【食べ物編】由来・語源で覚える難読漢字 一覧|難しい読みの料理・お菓子

机に広げられた分厚い本 難読漢字(由来・語源)

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

日常生活で目にする、料理やお菓子などの様々な『食べ物』。

美味しそうな食べ物を目の前にすると、ついつい手を伸ばしてしまいます。

中華料理の「焼売」「棒々鶏」や、お菓子の「御手洗団子」「煎餅」など、食べ物の中には読み方の難しい漢字がたくさんあり、それら難読漢字は漢字検定やクイズ番組にもよく出題されています。

以下の食べ物に関する難読漢字、皆さんはいくつ読めますか?

【食べ物の難読漢字 一覧】 焼売、棒々鶏、天麩羅、饂飩、蕎麦、米粉、雲呑、善哉、御新香、栗金団、御強、摘入、蒲鉾、半片、乾酪、御手洗団子、銅鑼焼き、外郎、煎餅、雪花菜、山葵

正解の読み方も含め、記事では以下のことをまとめています。

食べ物の写真と簡単な説明
漢字表記の読みと由来

各食べ物の雑学・豆知識

『食べ物の難読漢字』の由来や背景を学びながら、楽しく漢字をマスターしていきましょう。




焼売(シュウマイ)

白い皿に乗ったジューシな焼売(シュウマイ)7個

豚ひき肉と玉ねぎ・調味料を混ぜて、小麦のうす皮で包んで蒸し上げた「焼売(シュウマイ)」は、具材のジューシーさと皮のモチモチ感が特徴の中華料理の定番メニューです。

かつて中国では、病害によって真っ黒になった麦の穂を伝染予防のために焼くという風習がありました。漢字の「焼売」は、その時の「焼かれた麦=焼麦」に見た目が似ていることにちなんだものです(後に「麦」が「売」に変化した)。

■読み「シュウマイ」の由来・語源


「焼売」は広東語で「シウマイ」、北京語で「シャオマイ」と発音し、それらが転じて「シュウマイ」になったと言われています。

■豆知識①『焼売にグリーンピースが乗っている理由』


学校給食で「焼売」を出すことが決まった際に、見た目があまりに地味だったので、グリーンピースを乗せてイチゴのショートケーキに似せて出したという説が有力です。他にも、数を把握しやすいように目印代わりに乗せたといった説もあります。

棒々鶏(バンバンジー)

ゴマソースをたっぷりかけた棒々鶏(バンバンジー)サラダ

「棒々鶏(バンバンジー)」は、蒸し鶏に「芝麻醤(※1)」と呼ばれるごまソースをかけた四川(しせん)料理で、日本では辛みを調整したソースをかけるのが一般的です。

(※1)芝麻醤(チーマージャン)・・炒ったゴマを細かくすりつぶし、そこに植物油を加えてペースト状にしたもの。香りが良く、中華料理の代表的な調味料になっている。

鶏肉は、蒸すと水分が抜けてかたくなる性質があり、これを防ぐために棒で叩いて柔らかくする必要がありました。「棒々鶏」の漢字は、この下処理方法に由来するものです。

天麩羅(てんぷら)

揚げたての天麩羅【てんぷら】盛り合わせ(エビ・かぼちゃ・さつまいも・ししとう)

ポルトガル発祥の南蛮料理「天麩羅(てんぷら)」は、魚介類や野菜などに水溶き小麦粉の衣をつけ、油で揚げて調理したもので、和食には欠かせない一品です。

「てんぷら」の読みは、ポルトガル語の「temporas(テンポーラ)」を語源にしていて、「temporas」には「四季に行う斎日」の意味があります。

「斎日」とは、カトリックにおける祈祷と断食の日のことで、この日には小麦粉で衣をつけて揚げた野菜や魚が食べられていました

他にも「油を使用して固くすること」を意味する「temperar(テンペーラ)」や、「料理」を表す「tempero(テンペーロ)」が語源になったとする説もあります。

「天麩羅」の漢字はそれぞれ、(=天竺)」「(=小麦粉)」「(=うすい衣)」を表し、そのまま和訳すると「天竺から来た浪人が売る小麦粉の薄衣」になります。

■豆知識②『徳川家康の死因は天ぷら?』


健康マニアで知られる徳川家康には「天ぷらが原因で亡くなった」という逸話があります。――家康が73歳の頃、当時としては珍しい「天ぷら」が献上され、それを一気に食べたことで消化不良を起こし体調が悪化。3ヶ月後に療養先で亡くなったと言われています。




