母親』を表している。
●青・・春(生き物が成長する季節)と木(真っ直ぐ空に向かって伸びる)を象徴する色で、すくすくと成長する『子ども』を表している。
五月人形(ごがつにんぎょう)
5月5日の端午の節句に、男の子の誕生を祝うとともに、強くたくましく成長することを願って飾られる「五月人形」。
その起源は江戸時代にあり、当時の武家社会では、神聖な装備である鎧や兜を、自分の身を守るためのお守り・厄除けとして飾る風習がありました。
この習わしが庶民の間にも広まっていき、現在ではもっぱら身を守ることに重きをおいて、「事故や病気から我が子を守ってくれるように」との願いを込めて飾られています。
■豆知識②『折り紙のかぶと』
こどもの日の兜として、
八十八夜(はちじゅうはちや)
二十四節気の「立春(りっしゅん)」から数えて88日目(=新暦の5/2頃)にあたる雑節の「八十八夜」は、農作業の目安ともなる日で、この日から苗代づくりや種まき・茶摘みがはじまります。
また、「八十八」という文字の組み合わせが「米」になることにちなんで、各地で稲作にまつわる神事が行われています。
「立春」から日数を数える雑節には、他にも「二百十日(にひゃくとおか)」や「二百二十日(にひゃくはつか)」があり、いずれも農家の要注意日として古くから暦に記載されていました。
その中の「八十八夜」は、遅霜(おそじも)を警戒する日にあたり、「八十八夜の別れ霜」ということわざがあるように、新芽が出たばかりの作物を遅霜によって無駄にしないようにと人々に注意を促しています。
■豆知識③『夏も近づく??』
有名な日本の唱歌「茶摘み」※3で「夏も近づく八十八夜~♪」と歌われていますが、八十八夜は新暦の5/2と、夏と呼ぶには少し早い時期。おそらく、暦の上では数日後に立夏(=夏の始まり)がやってくるので、そのことに由来して「夏も近づく~」と歌っているのでしょう。
※3 「茶摘み」は、次項「5月のカレンダー」の5月の童謡・唱歌の欄で試聴できます。
5月のカレンダー【付録】
最後に、付録として2022年度5月(初夏・旧暦4月【卯月】)の行事・祝日・二十四節気・記念日などが分かるカレンダーを載せておきます。日々の生活にお役立てください。
【国民の祝日】
●憲法記念日【5/3】・・日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日。
●みどりの日【5/4】・・自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心を育む日。2006年までは「4/29」だったが、2007年の法改正で「5/4」に移動。
●こどもの日【5/5】・・子どもの人権を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに国に感謝する日。端午の節句と同じ日。
【二十四節気】
●立夏(りっか)【5/5】・・暦の上での夏の始まり。気候としては、まだ春の色合いが濃い時期。立夏は夏の季語にもなっている。
●小満(しょうまん)【5/21】・・万物が次第に長じて、天地に満ち始めるという意味。さまざまな生き物の生気があふれる時期。早いところでは梅雨入りが始まる。
【五節句・雑節】
●八十八夜(はちじゅうはちや)【5/2】・・立春から数えて88日目のことで、遅い霜で作物が無駄にならないよう注意を促してくれる日。この日に摘んだお茶を飲むと、一年間、健康に暮らせると言われている。
【記念日】
●メーデー【5/1】・・世界共通の労働者の日。米国で起きた8時間労働制を要求するストライキが起源。
●緑茶の日【5/2】・・春から夏への節目となる日で、茶摘みの最盛期であることから、1990年に日本茶葉中央会が制定。
●博多どんたく【5/3~4】・・福岡のお祭り。櫛田(くしだ)神社を起点にして、稚児(ちご)や松囃子(まつばやし)が市内を練り歩く。
●ラムネの日【5/4】・・1872年のこの日に、東京の実業家・千葉勝五郎がラムネの製造販売の許可を取得したことにちなむ。
●母の日【5/8、5月第2日曜日】・・母親に感謝を伝える日。米国のアンナという少女が、母親の葬儀の日に白いカーネーションを捧げたのがはじまり。
●ゴーヤの日【5/8】・・ゴー(5)ヤー(8)の語呂合わせから、JAおきなわと沖縄県が制定。
●アイスクリームの日【5/9】・・アイスのシーズンインとなるこの日に、アイスをたくさんの人に楽しんでもらおうと、東京アイスクリーム協会が都内の各施設にアイスをプレゼントしたことがはじまり。
●鵜飼い(うかい)【5/11】・・岐阜県の長良川(ながらがわ)で、飼いならした「鵜(う)」に鮎などを取らせる、通称「鵜飼い」が初めて行われる日。
●カクテルの日【5/13】・・アメリカのニューヨークの週刊新聞「バランス・アンド・コロンビア・リポジトリ」5/13日号に『カクテルの定義』が掲載されたことを記念して制定。
●ヨーグルトの日【5/15】・・ヨーグルトに含まれるブルガリア菌が老化防止に役立つことを発見したイリア・メチニコフ博士の誕生日(1845年5月15日)にちなんで、明治株式会社が制定。
●葵祭(あおいまつり)【5/15】・・京都三大祭の一つで、上賀茂(かみがも)神社と下鴨(しもがも)神社の例祭。京の都に初夏の訪れを告げる。
●こんにゃくの日【5/29】・・こ(5)んに(2)ゃく(9)の語呂合わせから、全国こんにゃく協同組合連合が1985年に制定。
【その他】
●時候の花・・カーネーション、つつじ、藤 など
●旬の菜と魚・・アスパラガス、春キャベツ、らっきょう、イサキ など
●5月の童謡・唱歌
『こいのぼり』(作詞:近藤宮子/作曲者不詳)【Key:C】
『茶摘み』(文部省唱歌/文部省唱歌)【Key:G】
おわりに
いかがでしたでしょうか。
コロナによる外出規制が緩和し、今年のゴールデンウィークは例年の1.7倍の旅行者が見込まれるとのこと。せっかくの連休なので、どこか遠くにお出かけして美味しい料理などを食べたいものですね。
ちなみに、「5月病」という言葉があるように、5月は心の不調が起きやすい時期。うつになってしまわないよう、休みの間にストレスをしっかり発散して、来たるべく夏に向けて心と身体のコンディションを整えておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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