【歴史年表付き】ゲーム会社「任天堂」と花札・トランプの関係|始まりは小さな花札屋

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

世界的ゲームブランドとして、ゲーム業界のトップを突き進む「任天堂」。

その歴史はとても古く、100年前に作られたある小さな「花札屋」から物語は始まります。

ソニーやマイクロソフトのように高度な技術を持っていなかった「任天堂」が、どうして世界を席巻する大企業へと成長することができたのでしょうか。

任天堂の歩んできた歴史とともに、そのルーツを紐解いてみましょう。




任天堂の始まり

畳に散りばめられた任天堂花札

任天堂の創業は1889年。創始者は「山内房治郎(やまうちふさじろう)」で、彼はファミコン発売当時の社長・山内溥(やまうちひろし)の曾祖父にあたります。

房次郎は1885年に京都の石灰問屋「灰岩」を継ぎ、屋号を「灰孝本店」へと改名。その後、琵琶湖疎水(=琵琶湖から京都市へ流れる用水路)の建設が始まったことで、セメントの需要が一気に高まり、「灰孝本店」は順調な成長を見せます。

また、同年(1885年)は、西洋かるた(トランプ)の輸入及び賭博(とばく)カード類の販売が政府に公認された年でもあり、これに目を付けた房次郎は、1889年、京都の平安神宮近く(京都市下京区正面通り大橋西入る)にあった空き地を利用して、任天堂の前身である「山内房次郎商店=任天堂骨牌(カルタ)※1を設立。そこで花札の製造・販売を開始しました。

さらに、房次郎はシェアを拡大するために、博徒たちが勝負のたびに毎回新しい花札を使っていることに着目。関西の賭博場に安価で高品質な花札を卸すことで市場を拡大し、定番ブランドとしての地位を確立することになります。

※1「任天堂」の社名は、「運を天に任せる」という博奕打ちの座右の銘が由来。

トランプ製造とタバコ流通網の利用

2枚だけ表を向いた床に並べたトランプ

1902年に「骨牌(こっぱい)税法※2が制定され、同業者が次々と倒産していく中、当時輸入品しかなかったトランプに目を付けた房次郎は、事業拡大のために日本で初めてのトランプ製造に着手します

(※2)骨牌税(こっぱいぜい)・・いろはガルタ、麻雀、花札などのギャンブル性の強いカードゲームに課された国税のこと。1957年に「トランプ類税」に名称変更する。

その際、房次郎が相談したのが、当時タバコ製造販売で成功を収めていた村井兄弟商会の「村井吉兵衛(むらいきちべえ)」で、彼の持つタバコ販売経路を上手く利用し、タバコ屋にトランプを卸してもらうことで全国規模の流通網を獲得。最終的に、国内トランプ販売シェア1位の偉業を成し遂げます。

ちなみに、房次郎が「タバコ」に目を付けたのは、次の2つの理由があったからです。

●タバコの箱のサイズがトランプと同じくらいだったから。

●タバコの箱についていたおまけ(シガレットカード)に、トランプや花札の絵柄が描かれていたから。




任天堂の企業理念・哲学

力強いスーツ姿とグラフの合成写真

花札販売での事業成功の中には、今もなお引き継がれている任天堂の企業理念哲学が垣間見えます。

たとえば「流通網を重視する」という企業スタイルは、後の一次問屋・親睦団体「初心会」を利用したファミコンソフトの流通拡大へと結びつき、花札で培われた「製品デザイン意識の高さ」は、工業デザイナー志望だった宮本茂氏がマリオを生み出した源にもなっています。

また、「高品質で安価な商品を市場に生み出す」という当時では稀有だった考え方に、「常識にとらわれずに他と違うものを求め続け、新しいものを生み出す」という、現在の任天堂につながる強い理念を読み取ることができます。

「株式会社任天堂」の誕生

任天堂のWiiUで遊ぶ少年

1953年に日本で初めて「プラスチック製トランプ」を作った「任天堂」は、その社名を1963年に「株式会社任天堂」に変更。

その後、1980年の携帯ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」、1983年の「ファミリーコンピュータ(通称:ファミコン)」のヒットを皮切りに、次々と名ハードを生み出しながらゲーム業界のトップを邁進し続け、近年には「Nintendo Switch」を発売し、日本を代表するゲームプラットフォーマーとして、その地位を不動のものにしています。

