
こんにちは、
りんとちゃーです。
公園や道端、野山や水辺などで目にする色彩豊かな植物・草花たち。
植物の難読漢字は、漢字検定やクイズなどに出題されるいわば定番モノで、高齢者の脳トレ素材としても人気があります。
以下の植物の難読漢字、皆さんはいくつ読めますか?
正解の読み方も含め、記事では以下のことをまとめています。
■各植物の写真と簡単な紹介
■和名(漢字表記)と洋名の由来
■植物の雑学・豆知識
四季の風景を彩る植物たちの「難読漢字」を学びながら、楽しく漢字をマスターしていきましょう。
▼前記事『植物・草花編パート①』はこちら▼
■【植物・草花編①】由来・語源で覚える難読漢字 一覧
紫陽花(あじさい)
梅雨の時期に見られる紫の見た目が美しいアジサイ科の「あじさい」。
漢字表記「紫陽花」の語源は、唐の詩人・白居易(はくきょい)※1が書いた「白氏文集律詩伝」の一節にあり、彼が友人に「庭に植えられた花に名前を付けて欲しい」と頼まれて「陽光に映える紫色の花なので『紫陽花』にしよう」と答えたことに由来します。
(※1)白居易(はくきょい)【772-846】・・別名「白楽天(はくらくてん)」。中国・唐代中期の漢詩人。平易で流れるような文体の美しい詩が特徴。玄宗(げんそう)皇帝と楊貴妃(ようきひ)の悲恋を歌った「長恨歌(ちょうごんか)」が特に有名。
■あじさいの由来・語源
「あじさい」の「あじ」は「集まる」という意味の「あづ」、「さい」は「藍」を意味する「さあい(真藍)」を語源にしていて、藍色の小さい花がたくさん集まったその見た目を表現しています。
■豆知識①『紫陽花(あじさい)の花の色』
あじさいの花は、土の中の酸性度によってその色を変化させ、酸性なら青色、中性なら紫色、アルカリ性なら赤色を呈します。火山大国で酸性の土壌が多い日本では、青や紫のあじさいが一般的ですが、土壌がアルカリ性のヨーロッパでは、赤のあじさいのほうが多いそうです。
向日葵(ひまわり)
夏の風物詩としてお馴染みのキク科の「ひまわり」の漢字表記「向日葵」は、太陽の動きに合わせて花が成長して動き(=向日性)、四方に向いて花が開く植物(=葵)であることにちなんだものです。
■ひまわりの由来・語源
読みの「ひまわり」は、花が太陽の動きに合わせて廻るという意味の「日廻(ひまわ)り」に由来します。
■豆知識②『気象衛星「ひまわり」の由来』
テレビの天気予報で耳にする静止気象衛星「ひまわり」。その名付け親となったのは、宇宙開発事業団の理事長・長島秀雄氏で、常に太陽に向かって花を咲かせる「ひまわり」と、いつも地球の様子を見ている気象衛星を結びつけて「ひまわり」と命名したと言われています。
蒲公英(たんぽぽ)
道端や野原に自生するキク科の「たんぽぽ」は、黄色い花とギザギザの葉っぱが特徴の植物です。
中国に「蒲公英(ホウコウエイ)」と呼ばれる「たんぽぽ」を摘み取って乾燥させた漢方薬があり、漢字表記の「蒲公英」はそれに由来するものだとされています。
■たんぽぽの由来・語源
江戸時代に、切り込みをいれた「たんぽぽ」の茎に水を入れて「鼓(つづみ)」の形にする子どもの遊びがあり、「たんぽぽ」は別名で「つづみ草」と称されていました。その「鼓(つづみ)」を叩くと「タンタンポンポン」音が鳴ることにちなんで、「タンポポ」と呼ぶようになったと言われています。
紫雲英(ゲンゲ)
「蓮華(れんげ)の花(※2)」に似た容姿をしていることから「レンゲソウ」の名で親しまれるマメ科の「ゲンゲ」。
和名の「紫雲英」は、田んぼ一面に咲きほこる薄紫色のレンゲソウの花が、紫色の雲のように見えたことに由来するもので、「英」は中国で「花」を意味します。
(※2)蓮華(れんげ)の花・・池の水面に咲く「蓮(ハス)の花」のこと。泥水の中で美しい花を咲かせる「ハス」は、古くから仏の象徴とみなされていて、多くの仏像の台座が「蓮(ハス)の花」を模したものになっている。
■ゲンゲの由来・語源
読みの「ゲンゲ」はレンゲソウの「レンゲ」が転訛したものです。
天竺牡丹(ダリア)
見た目が豪華で、贈り物としても人気が高いキク科の「ダリア」は、1892年にオランダ(=当時の日本人はインド【天竺】と思っていた)から長崎に持ち込まれた花で、形がボタン(牡丹)に似ていることから「天竺牡丹(てんじくぼたん)」と呼ばれています。
■ダリアの由来・語源
「ダリア」という名前は、マドリードの宮廷植物園の園長が、スウェーデンの植物学者アンデシュ・ダールの名にちなんで命名したものです。
仙人掌(サボテン)
乾燥に強くて水やりの手間が少ないことから、観葉植物として人気がある「サボテン」は漢字表記で「仙人掌」と書きます。
