【9月行事】中秋の名月(十五夜)と重陽の節句|お月見団子と菊のお酒

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The March 2022 desk calendar with wooden pencil.

 こんちにちは、

 りんとちゃーです。

お盆が過ぎて気温が下がり、秋のよそおいを感じ始める9月は、一年で最も月が美しい時期であり、旧暦8/15(新暦9/15頃)の「中秋の名月」には、お月さまに団子やススキを供えて、秋の収穫に感謝する「十五夜(じゅうごや)」行事が催されます。

また、現代では馴染みが薄くなっていますが、9月9日に「重陽の節句」と呼ばれる五節句の一つがあり、この日には菊の花を浮かべた菊酒を飲んだり、菊の花を鑑賞したりします。

記事では、以下のことをまとめています。

十五夜(中秋の名月)とお供え物の意味

重陽の節句の由来・風習

2022年9月のカレンダー【付録】

「お月見」や「重陽の節句」の風習について詳しく学んで、一足早く秋を体感しましょう。




十五夜

十五夜満月

旧暦8/15の「中秋(ちゅうしゅう)の名月」に、お月さまに団子やススキを供えて、秋の収穫に感謝する行事のことを「十五夜(じゅうごや)」と言います。
※2022年の「中秋の名月」は新暦の9月10日(土)

「十五夜」は中国から日本に伝わった風習で、平安時代に貴族が催していた「月見の宴」に起源を発します。江戸時代になると、それが次第に農作物の収穫にまつわる行事へと変化していき、庶民の間にも広まりを見せました。

中秋の名月と仲秋の名月

「中秋の名月」「仲秋の名月」と称されることもあり、両者の違いをまとめると以下のようになります。

中秋の名月

旧暦における秋の期間は7月~9月までで、そのちょうど真ん中にあたる8月15日のことを「中秋」と言います。つまり「中秋の名月」とは、『秋の真ん中(旧暦8月15日)』の名月のことを指します。

仲秋の名月

旧暦では、秋の3ヶ月間(7月~9月)を三兄弟に見立てて、それぞれ

孟秋(もうしゅう) 旧暦7月
仲秋(ちゅうしゅう) 旧暦8月
季秋(きしゅう)旧暦9月
※孟・仲・季といった頭文字には意味があり、それぞれ「はじめ=孟」「2番目=仲」「最後=季」を表す。

と呼び、「仲秋」は秋の次男坊(旧暦8月)にあたるので、「仲秋の名月」は、『旧暦8月』の名月を指すことになります。

▶▶一般的に「十五夜」は「中秋の名月」の名で呼ぶことが多いですが、上記の意味で考えると「仲秋の名月」と呼んでも間違いではありません。

お供え物

月見団子とうさぎ餅

お月見の際に供えられる「ススキ」「月見団子」「里芋」には、それぞれ次のような意味・由来があります。

ススキ

茎の内部が空洞になっている「ススキ」は、古くから神さまの「依り代(よりしろ=精霊・神霊が依り憑くもの)」になるものだと考えらていて、悪霊や災いから収穫物を守るために、お月見の際に一緒に供えられていました。

また、豊穣の象徴である満月が出る「十五夜」には、収穫への感謝を込めて米や豆・芋などを供える風習があり、その時にまだ実っていない稲穂の代用として、見た目のよく似た「ススキ」を供えたとも言われています。

月見団子

「満月」に見立てた丸い「月見団子」には、秋の収穫への感謝と健康・幸福祈願の思いが込められていて、供えた後に食べることで、健康や幸福が得られるとされていました。

ルーツとなったのは、小麦粉をこねて中に餡を入れた中国のお菓子「月餅(げっぺい)」で、一般的なお団子は、「十五夜」にちなんだ15個を三宝の上にピラミッド型にのせるのが習わしとなっています。

月見団子

里芋

別名「芋名月」と呼ばれる「中秋の名月」はちょうど里芋の収穫期にあたり、収穫物である「里芋」をお月さまに供える地域も一部に存在します(近畿・中国地方)。

また「芋」には、一株から次々と増えていく性質があり、子孫繁栄をもたらすものとして縁起が良いとされていました。

その他のお月見

お月見と言えば、一般的に中秋の名月である「十五夜」を思い浮かべますが、他にも「十三夜(じゅうさんや)」「十日夜(とおかんや)」と呼ばれるお月見行事があります。

十三夜

十五夜の後にやってくる旧暦9月15日のお月見の「十三夜(じゅうさんや)」は、日本で生まれた独自の風習で、栗や枝豆をお供えすることから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。
※2022年の「十三夜」は新暦の10月8日(土)