饂飩(うどん)

夏にぴったりの涼し気な冷やしざるうどん(饂飩)

ラーメンやそばと並ぶ麺類の定番「うどん」のルーツとなったのは、奈良時代に中国から伝わったお菓子の「唐菓子(とうがし)」です。

「唐菓子」は、小麦粉の団子に餡(あん)を入れて煮たもので、形が不安定なことから別名で「混沌(こんとん)」と呼ばれていました。

この「混沌」の「さんずい」が「食へん」に変わって「餛飩」と表記されるようになり、後にそれが、温かいスープに入れることにちなんで「温飩」へと変化。さらに再度「食へん」に改められて、現在の「饂飩」になったと言われています。

■読み「うどん」の由来・語源


「うどん」の漢字の成り立ちの途中過程にあった「温飩」の読み「おんどん」が、「うんどん」「うどん」へ変化したと考えられています。

■豆知識③『香川県のうどん発電』


香川県では毎日たくさんの量の「讃岐(さぬき)うどん」が生産・消費されていて、そこで出される「廃棄うどん」の存在が大きな問題になっていました。

 

これを解決するために考案されたのが「うどん発電」で、廃棄されるうどんを刻んで、水や酵母を加えて発酵。発生したメタンガスを燃やしてタービンを回し、発電に有効活用するようにしたのです。

蕎麦(そば)

ざるそば

「そば(蕎麦)」は、そばの実を挽いて薄く伸ばし、細長く切ったもので、天ぷらに並ぶ「江戸の三味」として古くから庶民に親しまれてきました。

植物の「そば」は背が高く、130cmほどの位置に実を付ける特徴があります。そこから、高い建物の「高」「草」を冠した「蕎」の字が当てられたと言われています。

■読み「そば」の由来・語源


角のとがった卵形(=稜【そば】)をした「そばの実」は、かつては「ソバムギ(稜麦)」と呼ばれていて、それが室町時代に略されて「ソバ」になったとされています。

米粉(ビーフン)

素麺のように細くて白いうるち米が原料の麺・ビーフン(米粉)

「米粉(ビーフン)」は、中国や台湾で食べられている、うるち米を原料にした「ライスヌードル」の一種です。

始皇帝(※2)が中国統一を成し遂げた紀元前221年に中国南部で生まれ、日本には戦後(第二次世界大戦後)に伝わりました。

東アジアの華中以南の地域では小麦の生産が少なく、代替品として「ビーフン」が日常的に食されていたそうです。

(※2)始皇帝(しこうてい)【B.C.259-B.C.210】・・中国の初代皇帝。古代中国・秦(しん)の建設者。圧倒的勢力で他の諸国を滅ぼし、紀元前221年に中国統一を達成した。北方の匈奴(きょうど)に備えて万里の長城を修築・延長したことで知られる。

■読み「ビーフン」の由来・語源


中国福建省の言葉であるミンナン語・台湾語の「ビーフン(bi-hún)」に語源があります。

■豆知識④『ビーフンと春雨(はるさめ)の違い』


どちらも見た目は似ていますが、実は原料とするものが異なります。

 

「ビーフン」の原料は上述した通りに「うるち米」ですが、「春雨」の主原料は「緑豆(りょくとう)」です。「緑豆」はマメ科のヤエナリという植物の種子で、発芽させたものが「もやし」として販売されています。




雲呑(ワンタン)

つるつる食感のワンタン

ツルツルした食感が特徴の「ワンタン」は、豚のひき肉やネギを小麦粉の薄皮で包んで作る中華料理の一つです。

ワンタンをスープに入れると、まるで空に雲が浮かんでいるように見えることから、「雲を呑む」の意味で「雲呑」の漢字が当てられています。

■読み「ワンタン」の由来・語源


「雲呑」の中国読み(福建語)の「ワンタン(wantan)」に由来します。

■豆知識⑤『水ギョウザとワンタンの違い』


見た目が似ていて、混同しやすい水ギョウザワンタンは、一般的に次のように区別されています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

水ギョウザ・・皮が厚く、茹でたものを大皿にのせて出す。水気を切り、タレを付けて食べる。

ワンタン・・皮は薄め。茹でたものをスープに入れてお碗で出す。

善哉(ぜんざい)

甘くて美味しい餅入り善哉(ぜんざい)

「善哉(ぜんざい)」は、豆(小豆など)を砂糖で甘く煮た食べ物で、一般的に関西では「つぶしあんの汁粉」のことを、関東では「白玉餅に濃いあんをかけたもの」を指します。