由来は中国にあり、前漢の時代の武帝(※3)が手(=掌)の上に大きな皿を載せた「仙人の巨像」を建造。その姿がウチワサボテンによく似ていたことから、サボテンに「仙人掌」の漢字が当てられたと言われています。
(※3)武帝(ぶてい)【B.C.156-B.C.87】・・中国前漢の皇帝。郡県制によって全国を統治し、中央集権体制を確立。漢帝国の最盛期を築いた。
■サボテンの由来・語源
サボテンには「石鹸」のように油を落とす効果があり、江戸時代にはシャボン(=石鹸)と表現されていました。現在の「サボテン」の読みは、その「シャボン」が転じたものです(シャボン▶シャボテン▶サボテン)。
■豆知識③『サボテンにトゲがあるのはなぜ?』
「サボテン」はもともと葉っぱのある植物で、進化の過程で、敵から身を守るために葉をトゲに変化させたと言われています。またトゲには、表面温度を下げる作用があり、砂漠の強烈な日差しによる温度上昇をトゲで防いでいるとも考えられています。
和蘭石竹(カーネーション)
母の日のプレゼントとして親しまれている「カーネーション」は、日本に自生する多年草の「石竹(※4)」と同じナデシコ科に属し、伝来元がオランダ(和蘭)であることにちなんで「和蘭石竹(おらんだせきちく)」の漢字が当てられています。
(※4)石竹(せきちく)・・中国原産のナデシコ科の植物。別名「唐撫子(からなでしこ)」。5月頃にギザギザの縁をした薄紅・赤・白色の花を咲かせる。石竹の名は、茎が「石」のように堅く、葉が「竹」に似ていることにちなんだもの。
■カーネーションの由来・語源
「カーネーション」の赤い色が肉の色に似ていて、「肉色」を意味するラテン語「incarnation(インカーネーション)」が由来となったという説や、シェークスピアの時代に花冠として使われていて、「戴冠(たいかん)式」を意味する「coronation(コロネーション)」が変化したなど、語源には諸説あります。
花車(ガーベラ)
赤・ピンク・黄色など、カラーバリエーションが豊富なキク科の「ガーベラ」は、花束や部屋のワンポイントとして人気がある花で、タンポポを大きくしたような外見をしていることから、別名「アフリカタンポポ」と呼ばれています。
「花車」という漢字は、細長い花びらがぐるりと取り巻くその見た目に由来するものです。
■ガーベラの由来・語源
洋名の「ガーベラ」は、ドイツの植物学者ゲルバー(Trangott Gerber)の名にちなんだものです。
仏桑花(ハイビスカス)
マレーシアの国花で、フラダンスを踊る時の髪飾りとしても使われているアオイ科の「ハイビスカス」は、かつては「沖縄の花」のイメージが強い植物でしたが、近年になって鉢植えが登場し、色のバリエーションも多様化したことで、沖縄に限らず日本全国で栽培されています。
沖縄では、中国名の「仏桑」にちなんで「仏桑花(ぶっそうげ)」と呼ばれていて、お墓の周囲の垣根に植えられることが多いそうです。
■ハイビスカスの由来・語源
洋名の「ハイビスカス」は、エジプトの美の神「hibis(ヒビス)」と、「似ている」を意味するギリシャ語「isko(イスコ)」を組み合わせたものです。
■豆知識④『ハイビスカスティー』
「ハイビスカスティー」は、ハイビスカスの花や萼(がく)にある色素アントシアニンがお湯に溶けやすい性質を利用してつくったお茶・ハーブティーです。ビタミンCやクエン酸・カリウムが多く含まれ、健康と美容に効果があることから、あのクレオパトラも美貌と若さを保つために愛飲していたと言われています。
牡丹一華(アネモネ)
神話や伝説にも登場するキンポウゲ科の「アネモネ」は、牡丹のような花(華)を一輪咲かせることから「牡丹一華(ぼたんいちげ)」と呼ばれています。
■アネモネの由来・語源
「アネモネ」には、春風が吹く頃に開花する特性があり、そこから「風(anemos)の子(one)」を意味する「アネモネ(anemone)」の名が付いたと言われています。他にも、ギリシャ神話における風の神ゼフュロスが恋に落ちた妖精「アネモネ」に由来するといった説もあります(下記参照)。
■豆知識⑤『ギリシャ神話のアネモネ』
ギリシャ神話に登場する風の神ゼピュロスと花の女神フローラの夫婦。フローラにはアネモネという侍女がいて、ある日、ゼピュロスがアネモネと恋仲になってしまいます。それを知ったフローラはアネモネをゼピュロスから遠ざけようとしますが、ゼピュロスはどこまでも彼女を追い続けてあきらめようとしません。そこでフローラはアネモネを花の姿に変えてしまったのです。
麝香連理草(スイートピー)
「赤いスイートピー」の歌で有名な、花束用としても人気の花「スイートピー」は、イタリア原産のマメ科植物で、ひらひらとした蝶のような花びらが特徴です。