一昨年(2021年)の4月5日には、日本の伝統的遊びである「花札」のガイドを公開。Nintendo Switchゲーム「世界のアソビ大全51」に収録された花札を用いて、定番花札ゲーム「こいこい」の遊び方(出来役・札の取り方・戦略など)を初心者に向けて動画でレクチャーしていました。

■任天堂の沿革【歴史年表】


▷1889年(明治22年)山内房治郎が、京都市下京区にて花札の製造を開始。
▷1902年(明治35年)日本初のトランプ製造に着手。
▷1953年(昭和28年)日本初のプラスチック製トランプの製造に成功、量産開始。
▷1963年(昭和38年)任天堂株式会社に社名変更。
▷1980年(昭和55年)携帯型ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」発売。
▷1983年(昭和58年)家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売。
▷1989年(平成 元年)携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」を発売。
▷1990年(平成02年)家庭用テレビゲーム機「スーパーファミコン」を発売。
▷1996年(平成08年)家庭用テレビゲーム機「NINTENDO64」を発売。
▷2004年(平成16年)携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売。
▷2006年(平成18年)家庭用テレビゲーム機「Wii」を発売。
▷2011年(平成23年)携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を発売。
▷2017年(平成29年)家庭用テレビゲーム機「Nintendo Switch」を発売。

▷2018年(平成30年)オンラインサービス「Nintendo Switch Online」を開始。

▷2021年(令和03年) 「Nintendo Switch(有機ELモデル)」を発売。

 

――出典:Nintendo公式HP「会社の沿革」 




任天堂花札の種類【付録】

現在、任天堂が販売している花札には、「大統領」「丸福天狗」「都の花」「マリオ花札」の4種類があります。以下は、それぞれの値段・品質・特徴のまとめです。

大統領

花札 大統領(黒)/任天堂
■希望小売価格:各2,200円(税込)
品質はグレードの一番高い「Aランク」。多くの人に愛されるベストセラー商品で、紙の質、裏張りの質、発色の良さなど、すべてがA級品質。多少値が張っても、品質の良いものが欲しい人におすすめ。

丸福天狗

花札 丸福天狗(黒)/任天堂
■希望小売価格:各1,650円(税込)
花札の品質は「都の花」と「大統領」の中間の「Bランク」。手触り・発色の良さ・手触りなど「大統領」にひけをとらない良質の花札。お手頃価格で質の良いものが欲しいという人にうってつけ。

都の花

花札 都の花(赤)/任天堂
■希望小売価格:各1,100円(税込)
花札の品質は一番下の「Cランク」。ただし、普通に花札をあそぶ分には十分な品質。ルールブックが付属されているので初心者でも安心。

マリオ花札(赤・黒)

マリオ花札(赤)/任天堂
■希望小売価格:各2,750円(税込)
任天堂の名作ゲームであるスーパマリオのコラボレーション花札。キャラクターものだが、本来の花札の色彩やタッチを崩さないように配慮してデザインされている。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

それでは最後に、内容をおさらいしましょう。

任天堂の創始者は「山内房治郎(やまうちふさじろう)」で、1889年に「山内房次郎商店=任天堂骨牌(カルタ)」として花札の製造・販売を始めた。
「骨牌(こっぱい)税法」の影響で同業者が倒れていくなか、1902年にトランプの国内製造を開始。タバコ流通網を利用して大きく市場を拡大した。
「流通網を重視する」「高いデザイン意識をもつ」「創造的に新しいものを生み出す」という考え方に、任天堂の企業哲学が垣間見える。
「株式会社任天堂」に社名変更後、ファミコン・Nintendo Switchなどヒット作を次々に世に生み出した。

小さな花札屋からはじまった「任天堂」がここまで大きく成長できたのは、「人を楽しませたい、他にないものを作りたい」という、「娯楽」を追求し続ける企業としての「熱い想い」が根底にあったからです。

時代が移り変わり、現代になってもなお「Nintendo Switch」や「どうぶつの森」などのヒット商品を出し続ける「任天堂」は、これからもゲーム業界をリードする存在になることでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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