【花札2月】「梅に鶯(うぐいす)」が告げる春のおとずれ|絵になる美しき取り合わせ

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

花札の2月札と言えば「梅に鶯(うぐいす)」

「梅に鶯(うぐいす)」とは、春を代表する梅とうぐいすの「絵になるような取り合わせ」を形容する言葉で、この言葉にちなんで、花札には「梅」と「うぐいす」がペアで描かれています。
※実際に描かれているのは「うぐいす」ではなく、それと混同された「めじろ」です。

花札2月札/左から順に「梅に鶯(うぐいす)」「梅に短冊」「梅のカス」「梅のカス」
(左から順に「梅に鶯(うぐいす)」「梅に短冊」「梅のカス」「梅のカス」)

記事では、以下のことをまとめています。

「梅に鶯(うぐいす)」の由来
「うぐいす」の特徴と鳴き声
「梅」の種類・歴史と「飛梅(とびうめ)伝説」

「梅」と「うぐいす」から広がる、美しい春の世界へと足を踏み入れてみましょう。




梅に鶯(うぐいす)

梅の木に止まるめじろ
(写真『梅の木に止まるめじろ』)

由来

他の植物に先駆けて春に花を咲かせる「梅」「春告草(はるつげぐさ)」の異名を持ち、また「鶯(うぐいす)」も、春の訪れを真っ先に告げる鳥であることから、別名で「春告鳥(はるつげどり)」と呼ばれています。

そんな『春の訪れ』を感じさせるもの同士の「絵になるような取り合わせ」を形容する言葉として生まれたのが「梅に鶯(うぐいす)」です。

梅の木に止まっている鳥は?

「黄緑色」の外見と、上述の「梅に鶯(うぐいす)」という言葉から、梅の木に止まっている鳥は「うぐいす」だと思っている人も多いようですが、実際に止まっているのは「うぐいす」ではなく、「めじろ(※1)」です。

(※1)めじろ・・目の周りが白く縁取られているのが特徴で、体長は12cmほど。食性は雑食(好物はツバキの花の蜜)で、オスもメスも同じ色(黄緑色)をしている。お互いを押し合うようにして枝に止まる習性から「目白(めじろ)押し」という言葉が生まれた。

「うぐいす」は、警戒心がとても強く、普段は藪(やぶ)や茂みの中で生活しているため、梅の木に止まることはほとんどありません。また、その体の色は「黄緑色」ではなく、もっと地味な「オリーブ褐色」をしています。

現代において「うぐいす色」と言ったら、「黄緑色」を連想してしまうように、当時の人々も、黄緑色の鳥は「うぐいす」であると勘違いしていたのでしょう。

■豆知識①『梅鶯(ばいおう)の候』


「梅鶯の候」は、「梅の花が咲き、うぐいすの鳴きだす季節になりました」という意味を持つ初春(2/4~3/4)の時候の挨拶で、主に公的な手紙やビジネスなどの改まった文体の手紙の書き出しに用いられています。




鶯(うぐいす)

上を見上げる地味な見た目の鶯(うぐいす)

■基本情報


分類:スズメ目ウグイス科

和名:鶯(うぐいす)

英名:bush warbler(茂みの中でさえずる鳥)

別名:春告鳥(はるつげどり)

分布:東アジア、日本の全域

「鶯(うぐいす)」は「日本三鳴鳥(※2)の一つに数えられ、早春に他の鳥に先駆けてさえずることから、別名「春告鳥(はるつげどり)」と呼ばれています。

(※2)日本三鳴鳥(にほんさんめいちょう)・・日本に生息するさえずりが美しいスズメ目の3つの種(ウグイス・オオルリ・コマドリ)のこと。「オオルリ」のさえずりは「ピールーリー」、「コマドリ」のさえずりは「ヒンカラララ」。

特徴

全長はオスが16.2cm、メスが13.4cmで、だいたいスズメと同じくらいの大きさ(14.3cm)です。オスがメスより2割ほど大きいのは、身体が大きいほうがより大きな声を出せ、生存競争に有利という利点があるからです。

身体は地味な色をしていて、頭から尾の先までが褐色(オリーブ色)目の上には眉のようなラインが入っています。ちなみに、オスとメスは互いに同じ見た目をしていて、身体の色で両者を区別することはできません。

