【花札11月②】雨に集う柳・蛙(カエル)・ツバメの豆知識|脇役たちの大合唱

色彩あふれる花札のイメージ写真花札

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

花札11月札の中でひときわ目立った「小野道風(おののみちかぜ)」(傘をさした人間)の存在で、やや印象が弱まってしまっている植物の「柳(ヤナギ)」と動物の「蛙(カエル)」「燕(ツバメ)」(種札に描かれている鳥)。

花札11月札「柳に小野道風、蛙、燕」4枚
(左から順に「柳に小野道風、蛙」「柳に燕」「柳に短冊」「柳のカス」)

脇役となってしまった彼らにも、小野道風と同様に知らないことがたくさんあります。

記事では、以下のことをまとめています。

ヤナギの種類・特徴と名前の由来
カエルの生態と代表的なカエルについて
ツバメの生態・特徴・鳴き声

今回は欲張って3つと少し多いですが、頑張って学んでいきましょう。

※「小野道風」については別記事でまとめています(下記事参照)。




柳(ヤナギ)

柳の合い間から見える建物

柳とは

笹の葉のような細長い葉と、垂れ下がる長い枝が特徴「柳(ヤナギ)」

「柳(ヤナギ)」ヤナギ科ヤナギ属の総称で、一般的には「シダレヤナギ」のことを指します。

「シダレヤナギ」は街路樹などでよく見かける最もポピュラーな「ヤナギ」で、他にも、花穂のかたちが特徴的「ネコヤナギ」があります。

では、それぞれの「ヤナギ」について簡単に見ていきましょう。

シダレヤナギ

ヤナギの代表種である「シダレヤナギ」の原産地は中国で、日本には奈良時代に渡来。水辺を好み、水害を防ぐことから、川べり・水路・お濠沿いなどに植えられています。

開花時期は3~4月で、枝葉を風にまかせて遊ぶように揺らすことから、別名「遊び草」「風見草」と呼ばれています。

ネコヤナギ

尾状の花穂がネコの尾のように見えることからその名がついた「ネコヤナギ」は、日本・朝鮮半島・中国が原産地で、山地の渓流や街中の小川などの水辺に広く自生しています。開花時期は3~4月。旧名は「川柳(かわやなぎ)」です。

名前の由来・語源

「柳(ヤナギ)」の表記名をまとめると以下のようになります。

■和名・漢字:ヤナギ・柳
■漢名:
■英名:Weeping willow
■学名:Salicaceae Salix

「ヤナギ」という名前の由来には諸説ありますが、一般的なのは、「この植物の木で作った矢」という意味の「矢の木」が転じたという説です。

他にも、中国名の「楊」の発音「yang(ヤン)」「i」が加わって「ヤナギ」となったなどの説もあります。

また、「ヤナギ」は漢字で表記すると「木へん」「卯」と書きますが、この「卯」という字は「象形文字」のひとつで、一般的には「左右対称の戸を合わせた門」であると解釈されています。

枝葉をするすると上から下へ垂れ下げるヤナギの姿が、するする滑らせて門を開け閉めする様子に見えたことがその由来です。

「ヤナギ」の学名の「Salix」は、ケルト語のsal=近い」「lis=水」を組み合わせたもので、水辺や湿地に生息する種が多いことにちなんでいます。

蛙(カエル)

上を見上げて獲物を狙うアマガエル

生態・特徴

子どもの時と大人の時で大きく姿が異なり、水の中も陸の上もどちらもお手の物の「カエル」。基本データをまとめると以下のようになります。

■基本情報


○分類:無尾目(むびもく)両生類(※1)
○分布:南極大陸を除く全地域
○英名:flog(※2)
○古称:かわず

(※1)サンショウウオ・イモリなどの尾を持つ種は「有尾目(ゆうびもく)」、カエルなどの尾の無いものは「無尾目」に分類される
(※2)外観がヒキガエルに似ているものは「toad(トード)」と呼ばれる

「カエル」が食するのは小さな昆虫やクモなどで、動体視力にすぐれているため、動いているものを素早く長い舌でしとめることができます。しかし、逆に、動いていないものは見ることができず、死んだ虫や止まった虫は食べることができません。

また、食事の仕方が非常に特徴的で、よく観察すると、目玉を頭にめり込ませてエサを飲み込んでいるのに気付きます。これは、カエルの口が頭に比べて大きすぎて、舌の動きだけでは飲み込めないからで、飛び出した目玉を下げることで、エサをのどの奥に押し込んでいると考えられています。

他にも「カエル」は、生息する環境に合わせて出産の仕方を変えることが知られており、おたまじゃくしの期間を経ずに、はじめからカエルの姿で産まれる種も中には存在します。




カエルの種類

ニホンアマガエル

日本で最も多く生息するのがこの「ニホンアマガエル」で、大きさは3~4cm。メスはオスより大きく、指先に「吸盤」があって「水かき」がないのが特徴です。そのため、この種は水に入ることがなく、生活の大半を樹上で過ごします。

また「ニホンアマガエル」は、皮膚から刺激性の毒を分泌することでも知られており、毒が目に入ると失明することもあるので注意が必要です。(※手で触る分には問題ありません)

ちなみに、日本で数が多い理由には以下のことが関係しています。

乾燥に強い特性 ・・乾燥した場所でも生きられることから、生活場所の選択肢が広がり、街なかでも順応できる。
発達した吸盤 ・・木によじ登る際に使う他、街中のU字溝やコンクリート水路に誤って落ちたときに、この吸盤を用いて脱出することができる。