ちなみに、お月見は「十三夜」と「十五夜」の両方を行うのが良く、どちらか片方だけを行う「片見月(かたみづき)」は縁起が悪いとされていました。

十日夜

「十日夜(とおかんや)」は、主に東日で行われている旧暦10/10の収穫祭の日に催される行事で、西日本では「亥の子」(※1)の呼び名で親しまれています。

(※1)亥の子(いのこ)・・亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日・亥の時間に行う収穫祭のこと。

行事内容としては、子どもたちが「わら鉄砲(稲を束ねたもの)」で地面を叩いてモグラを追い払うというものや、田んぼを見守ってくれる「かかしあげ」にお供え物をするなど、地域によってさまざまです。

豆知識『お月見泥棒』


お月見の際の変わった風習に「お月見泥棒」というものがあります。この「お月見泥棒」は、「お月見の夜に子どもたちがお供え物の団子をとっても叱ってはいけない」というしきたりで、「神さまに捧げた物は皆で分かち合おう」という古くからの考え方に基づいています。




重陽(ちょうよう)の節句

刺し身とお酒

歴史・由来

旧暦9/9に行われる「重陽の節句(ちょうようのせっく)」(別名:菊の節句)は、五節句の最後を締めくくる節句で、秋の収穫を祝うとともに、お神酒(みき)に菊を添えて無病息災や不老長寿を願います

古来中国では、この日に小高い山に登り、邪気払いと延寿の効果がある「菊酒(きくざけ)」を飲んで不老長寿を願う風習がありました。これが平安時代に日本に伝わり、貴族の宮中行事として「重陽の節句」が取り入れられたと言われています。

ちなみに「重陽の節句」の「重陽」とは「陽数が重なる」という意味で、「陽数」とは「奇数」のことです。

中国の陰陽思想において「奇数」は良いことをあらわす「陽数」を、「偶数」は悪いことをあらわす「陰数」を示していて、陽数の重なる日は、めでたい反面で不吉なことが起きる日だと考えられていました

そのため、陽数の重なる「五節句」に邪気払いの儀式が行われるようになり、その中でも一番大きな陽数(9)が重なる「9月9日」を特別に「重陽の節句」と定め、不老長寿や子孫繁栄を願うようになったのです。

行事・風習

赤色が可愛らしいグミの実

「重陽の節句」の行事・風習には、以下のようなものがあります。

菊酒(きくざけ)

蒸した菊の花びらを器に入れて冷酒をそそぎ、一晩置いて香りを移すことで出来るのが「菊酒(きくざけ)」で、「菊」を鑑賞しながらこのお酒を飲むと長寿になると考えられていました。

現代では、「菊」の花びらを散らした「杯(盃)」に冷酒を注いで飲むスタイルが主流となっています。

菊湯(きくゆ)

「重陽の節句」の風習の一つに「菊」を湯船に浮かべた「菊湯」というものがあります。菊の花に含まれる芳香成分(カンフェン)には血行促進・保温効果があり、夏の疲れた体を癒やすのに最適だと言われています。

菊枕(きくまくら)

手摘みした「菊の花びら」と乾燥した「籾殻(もみがら)」を4:6の割合で布袋に詰めたもの「菊枕」と言い、香りによる安眠作用から健康に非常に良いとされていました。

この「菊枕」は、あまりの寝心地の良さから、恋する人が夢の中に現れると言われていて、女性から男性への贈り物としても人気があります。

着せ綿(きせわた)

「着せ綿」は日本独自の風習で、重陽の節句の前日の晩に「菊」に「綿」を被(かぶ)せ、当日の朝に夜露と香りの染み込んだ「綿」で身体を拭いて不老長寿を願うというものです。

近世になって、白菊には「黄色い綿」、黄菊には「赤い綿」、赤菊には「白い綿」という細かな決まりが作られましたが、明治以降からは次第に行われなくなり、現代に至ってはこの「着せ綿」の風習は全く残っていません

茱萸嚢(しゅゆのう)

重陽の節句には、「呉茱萸(ごしゅゆ)の実」(=グミの実)を緋色の袋に入れた「茱萸嚢(しゅゆのう)」を身に着けて飾る風習があります。

これは中国の故事に由来するもので、「呉茱萸の実の入った袋をさげて山の頂で酒を飲んだところ、疫病神が退散した」という説話をもとにして、日本でも取り入れられたと考えられています。