漢字の「善哉」は、「素晴らしい」を意味するサンスクリット語「sadhu」の漢訳で、初めてこれを食べた僧侶の「一休宗純(※3)美味しさのあまり「善哉!」と叫んだことに由来があります。

他にも、出雲の「神在祭(※4)」で振る舞われた「神在餅(じんざいもち)」が出雲弁に訛って「ずんざい」▶「ぜんざい」になったとする説もあります。

(※3)一休宗純(いっきゅうそうじゅん)【1394-1482】・・室町時代の臨済宗の僧侶。愛称は「一休さん」。とんちが得意なことで知られ、某アニメのモデルにもなった。

 

(※4)神在祭(じんざいまつり)・・全国の八百万(やおろず)の神々が出雲(いずも)の国に集まる旧暦10月に、出雲大社で執り行われている神事のこと。出雲大社西側の稲佐の湾で開かれる「神迎祭(かみむかえまつり)」をはじめ、期間中にさまざまな神事が行われる。

■豆知識⑥『「ぜんざい」と「おしるこ」の違い』


地域によって定義が異なるので一概には言えませんが、関東では、小豆と砂糖を煮た汁に餅や白玉を入れた汁物「おしるこ」汁気のない餡(あん)に餅などを乗せたもの「ぜんざい」と呼んでいます。

 

一方、関西では、こしあんの汁物を「おしるこ」、粒あんの汁物を「ぜんざい」と呼ぶことが多いようです。

御新香(おしんこう)

卵焼きのように黄色いお新香(しんこう)3切れ

「御新香(おしんこう)」「漬物」も、広義では同じ意味ですが、厳密に言うと、漬物の中で特に浅く漬けたものを「御新香」と言います。

また人によっては、「漬物」を上品な言葉に置き換えて「御新香・香の物(こうのもの)・香香(こうこう)」と呼ぶこともあります。

「香の物」という言葉は、平安時代の貴族の遊びに由来するもので、当時、香を焚いてその種類を当てる遊びが貴族の間で流行り、これを「聞香(もんこう)・香合わせ(こうあわせ)」と呼んでいました。

この遊びを何度も繰り返していると、次第に香りの違いが分からなくなり、その鈍ってしまった鼻をリセットするために使われていたのが「漬物」だったのです。

■豆知識⑦『たくあんの由来』


ご飯と相性の良い、大根をぬかで漬けた漬物の定番「たくあん」。その語源は、臨済宗(りんざいしゅう)の開祖である「沢庵和尚(※4)にあります。

 

一説によると、三代将軍・徳川家光から「何か美味しいものを食べたい」と相談を受けた沢庵和尚が、翌日にだいこんのぬか漬けを添えた御膳を持って献上。家光がそれを食べたところ、あまりにも美味しかったため、出された漬物に和尚の名前(=沢庵)を付けたと言われています。

(※4)沢庵和尚(たくあんおしょう)【1573-1645】・・安土桃山時代から江戸時代前期に活躍した但馬国出石【いずし】(兵庫県豊岡市)の臨済宗の僧侶。本名は沢庵宗彭(たくあんそうほう)。将軍家光に慕われ、たくあん漬けを広めた人物として知られる。




栗金団(くりきんとん)

黄金色に輝く栗金団(くりきんとん)3個

栗の甘露煮を、さつまいもの餡(あん)で和えて作る、ねっとりした粘りと甘みが特徴の「栗きんとん」は、漢字では「栗金団」と表記します。

「栗」や「さつもいも」はキレイな黄色(=黄金色)の見た目をしていて、「黄金色の団子」の意味で「栗金団」の漢字が当てられたと言われています。

ちなみに、おせち料理に「栗きんとん」が入っているのは、「金色」を金塊や小判に見立てて、金運上昇や商売繁盛の縁起を担いでいるからです。

■豆知識⑧『栗きんとんの黄色の正体』


おせち料理の中でひときわ輝く、「栗きんとん」の鮮やかな黄色の正体は、着色に使われている「クチナシの実」にあります。

 

「クチナシの実」は美しい黄色を発することで知られていて、食品の着色料として古くから利用されてきました。身近なもので言うと、上述の「たくあん」があげられます。

御強(おこわ)

噛むほどに甘いもちもち椎茸おこわ(御強)

