【花札6月②】蝶(チョウ)が舞い寄るトリビアの花|伝統和柄「蝶文様」と完全変態

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

花札6月札の牡丹(ぼたん)の花のそばをひらひらと舞う「チョウ(蝶)」

花札6月札/左から順に「牡丹に蝶」「牡丹に青短」「牡丹のカス」「牡丹のカス」
(左から順に「牡丹に蝶」「牡丹に青短」「牡丹のカス」「牡丹のカス」)

童謡「ちょうちょ」のモチーフにもなっている、日本人にとって馴染み深い「チョウ(蝶)」は、極楽浄土に魂を運んでくれる神聖な存在で、その姿の美しさから、着物の文様・柄などにも取り入れられています。

記事では、以下のことをまとめています。

チョウにまつわる雑学・トリビア

チョウの表記名の由来・語源

日本の伝統的図柄である「蝶文様」について

昆虫の形態的変化「完全変態」「不完全変態」の解説

「チョウ(蝶)」が見せる知識の花に舞い寄って、学びの蜜を汲み取りましょう。

▼蝶と一緒に描かれている植物の「牡丹」については下記記事でまとめています▼




チョウの雑学・トリビア

純白の花にとまる優美なアゲハチョウ(揚羽蝶)

世界一大きなチョウは?

世界一のチョウは、羽根を広げると20cmにもなる「アレクサンドラトリバネアゲハ」のメスです。パプア・ニューギニアにのみ生息する絶滅危惧種で、エメラルド色の美しい羽根を持っています。

世界一小さなチョウは?

北アメリカに生息する体長が1.2cmしかない「コビトシジミ」が世界最小の「チョウ」で、ハワイやサウジアラビア、アラブ地域で見ることができます。

ひらひらと飛ぶのはなぜ?

飛ぶスピードが遅く、鳥などの天敵に襲われやすいので、「ひらひら」と不規則な動きをして天敵から身をかわしていると考えられています。

とまっているチョウはどうして羽を広げているの?

昆虫であるチョウは「変温動物」なので、体が温かくならないと飛ぶことができません。そのため、羽を広げて太陽光を浴び、体温を上げているのです。

「チョウ(蝶)」と「ガ(蛾)」の違いって何なの?

両者の違いを説明する前に、まず「チョウ」とは何かについて確認しておきましょう。

「チョウ」の定義は以下の通りです。

定義

「チョウ」とは、「鱗翅(りんし)目」の中の、アゲハチョウ・シロチョウ・シジミチョウ・タラハチョウ・セセリチョウ科に含まれる昆虫のこと。

「チョウ(蝶)」「ガ(蛾)」はどちらも「鱗翅(りんし)目」に分類され、分類学上は同じ生き物になります。実際、2つを区別しているのは日本だけで、世界では区別されていません。

一般的に、美しい姿をしているのが「チョウ」で、地味な色合いをしているのが「ガ」という認識がありますが、地味な「チョウ」や美しい「ガ」がいたりと、例外も多くあります。

両者の生態・特徴的違いを以下にまとめましたので、区別する際の参考にしてください。

チョウ(蝶)・・昼行性。先端の膨らんだ細い棍棒状の触覚を持つ。細い体をしていて、派手で美しい外見のものが多い。羽を閉じてとまる習性がある。
ガ(蛾)・・夜行性。太い房状の触覚を持つ。太い体をしていて、外見が地味なものが多い。羽を広げてとまる習性がある。

■豆知識①『童謡「ちょうちょ」の歌詞の秘密』


誰もが知っている春の童謡曲の「ちょうちょ」。

その中の歌詞「ちょうちょ、ちょうちょ、菜の葉にとまれ。菜の葉にあいたら、桜にとまれ」で出てくる「ちょうちょ」は「モンシロチョウ」のことを指しているのですが、実際の「モンシロチョウ」は「桜」にとまることはありません

 

実は、戦前の頃に歌われていた「ちょうちょ」では、この後に「さくらの花のさかえるみよに、とまれよあそべ」と続き、その名残で「桜」になっていると考えられています。




由来・語源

チョウ(蝶)の羽の拡大写真

一般的な「チョウ(蝶)」の呼び方・表記名は以下の通りです。

■学名:Lepidoptera
■漢名:
■旧和名:てふてふ
■英名:butterfly(バタフライ)
■西欧名:psyche(プシュケ)

では、それぞれの呼び方の由来について見ていきましょう。

学名「Lepidoptera」の由来

学名の「Lepidoptera」は、「鱗翅目(りんしもく)」全般を表す言葉で、単に「チョウ」だけを示す場合は「Rhopalocera」と表記します。

ギリシャ語の「lepis=鱗」「pteron=翼」を語源にしていて、「鱗」は「チョウ」や「ガ」の「鱗粉(りんぷん)」(※1)のことを指します。

(※1)鱗粉(りんぷん)・・「チョウ」や「ガ」の羽についている粉のこと。顕微鏡で見ると魚の鱗に似た形をしていることからこう呼ばれる。空気抵抗を大きくして飛ぶ力を増やす働きと、水をはじいて体温低下・窒息死を防ぐ役割がある。

漢名「蝶」の由来

漢字の右側の「葉っぱの草かんむりをとった部分」「薄くて平たい木の葉」を表していて、「チョウ」の羽(翅)を見た昔の人が、その形から枝先についた「薄い葉っぱ」を連想したことにちなんだものです。

旧和名「てふてふ」の由来

旧日本語で「て」は「横」「ふ」は「飛ぶ」を意味し、「チョウ」が横向きに飛んでいる姿をそのまま言葉にして「てふ」と呼んでいます。他にも、羽を広げた姿が、両手首を合わせて指を広げた形(手符=てふ)に見えたなど、由来には諸説あります。