豆知識①『アマガエルが鳴くと雨が降るのはなぜ?』


「アマガエル」の皮膚はとても薄く、湿気・気圧の変化に敏感なため、天候の変化に反応するように鳴き声をあげます。なお、この鳴き声は、別名「雨鳴き」「レインコール」とも呼ばれています。

トノサマガエル

「トノサマガエル」はアカガエル科のカエルで、背中に黒い斑紋があるのが特徴です。

「トノサマ」という名前の由来は、からだが大きくて、天敵にあった時にお腹を膨らませる様子が殿様(トノサマ)の威張っている姿に見えたからです。

ヒキガエル

別名「ガマガエル」とも呼ばれる「ヒキガエル」「ヒキガエル」と「ガマガエル」を別の種だと思っている人もいますが、実は同じ種です。

「ヒキガエル」の分泌液は、やけど・切り傷の治療用の「ガマの油」の原料として使われています。

「おたまじゃくし」の由来・語源

球形の胴体と発達した尾が特徴的なカエルの子ども「おたまじゃくし」の名前の由来は、調理器具の「お玉杓子(おたまじゃくし)」にあります。

ご飯・味噌汁をよそうときに使われる調理器具のことを一般的に「杓子(しゃくし)」と言い、ご飯用の平らな形状のもの「しゃもじ」、汁用に使う先が皿状のもの「お玉杓子」と呼ばれています。

この「お玉杓子」がカエルの子ども(幼生)の姿に似ていたことから、「おたまじゃくし」という名前がつけられました。

ちなみに、調理器具の「お玉杓子」の語源は、多賀大社で参拝客用に配られていたお守りの杓子(多賀杓子)です。

言葉の派生の順番をまとめると、以下のようになります。

「多賀大社の杓子」▶「多賀杓子(たがじゃくし)」▶「お玉杓子(調理器具)」▶「おたまじゃくし(カエルの幼生)」

燕(ツバメ)

エサを欲しがるツバメのヒナたち

■基本情報


○分類:スズメ目ツバメ科
○分布:北半球の広域

○英名:swallow
○別名(古称):玄鳥、乙鳥、春告鳥、ツバクラメ、ツバクロ

○外観:体色は黒で腹部は白、額や喉は赤い。尾は長くて2つに分かれる。

○食性:トンボ、アブ、ユスリカなどを捕食

春先のあたかかい時期に日本にやってきて、秋になると越冬のために東南アジア(台湾・フィリピン・マレーシアなど)に帰っていく典型的な渡り鳥の「ツバメ」

春に見られることから「春告げ鳥」という異名を持ち、体長は15~18cmくらい。「チュリチュリ、ジーリリ」といった可愛らしい声で鳴きます。

昔の人は、このツバメの鳴き声を「土食て虫食て口渋い」という言葉に置き換えていたらしく(※意味は「土を食べて虫を食べて口が渋くなった」)、こういった動物の鳴き声の置き換えのことを「聞きなし」と言います。

代表的な「聞きなし」には、ホトトギスの「東京許可局」ウグイスの「法華経」などがあります。

ツバメのイラスト

 僕(ツバメ)の鳴き声は 

 こんなのだよ⇩ 

 

飛ぶのが得意な「ツバメ」は、実は歩くのが苦手で、巣作りの泥採取のとき以外はほとんど地面に降りることはありません。

また「ツバメ」は、天敵(カラス・ヘビなど)からヒナや卵を守るために、人の出入りの激しいにぎやかな人家の軒先に巣を作るという習性があって、そこから、「ツバメの巣がある家は縁起が良くて幸せになる」「ツバメが巣をかけた店は繁盛する」などのジンクスも生まれました。

■豆知識②『ツバメが低く飛ぶと雨になるのはなぜ?』


雨が降る前は湿度が高くなり、羽に水滴がついた虫たちはその重みで低い場所を飛ぶようになります。ツバメはそういった虫を食べているので、結果的に、雨のときには低い位置を飛ぶツバメの姿を見ることになるのです。

■豆知識③『つば九郎の語源』


ツバメの姿をしたプロ野球ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター「つば九郎」の名前は、ツバメの古称である「ツバクロ」とメンバーの「ナイン(9)」に由来します。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

では、最後に内容をおさらいしましょう。

垂れ下がった姿が特徴的な「ヤナギ」には、街路樹としてよく見かける代表的な「シダレヤナギ」の他に、猫の尾のような花穂を持つ「ネコヤナギ」がある。
「ヤナギ」の名前は、「この植物の木で作った矢」という意味の「矢の木」が由来。
水の中も陸の上もどちらでも生活できる両生類の「カエル」は、そのすぐれた動体視力で舌を使って素早く昆虫やクモを捕獲。目玉を下げて飲み込むという一風変わった食べ方をする。
春の時期に東南アジアから日本にやってくる渡り鳥の「ツバメ」は別名「春告げ鳥」「ツバクロ」とも呼ばれ、その鳴き声は「土食て虫食て口渋い」という言葉に聞きなされる。

花札11月札の絵柄には謎な部分が多く、春から夏にかけてが「旬」の「柳・蛙・燕」がなぜ札に描かれているかは、いまだによく分かっていないそうです。

私の考えでは、小野道風が傘をさしているところからこの札が「雨札」と呼ばれるように、「雨」に関係する生き物を集めたのではないかと類推しています。

水辺を好む「柳」は垂れ下がった見た目が雨のようですし、「アマガエル」が鳴くときも雨、「燕」は雨の日に低いところを飛ぶという習性を持つ鳥ですしね。

皆さまはどう考えますか?あれこれ想像してみるのも面白いかも知れません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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