「御強(おこわ)」とは、もち米を蒸して作ったご飯のことです。

日本人には古くから、日常的に「弱飯(ひめいい)」と呼ばれる柔らかいご飯を食べる風習がありましたが、お祝いの時やハレの日に限っては、特別にもち米を使って作った「固いご飯(=強飯【こわいい】)」をいただいていました。

漢字の「御強」は、この「強飯(こわいい)」を表す女房言葉(※6)「おこわ」に由来するものです。

(※6)女房言葉(にょうぼうことば)・・宮中に仕えていた女房たちが使用していた隠語(=特定の仲間の間だけに通じる造語)のこと。始まりは室町時代で、現代でも広く用いられている。おから、きな粉、おかず、しゃもじなど。

摘入(つみれ)

魚のすり身を丸めて作ったつみれ(摘入)

「つみれ」は「魚のすり身」を、「つくね」は「鶏肉や豚ひき肉」を具材に使ったものだと思っている人が多いですが、実は両者の違いは、使われている具材にあるのではなく、調理の仕方にあります。

「つみれ」は「摘み取って入れる」という意味の「摘み入れ」を語源にしていて、「つくね」は「こねて丸めること」を意味する「捏(つく)ねる」に語源があります。

要するに、材料を混ぜて生地をつくり、手やスプーンで一口大に摘み取って鍋に入れたもの「つみれ」生地を丸めて団子状にしたもの「つくね」と呼んでいるわけです。

鶏肉であっても、摘み入れるのであれば「つみれ」となるので、間違えないようにしましょう。




蒲鉾(かまぼこ)

一口サイズに切った板付き紅白かまぼこ(蒲鉾)

魚肉のすり身を成形して加熱した、練り製品の総称「蒲鉾(かまぼこ)」は、板付きや紅白かまぼこなど、様々な種類が販売されています。

かつての「かまぼこ」は「ちくわ型」をしていて、それが植物の「蒲(※7)の穂(=鉾のような形状)」に似ていたことから、「蒲鉾」の漢字が当てられたと言われています。

蒲(がま)のイラスト

(※7)蒲(がま)・・水辺に生える水草の一種で、ふわふわとしたフランクフルトのよう花穂をつけるのが特徴。花穂は秋になると爆発して綿毛が出てくる。

■豆知識⑨『かまぼこが板に載っている理由』


木の板に載っているイメージが強い「かまぼこ」。もともとちくわ形だった「かまぼこ」が、半月状にカットされて板に載せられるようになったのは、製造過程で出てくる水分を板が適度に吸収し、品質と鮮度を保ってくれる利点があったからです。

半片・半平(はんぺん)

雪のように白くふわふわした三角に切ったはんぺん(半平・半平)

「半片・半平(はんぺん)」は、魚肉のすり身に山芋などの材料を混ぜて作った「茹でかまぼこ」のことを指します。

「半平」という漢字は、駿河(静岡県)の料理人・半平(はんぺい)が考案した料理であることにちなんだもので、他にも、魚のすり身をお椀のふたで半月形に型どり、後で平(たいら)にならすことから「半平」になったとする説もあります。

乾酪(チーズ)

カットしたホール状のカマンベールチーズ(乾酪)

ピザやグラタン・ケーキなどに使われる乳製品の「チーズ」の漢字表記は「乾酪(かんらく)」です。

「乾」「乾燥した」もの、「酪」「牛やヤギの乳から精練したねばりのある飲み物」を意味し、生乳の水分を抜いて栄養分を濃縮させる製造時の工程にちなんで(=水分を抜く)(=生乳)」の漢字が当てられています。

「チーズ」と似た製法で作る乳製品の「バター」の漢字表記は「牛酪」で、これは「バター」が「チーズ」と違って『牛の乳』のみに限定されることに由来するものです。

■読み「チーズ」の由来・語源


「チーズ(cheese)」はラテン語の「cāseus」に起源を発し、それがドイツ語の「Käse」、オランダ語の「kaas」へと派生し、最終的に英語の「cheese」になったと言われています。

■豆知識⑩『チーズの種類』


チーズは世界に800種類以上あり、その種類は大きく次の2つに分類されます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ナチュラルチーズ・・乳酸菌で牛やヤギの乳を固めて水分を取り除き、カビなどで熟成させたもの。例:ゴルゴンゾーラ、カマンベール、モッツァレラなど。

プロセスチーズ・・複数のナチュラルチーズを混ぜ合わせて保存性を高めたもの。例:三角形の6Pチーズ、スライスチーズなど。




御手洗団子(みたらしだんご)

甘辛照りの四個刺し御手洗団子(みたらしだんご)