英名「butterfly(バタフライ)」の由来

「butter」と「fly」の複合語である「butterfly」の由来には、魔女がチョウの姿に変身してバターを盗みにやってくるからというものや、バターのような排泄物を出すからというもの、さらに、キチョウ・キアゲハなどの一部の「チョウ」が黄色いバター色をしているからなど、バラエティに富んだものが数多くあります。

西欧名「psyche(プシュケ)」の由来

「蝶」は、死んだ状態のサナギから飛び出して来るその様子から、人間のからだから抜け出る「霊魂」と同一視されていました。「psyche(プシュケ)」はその「霊魂」を人格化した言葉であり、ギリシャ神話に登場するアモルに愛された美少女の名前に由来するとも言われています。

■豆知識②『胡蝶(こちょう)の夢』


「胡蝶の夢」は、蝶を用いた有名な故事成語・ことわざで、意味は「夢なのか現実なのか、その区別がはっきりしない」です。

 

由来となったのは、中国の道家の思想家・荘子(そうし)の「斉物論(せいぶつろん)」の中の一節で、「荘子がある日、胡蝶となった夢を見、目が覚めると自分が夢で胡蝶となったのか、胡蝶が今夢の中で自分になっているのか区別がつかなかった」というエピソードにちなんだものです。




蝶文様

「吉祥文様(きっしょうもんよう)」(=縁起の良い動植物を描いた図柄)として、古くから着物や帯の柄に用いられてきた「蝶文様(ちょうもんよう)」

その起源は奈良時代にまでさかのぼり、当時中国から日本に伝来した「蝶文様」は、平安時代中期に公家装束の「有職文様(ゆうそくもんよう)」(※2)に取り入れられ、その後、庶民のあいだにも広く普及していきました。

(※2)有職文様・・平安時代以降に、公家・貴族の束帯(そくたい)や十二単(じゅうにひとえ)・調度品(ちょうどひん)などの装飾に用いられてきた優美な文様のこと。図案化されているため年間を通して着ることができ、現代でも「和風文様の基調」として広く使用されている。

「卵」▶「幼虫」▶「さなぎ」を経て、美しい「成虫」へと変容する「チョウ」は、古来より「復活・不死不滅」の象徴と考えられていました。

また、死と隣り合わせの武士にとって「長生き」の意味合いを持つ「チョウ」は特別な存在であったことから、「蝶紋」は「平家の代表紋」にもなっています。

「蝶紋」の中で特に有名なのが「平家の旗印」の一つにあたる平清盛の家紋「丸に揚羽蝶(あげはちょう)」で、日本の家紋の多くが左右対称であるのに対し、この「蝶紋」は珍しくその均整を破って描かれています。

▼丸に揚羽蝶▼
平清盛の家紋「丸に揚羽蝶」

ちなみに「蝶文様」は、地域や時代によって「死霊」「黄泉の使い」といった不吉なモノに捉えられることもあり、ひと昔前までの結婚式では、「蝶文様」の着物・帯を身につけることがタブーとされていました。

完全変態と不完全変態

枝の先を這うアゲハチョウの幼虫(青虫)

「チョウ」をはじめとした、ミツバチ・カブトムシ・ハエ・ガなどは、「卵」▶「幼虫」▶「サナギ」▶「成虫」と4つの段階を経て成長することが知られており、このような形態的変化のことを「完全変態」と言います。

一方で、バッタやトンボ、セミなどの昆虫は、「卵」▶「幼虫」▶「成虫」と3段階で成長し、こちらは「不完全変態」と呼ばれています。

厳密な定義で言うと「幼虫から成虫になるまでの過程に『サナギ』があるかないか」で両者は区別され、『サナギ』を経て成長するものが「完全変態」『サナギ』を経ないで成長するものが「不完全変態」と言い表すこともできます。

「完全変態」をする昆虫には、成虫になったときに劇的に見た目が変わる特徴があり、逆に、「不完全変態」をする昆虫には、大きな外見の変化は見られず、幼虫も成虫も同じような見た目をしています。(※セミ・トンボは例外的に見た目が変わります)

ちなみに、「不変態(無変態)」という幼虫から成虫まで全くかたちを変えない昆虫(シミ・トビムシなど)も中には存在します。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

では、最後に内容をおさらいしましょう。

「チョウ」と「ガ」は両方とも「鱗翅(りんし)目」に分類され、分類学上は同じ生き物である。ただし、昼夜行性・触覚の形状など生態・外見的特徴に相違点がある。

「蝶文様」は、平安貴族の「有職文様(ゆうそくもんよう)」「平家の旗印」に用いられてきた、由緒ある図柄である。

幼虫から成虫になるまでの過程で『サナギ』を経るものを「完全変態」、経ないものを「不完全変態」といい、「チョウ」は「完全変態」をする昆虫である。

今回紹介した「完全変態」と「不完全変態」は、中学校の理科で習う内容ですが、大半の人は忘れてしまっているのではないでしょうか。子どもにばかにされないためにも、学生時代に勉強したことを今一度復習しないといけませんね。

季節はようやく春。菜の花にとまる「ちょうちょ」が見られる時期になりました。

最近では、自然が少なくなったせいか、都会でその姿を見かけることが少なくなった気がします。私が子どもの頃は、家の外でたくさん目にしたものですが・・。

公園などで見かけたら、その優美な姿をぜひじっくり観察してみてください。もしかしたら、今までとは違った発見があるかも知れませんよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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