■豆知識②『鳥の大きさの測り方』


鳥の大きさを測る時は、足の部分を測定値に入れず、くちばしの先から尾の先までの長さで計測します。これを「全長」といいます。頭の上から足までの長さを意味する「身長・体長」とは異なるので、区別して覚えておきましょう。

由来・語源

鳥の名前の多くは「鳴き声」を由来にしていて、例えばカッコウは「カッコー」、カラスは「カーラ」に接尾語「ス」を付けたものが語源となっています。

「うぐいす」の名前の由来も同様で、当時の人がうぐいすの鳴き声を「ウウウクヒ」と聞いていて、それに「ス」を付けて「ウグイス」と呼んだと言われています。

漢字表記の「鶯」は、もともと中国で「コウライウグイス」と呼ばれる鳥に当てられていた字体で、「コウライウグイス」はキュウカンチョウやカラスの仲間にあたる、声のとても美しい鳥です。大きさはウグイスの倍くらいで身体は黄色。目を通る線が後頭部で繋がっています。

平安時代、日本においてウグイスは万葉集で「宇久比須」と書き表されただけで、まだ正式な漢字は存在していませんでした。

そんな中、中国の文化を日本に取り入れようとする動きが活発になり、当時の知識人が「うぐいす」のことを、同じように美しい声・姿をした中国の「コウライウグイス」の漢字表記「鶯」の名で呼ぶようになったと言われています。

鳴き声・さえずり

「うぐいす」が「ホーホケキョ」と鳴くのは2月~8月頃で、およそ一年の半分ほど鳴いています。また、鳴く場所は決まっていて、梅や桜が咲く時期に都会の公園や庭で鳴き始め、4月下旬になると平地から山地に移動。今度は山や森の中でその鳴き声を聞くことができます。

「うぐいす」の「ホーホケキョ」に代表される「さえずり」は、一般的に「小鳥の鳴き声」の意味で使われることが多いですが、生物学上の定義では「オスがメスを呼ぶ、あるいは求愛・なわばり宣言の意味を持つ鳴き方」と決められています。

ちなみに、選挙の宣伝カーで支持を訴える女性のことを「ウグイス嬢」と呼びますが、鳥の「うぐいす」でメスがさえずることはなく、もっぱらさえずるのはオスだけです。

「うぐいす」の「さえずり」には、メスへの求愛となわばりを示す「ホーホケキョ」の他、威嚇の声である「ケキョケキョ(谷渡り)」日常会話「チッチッチ(笹鳴き)」があり、それぞれをまとめると以下のようになります。

「ホーホケキョ」・・美しい声で鳴いてオスがメスへ求愛を示す「H型(High:高い声)」と、ドスがきいた声で縄張りの存在を誇示する「L型(Low:低い声)」の2種類がある。「L型」では「ホ―・・ホホホホケキョ」と「ホケキョ」の前が断続する。
「ケキョケキョ」・・大きな声から始まってだんだんと小さくなるのが特徴で、うぐいすが移動しながら谷を渡っているように聞こえることから、通称「谷渡り」と呼ばれている。侵入者がなわばりに近づいた際に、繁殖期のオスが威嚇・警戒の意味でこう鳴く。
「チッチッチ」・・主に冬に、茂みの中でオスとメスが小さな声でこのように鳴く。笹の中で鳴くので「笹鳴き」と呼ばれている。仲間同士の存在確認・日常会話・コミュニケーションの意味合いがある。

 うぐいすの鳴き声は 

 こんなのだよ⇩



気品豊かに咲く白い梅(うめ)の花

芳しい香りを放つ、春を代表する花の「梅(うめ)」は、日本最古の歌集『万葉集』の中でも数多く詠まれ、身近に息づく植物として多くの人々に愛されています。

そんな「梅」の基本データについて、まずは確認しましょう。

■基本情報


分類:バラ科サクラ属の落葉高木

和名:

英名:Plum blossom

別名:春告草(はるつげぐさ)、好文木(こうぶんぼく)

原産地:中国

開花時期:2~3月

花言葉:高潔、忠実、忍耐、澄んだ心

都道府県の木・花:茨城県、大阪府、和歌山県、福岡県

歴史

日本の「梅」は、奈良時代に中国から伝わった薬用の「烏梅(うばい)(※3)を起源にしていて、平安時代には塩漬けの「白干し梅」が数多く作られ、その後の戦国時代の武士たちの食欲亢進に大いに役立ちました。