串団子を砂糖醤油だれでからめて食べる、和菓子の定番「御手洗団子(みたらしだんご)」

発祥となった場所は、御手洗(みたらし)川が流れる京都の下鴨(しもがも)神社で、下鴨神社では、平安時代から続く由緒ある祭り「御手洗祭り(みたらしまつり)」が毎年夏に開催されていました。

「御手洗団子」の名前は、その「御手洗祭り」の境内で販売されていた団子であることにちなんだものです。

団子の個数の由来となったのは以下の後醍醐天皇の説話で、その話の内容になぞらえて、それまでバラバラに売られていた団子を、先端に「1つ」、あいだを空けて「4つ」の計「5つ」を串に刺して売るようになったと言われています。

後醍醐天皇(※8)が京都の下鴨神社を訪れ、御手洗(みたらし)池で手を清めていると、突然池の中から水泡が浮かび上がってきました。まずは、ポコっと水泡が1つ。さらにしばらくしてから、ポコポコっと4つの水泡が目の前に浮かび上がって――。

(※8)後醍醐天皇(ごだいごてんのう)【1288-1339】・・鎌倉時代後期から南北朝時代を代表する天皇。鎌倉幕府を滅ぼし、「建武の新政」によって天皇中心の政治体制を築こうとするが失敗。足利尊氏と対立して、吉野に「南朝」を開く。

ちなみに、江戸時代まで「5銭」の値段で売られていた「5個刺しの団子」は、4文銭の登場をきっかけにして1つ外した「4個刺しの団子」で売られるように変化。その名残で現代では「4個刺し」「5個刺し」の2種類のみたらし団子が混在して販売されています。

銅鑼焼き(どら焼き)

粒あんをもちもちの皮ではさんだ銅鑼(どら)焼き

ふんわり生地にあんこが挟まったドラえもんの大好物の「どら焼き」

「どら焼き」がいつどこで生まれたかははっきり分かっていませんが、現在の形になったのは大正時代からだと言われています。

漢字の「銅鑼焼き」の語源には、以下の2つの説があります。

●ふくらんだ丸い形が、金属打楽器の銅鑼(※9)の形状によく似ていたから
●かつて、鉄板の代わりに熱した銅鑼を使って生地を焼いていたから

吊るした金属板を叩いて音を響かせる楽器の銅鑼

(※9)銅鑼(どら)・・法要に使用する丸いお盆の形をした楽器。縁の一部に紐を付けて吊るし、中央を打ち鳴らして音を響かせる。

ちなみに「どら焼き」は、関西で「三笠(みかさ)焼き」と呼ばれていますが、これは、奈良県にある「三笠山(※10)」のなだらかな稜線が、ふっくらと焼けた「どら焼き」のように見えたことに由来するものです。

(※10)三笠山(みかさやま)・・奈良公園の東側にある一面芝生の山。別名「若草山」。菅笠(すげがさ)が3つ重なったような形をしていて、万葉集にも多く詠まれている。

■豆知識⑪『「どら焼き」と「生どら焼き」の違い』


コンビニスイーツで「生どら焼き」という商品をたまに見かけますが、「どら焼き」と何が違うのでしょうか。

 

「生どら焼き」は、中に生クリームが入っているどら焼きのことで、他にも、つぶあんと生クリームが一緒に挟まれたものや、あんこ無しの生クリームだけのものなど、様々な種類の「どら焼き」が販売されています。

 

『生』の「どら焼き」を「生どら焼き」と呼ぶわけではないので、間違えないようにしましょう。

外郎(ういろう)

つぶあんがのった抹茶ういろう

名古屋銘菓として有名な和菓子の「ういろう」は、穀粉(米粉・小麦粉・わらび粉など)に砂糖と温水を練り合わせ、型に注いで蒸して作ります。

■漢字表記「外郎」の由来・語源


昔、中国の礼部員外郎【れいぶいんがいろう】(=薬を配達する官職)に就いていた「陳宗敬(ちんそうけい)」という人物が、日本に帰化した際に「陳外郎(ちんういろう)」と名乗り、痰切りなどに効果がある薬を考案・普及しました。

 

この「陳外郎」の子孫にあたる「外郎家」の人が、客をもてなす際に出した和菓子であったことが、「外郎」の漢字の由来だと言われています。

■豆知識⑫『「ういろう」と「ようかん」の違い』


和菓子の「ういろう」「ようかん」は見た目がよく似ていますが、実は原料と作り方がそれぞれ異なります。

 