菊合わせ

育てた菊を持ち寄って、その美しさを競い合う催しのことを「菊合わせ」と言い、現在でも各地で菊の鑑賞会や品評会が行われています。

栗ごはん

ちょうど栗の収穫時期にあたる「重陽の節句」は、別名「栗の節句」と呼ばれていて、秋の豊穣を祝って「栗ごはん」を食べる風習がありました。栗はとても栄養価が高い食材で、疲労回復効果のあるビタミンB1やビタミンCを多く含んでいます。

くんち

『おくんちにナスを食べると中風(※2)にならない』という言い伝えがあるように、「重陽の節句」の日には、焼きナスなどのナス料理が好んで食されていました

(※2)中風(ちゅうふう)・・発熱・悪寒・頭痛などの症状の総称のこと。漢字は「悪風に中(あた)る」にちなんだもの。

「くんち」とは、収穫を祝うための秋祭りのことで、旧暦9月9日(くにち)に行われることにちなんだものです。有名な「くんち」に、九州の「長崎くんち」「唐津くんち」などがあります。




9月のカレンダー【付録】

付録として2022年度9月(仲秋・旧暦8月【葉月】)の行事・祝日・二十四節気・記念日が分かるカレンダーを載せておきました。日々の生活にお役立てください。

9月のカレンダー

【二十四節気】

白露(はくろ)【9/8】・・夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が降り始める頃。降りた露が光って白く見えることから「白露(はくろ)」と呼ばれている。
秋分(しゅうぶん)【9/23】・・太陽が真西に沈み、昼と夜の長さが同じになる日。この日を境にして、日の出が遅く、日の入りが早くなる。

【五節句・雑節】
重陽(ちょうよう)【9/9】・・五節句の一つ。古代中国では、この日に長生きの効能のある菊酒を飲んで不老長寿を願う風習があった。盃に菊の花を浮かべたお酒を飲んだり、菊の花を鑑賞したりする。
二百十日(にひゃくとおか)【9/1】・・「立春」から数えて210日目。天候が荒れやすく、「厄日(やくび)」として昔から恐れられてきた。稲がちょうど開花する時期にあたり、作物が台風の被害を受けないようにと警戒を促す意味合いがある。
彼岸(ひがん)【9/20】・・秋分の日を真ん中にはさんだ7日間。もともとは日本独自の仏教祭事があった日で、お寺では「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれる法事・仏事が行われ、先祖に墓参りに行く習わしがある。お供え物は、秋の七草「萩(はぎ)」にちなんだ「おはぎ」が主流。

【国民の祝日】

敬老の日【9/19】・・多年にわたり社会に尽くしてくれた老人を敬愛し、長寿を祝う日。昭和22年、兵庫県多可部郡間谷村で「お年寄りを大切にし、お年寄りの知恵を活かして町づくりをしよう」というスローガンのもと、農閑期で気候が良かった9/15を「としよりの日」に制定。その後、昭和39年に「老人の日」に改称され、昭和41年に国民の祝日「敬老の日」となった。2033年から、ハッピーマンデー制度によって9月の第3月曜日に移動。
秋分の日【9/23】・・戦前は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」と呼ばれていて、歴代天皇ならびに皇族の霊をまつる儀式を行う日だった。昭和23年に、祖先を敬い亡くなった人を偲ぶ日として「秋分の日」に改称された。

【記念日・行事】

キウイの日【9/1】・・ニュージランド産キウイの輸入・生産管理を行うゼスプリインターナショナルジャパン株式会社が「キュー(9)イ(1)」の語呂合わせにちなんで制定。元気フルーツと呼ばれるキウイを食べて健康になってもらいたいという思いが込められている。
ひじきの日【9/15】・・カルシウム・鉄分・食物繊維などを多く含むひじきを食べて健康になってもらおうと、ひじき協同組合が旧敬老の日である9/15を「ひじきの日」に制定。
かいわれ大根の日【9/18】・・健康野菜である「かいわれ大根」にもっと親しんでもらおうと、日本かいわれ協会(現日本スプラウト協会)が1986年に制定。日付の9月は会合があった月、18日は「かいわれ大根」のかたち(8の下に1)にちなんだもの。

【その他】

時候の花・・彼岸花、木犀(もくせい)、秋桜(コスモス) など
旬の菜と魚・・かぼす、サンマ、ホッケ、銀鱈(ぎんだら) など




おわりに

いかがでしたでしょうか。

古くから日本人は、四季が織りなす自然に触れながら、暦を用いて季節に合わせた生活を営んできました。今回ご紹介した中秋の名月(十五夜)は、月にお供え物をして秋の収穫に感謝する由緒ある行事。十五夜の夜には、美しい月を愛でながら、秋の到来をその身に感じてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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