和名の「麝香連理草(じゃこうれんりそう)」は、レンリソウ属に分類される「スイートピー」の花の甘い香りが「麝香(=麝香鹿のオスの下腹部からとれる香料)」に似ていることに由来します。
■スイートピーの由来・語源
洋名の「スイートピー」は、甘い(=スイート【sweet】)香りを放つマメ科(=ピー【pea】)の植物であることにちなんだものです。
■豆知識⑥『赤いスイートピーは実在しなかった??』
松田聖子の名曲と言えば「赤いスイートピー」ですが、実は発売当時には赤色のスイートピーは存在していませんでした。曲のヒットをきっかけにして、「赤色のスイートピーを作ってみたい!」と三重県の中川猛さんがスイートピーの品種改良を開始し、2002年に「赤いスイートピー」が誕生。その3年後に市場に出回り、世間に普及することになったのです。
化粧桜(プリムラ・マラコイデス)
春の風にドレスの裾をひらつかせるようにして咲くサクラソウ科の「プリムラ・マラコイデス」は、外見が日本の「桜草(さくらそう)※5」に非常に似ていて、茎や葉に白粉(おしろい)のような白い粉がついていることから「化粧桜(けしょうざくら)」と呼ばれています。
(※5)桜草(さくらそう)・・高原や山地に自生するサクラソウ科の多年草。埼玉県・大阪府の県(府)花。4、5月頃に赤紫・ピンク・白色の花を数輪咲かせる。花びらの形が「桜」に似ていることから「桜草」と呼ばれている。
■プリムラ・マラコイデスの由来・語源
「プリムラ・マラコイデス」の語源は、ラテン語で最初を意味する「primala【=最初】(プリマラ)」と「malacoide【=軟質】(マラコイデ)」にあり、これは春の初めに柔らかい花を咲かせるその特徴にちなんだものです。
緋衣草(サルビア)
花にある甘い蜜と鮮やかな色合いが特徴のシソ科の「サルビア」は、花弁だけでなく萼(がく)までもが赤一色で、「赤に覆われた草」の意味で「緋衣草(ひごろもそう)」と呼ばれています。
■サルビアの由来・語源
洋名の「サルビア」は、健全・安心という意味のラテン語「サルバス(salvas)」に由来します。
竜胆(リンドウ)
「竜胆(リンドウ)」は、日本原産の多年草で、全国の野山に自生しています。秋に釣鐘型の花を咲かせ、花びらの先端がとがった三角形に見えるのが特徴です。
漢字表記の「竜胆」は、漢方薬の「竜胆」に由来していて、リンドウの根を噛むと「熊の胆」以上に苦味があり、それを最高位の「竜」にたとえて「竜胆(=竜の胆)」になったと言われています。
ちなみに、漢字をそのまま読むと「リュウタン」ですが、これがどうして「リンドウ」になったかはよく分かっていません。
猩々木(ポインセチア)
トウダイグサ科の「ポインセチア」は、冬の寒い時期に出回ることで知られていますが、実は寒さにとても弱い植物です。
その鮮やかな赤色の花が、大酒飲みの伝説上の動物「猩々(しょうじょう)※6」の赤ら顔に似ていることから「猩々木(しょうじょうぼく)」と呼ばれています。
(※6)猩々(しょうじょう)・・中国古典書物に記された架空の動物。人間のような容姿で顔が赤く、人語を操り酒を好むとされている。日本の能の演目5番目「猩猩」において、中国の海棲精霊という設定で登場する。
■ポインセチアの由来・語源
洋名の「ポインセチア」は、メキシコから花を持ち帰り、品種改良して世界中に広めた、アメリカ初代メキシコ公使・兼植物学者の「ポインセット」の名にちなんだものです。
■豆知識⑦『ポインセチアがクリスマスの花に選ばれている理由』
クリスマスに使われるクリスマスカラー(●●◯)はそれぞれ、「●赤」=キリストの流した血、「●緑」=永遠の命と愛、「◯白」=純潔を表していて、赤い花びらで葉が緑・樹液が白色の「ポインセチア」は、まさにクリスマスの花にぴったりだったのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
植物の難読漢字は、そのまま漢字から読みを類推するのが難しく、効率良く覚えるためには、由来と関連付けるなど何かしらの工夫が必要です。
今回ご紹介した記事と前回の記事で、代表的な植物の漢字の由来・語源をまとめていますので、それらを参考にしながら、すべての植物の暗記にチャレンジしてみてください。
また「植物編」以外に、「動物編」や「食べ物編」などの記事も投稿しています。興味のある方は下記リンクも合わせてご参照ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
▼前記事『植物・草花編パート①』はこちら▼
■【植物・草花編①】由来・語源で覚える難読漢字 一覧
コメント