「ういろう」米粉やわらび粉を原料にして蒸して作るのに対し、「ようかん」小豆を原料にして寒天で固めて作ります。両者の食感や風味が異なるのはそのためです。




煎餅(せんべい)

平たくて丸いパリッとした醤油煎餅(せんべい)

小麦粉や米粉を練り、薄く伸ばして鉄板で焼き上げた米菓「煎餅(せんべい)」は、以下の説話を起源にしています。

――日光街道の宿場町の草加宿(そうかやど)で団子を販売していた老婆「おせん」。ある日、売れ残った団子を川に捨てようとしたところ、通りかかった侍に「その団子を平らにして焼いて売ったらどうだ?」と提案を受けます。

 

それを聞いて老婆は、言われた通りに「つぶした団子」を販売。それが「煎餅」の原型となり、老婆の名前「おせん」にちなんで後に「せんべい」と名付けられることになったのです。

■豆知識⑬『せんべい・おかき・あられの違い』


「せんべい」は、うるち米を蒸してつきあげた生地を乾燥させて焼いたもので、小麦を原料とする「瓦せんべい」も「せんべい」の仲間に含まれます。

 

「おかき」は、餅をちぎって(=欠いて)焼いた「もちがき」をルーツにしたお菓子で、「あられ」もち米を炒ったものです。原料と製法がそれぞれ異なるので区別して覚えておきましょう。

雪花菜(おから)

軽くてふわふわの白い小さい粒状のおから(雪花菜)

クッキーやケーキなど、様々な料理で使われているヘルシー食材の「おから」の漢字表記は「雪花菜」で、これは中国での「おから」の呼び名の「雪花(シュエホワ)」に由来するものです。

「おから」とは、豆腐を作るときに出る「搾りかす」のことで、搾りかすを意味する「殻(から)」に、丁寧語の「御()」がついて「おから」と呼ばれています。

ちなみに「おから」の「から」は、「空っぽ」を連想して縁起が良くないので、「卯の花(うのはな)」「きらず」「大入り」などの異称で呼ぶこともあります。

●卯の花・・白いウツギの花(※11)は別名で「卯の花」と呼ばれていて、その見た目がおからのように見えたことから。

●きらず・・調理時に包丁で切る必要がないこと(=切らず)にちなんだもの。

●大入り・・芸能関連で使われている異名。寄席(よせ)では、空席を連想する「おから」は使わず、代わりに満席という意味の「大入り」を用いる。

ウツギの花のイラスト

(※11)ウツギの花・・アジサイ科ウツギ属のウツギ(空木)に咲く花のこと。茎が中空なことから、「中が空(うつ)ろ」の意味で「空木」の漢字が当てられている。

山葵(わさび)

ツンとした辛味が特徴の緑色の香辛薬草・わさび(山葵)

刺身や寿司に欠かせない、刺激的な辛さが特徴の香辛薬草「わさび」

漢字表記の「山葵」は、見た目がアオイ科の植物(=葵)によく似ていて、の清流に自生する特徴があることにちなんだものです。

読みの「わさび」は、鼻にツーンとくることを表現した言葉「悪障疼(=るい・わる・びく)」の頭文字をとったもので、他にも、鼻を走るという意味の「わさ」と、を意味する「び」が組み合わさってできたとする説もあります。

■豆知識⑭『わさびをすりおろす前は辛くない?』


わさびを食べた後に鼻にツーンとくるのは、すりおろすことで生じる揮発性の辛味成分(=アリルイソチオシアネート)が目や鼻を刺激するからです。逆に「すりおろす前のわさび」は辛味成分が外に出ていないので、そのまま食べても鼻にツンときません。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

一般的な漢字の勉強では、一問一答で丸暗記することが多いですが、そうやって覚えたものは長く記憶に残らないと言われています。

なので、多少時間がかかっても、漢字の由来・語源をきちんと調べて、記憶の定着率を高められるよう工夫したいところです。

今回ご紹介した「食べ物編」以外にも、いくつかの記事を投稿しています。下記に関連リンクを載せていますので、興味のある方は合わせてご参照ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

▼他の難読漢字の記事はこちら▼
植物・草花編①】【植物・草花編②

動物編】【鳥編】【昆虫編】【宝石編
寿司ネタ編】【野菜・果物編】【身近なモノ編
音楽・芸能編】【自然・天気編

 

▼漢字の実力を試したい方はこちら▼

【漢字検定対策】難読漢字の実力テスト 問題一覧

コメント

タイトルとURLをコピーしました