(※3)烏梅(うばい)・・青梅を竈門(かまど)の煙で燻(いぶ)し、乾燥させたもの。カラスのように黒いことから「烏梅」と呼ばれる。熱冷まし・下痢止め・解毒作用があり、現在でも漢方薬として使用されている。

江戸時代になると、赤しそと一緒に漬けた「赤梅干し」が登場。味が格段に良く、殺菌効果も高かったことから、梅干しを食べる習慣がまたたく間に日本中に広まっていきます。

種類

梅は「赤梅/紅梅(こうばい)」「白梅(はくばい)」の2種類に分けられ、園芸学的にさらに分類すると、果実がなる食用の「実梅(みうめ)」観賞用の樹木「花梅(はなうめ)」の2つに区分されます。

「紅梅」と「白梅」の違いは以下のとおりです。

紅梅・・幹の断面が赤みがかった色。実は小さく堅く、酸味や苦味が強いことから主に木材として利用されている。
白梅・・幹の断面が白色。実が大きく食用に向いていることから、梅干し・梅酒などの食品に用いられている。

■豆知識③『令和と梅』


現在の元号の「令和」は、奈良時代に編纂(へんさん)された最古の歌集『万葉集』に由来する言葉で、この歌集の巻五「梅の花の歌三十二首」の序文「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひ)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す※4の文言が元となっています。

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(※4)【現代語訳】:春のはじめのこの佳(よ)き月。空気は清く澄み渡り、風はやわらかくそよいでいる。梅は鏡前の白粉(おしろい)のように美女の前で咲きほころび、蘭は貴人の香り袋のように匂っている。

飛梅(とびうめ)伝説

梅好きなことで知られる学問の神様「菅原道真(すがわらのみちざね)※5の有名な説話に、「飛梅(とびうめ)伝説」というものがあります。

(※5)菅原道真(すがわらのみちざね)・・平安時代に活躍した学者・政治家。学問や芸術の才能を発揮して右大臣にまで出世するが、その才ゆえに貴族の嫉妬を買い、左大臣・藤原時平(ふじわらのときひら)の政略によって謀反の罪で太宰府に左遷される。

以下はその「飛梅伝説」の概略です。

――藤原時平の政略によって大宰府に左遷された菅原道真は、出発の前日、京都の自宅にある梅の花に向けて、次のように和歌を詠じます。

 

「東風(こち)吹かば にほひよこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春な忘れそ」

(訳:梅の花たちよ。春風が吹いたら、その匂いを風に託して大宰府まで届けて欲しい。主人である私がいないからと言って春を忘れないでおくれよ。)

 

この歌を聴いた梅の花は、主人のことを哀れに思って、一晩のうちに太宰府まで飛んで行き、その花を咲かせたそうです。

花言葉の「約束を守る」「忠実」は、この梅の花の「主人に忠義を尽くす忠誠心の強さ」から生まれたものです。

また、歌に登場する京都の自宅の梅は「紅和魂梅(べにわこんばい)」と呼ばれる樹齢350年の「紅梅」で、大宰府に飛んで行き、そこで根づいた「飛梅(とびうめ)」は「色玉垣(いろたまがき)」という樹齢1000年以上の「白梅」にあたります。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

では最後に内容をおさらいしましょう。

「梅に鶯(うぐいす)」は、春を代表する梅とうぐいすの「絵になるような取り合わせ」を形容する言葉で、実際の梅の木に止まっている鳥は、「うぐいす」ではなく「めじろ」
「うぐいす」は日本三鳴鳥の一つで、別名「春告鳥(はるつげどり)」と呼ばれている。また、鳴き声には3種類あり、それぞれに意味がある。
バラ科サクラ属の「梅」のルーツは中国の「烏梅(うばい)」にあり、木材に用いられる「紅梅(こうばい)」と、食用の「白梅(はくばい)」の2つに分類される。

「飛梅(とびうめ)伝説」とは、太宰府に左遷された菅原道真(すがわらのみちざね)のもとへ自宅の梅の花が飛んで行き、そこで花を咲かせたというエピソードのこと。

今回ご紹介した「梅」と「鶯(うぐいす)」は、今の季節にぴったりの風物詩なので、春にまつわる雑学としてぜひ覚えてほしいところです。

ちなみに、最後の「飛梅伝説」に登場する「梅」は、現在の福岡太宰府天満宮で実際に見ることができるとか。行く機会があれば鑑賞してみたいものですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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