【昆虫・小動物編】語源・由来で覚える難読漢字 |読み方の難しい小さな虫たち

見開きの辞書 難読漢字(由来・語源)

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

空を飛んだり、地中で暮らしたり、風情ある声で鳴いたりと、様々な特徴を持つ昆虫たち。

昆虫の漢字は、漢検一級に出題されるほどに読みのレベルが高く、「蟋蟀」「螽斯」など、ひと目見ただけでは何の昆虫か分からないものが多数存在します。

クイズ番組にもよく出題される以下の昆虫・小動物の難読漢字、皆さんはいくつ読めますか?

昆虫・小動物の難読漢字 一覧

正解の読み方も含め、記事では以下のことをまとめています。

昆虫・小動物の写真と特徴(※一部鳴き声あり)
漢字表記と読み方の由来

昆虫に関する豆知識

昆虫の世界を観察しながら、楽しく漢字をマスターしていきましょう。




水馬/水黽/水蜘蛛(アメンボ)

水面を泳ぐアメンボ(水黽)

長い脚を使って水面をスイスイと動く「アメンボ」

稲を枯らすウンカを退治してくれる益虫として知られる「アメンボ」の代表的な漢字表記は「水馬」「水黽」「水蜘蛛」で、これら3つは、水面を動くアメンボの様子を「馬」「カエル(黽)」「蜘蛛」になぞらえたものです。

■読み「アメンボ」の由来


飴のような匂いがし、体つきが棒のようであることから「飴棒(アメボウ)」 ▶「アメンボ」になったと言われています。

蜻蛉(トンボ)

枝に止まる赤とんぼ(蜻蛉)

大きな複眼と透明な羽を持つ秋の風物詩「トンボ」

「トンボ」を含めた透明な羽でフワフワと飛ぶ虫は平安時代にすべて「蜻蛉(カゲロウ)」と呼ばれていて、その名残で「蜻蛉」の漢字になったと考えられています。

■読み「トンボ」の由来


稲穂が飛んだような外見であることから付いた名前「飛ぶ穂(とぶほ)」や、飛んだ棒のように見えることに由来する「飛ぶ棒(とぶぼう)」が語源とされています。

蟋蟀(コオロギ)

ケージの中のコオロギ(蟋蟀)

秋に風流な鳴き声を響かせる「コオロギ」の漢字表記は「蟋蟀」です。

右側の「悉」と「率」は、中国では「シツ」「シュツ」と読み、虫が羽を擦り合わせる音や鳴き声を表す形声文字として使われていました。この形声文字と虫が組み合わさって「蟋蟀」の漢字になったと考えられています。

■豆知識①『コオロギの鳴き声』


秋の夜長に聞こえてくるどこか物寂しいコオロギの鳴き声。コオロギは基本的にオスのみが鳴き、その鳴き声は種類ごとに違った意味合いがあります。

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コロコロコロ・・通称「呼び鳴き」。メスに自分の居場所を教えたり、縄張りを誇示する時にこう鳴く。

コロコロリー・・通称「口説き鳴き」。オスがメスにプロポーズする時の鳴き声。低くて弱いのが特徴。

チチチ・・通称「脅し鳴き」。縄張りに近づいた他のオスを威嚇するときの鳴き声。




螽斯(キリギリス)

葉っぱを食べるキリギリス(螽斯)

コオロキ・鈴虫と並んで秋に鳴く虫として知られる「キリギリス」は、鳴き声(=ギーチョン)が機織りの音に似ていることから、古くは「ハタオリ」と呼ばれていました。

漢字表記「螽斯」「螽」は形声文字で、キリギリスが羽を擦り合わせた音の「シュウ(冬)」に由来するものです。

■読み「キリギリス」の由来


「キリキリ」という鳴き声に、虫や鳥を意味する接尾語「ス」を付けて「キリギリス」になったと考えられています。

揚羽蝶/鳳蝶(アゲハチョウ)

優雅な姿のアゲハチョウ(鳳蝶)

美しい羽を優雅にはばたかせてヒラヒラと舞うチョウ。「アゲハチョウ」はその中の一種で、黒い筋に黄緑のまだら模様という特徴があります。

「アゲハチョウ」の漢字表記は「揚羽蝶」「鳳蝶」の2つで、「揚羽蝶」は、花の蜜を吸うときに空に向けて羽を揚げる様子から付いたもの、「鳳蝶」は、厳かな美しさを伝説の霊鳥・鳳凰(ほうおう)に見立てたものです。

■豆知識②『蝶(チョウ)と蛾(ガ)の見分け方』


外見がよく似ている「蝶」と「蛾」は、大きな分類では同じ種に属し、一般的には次のような相違点で区別されています。

蝶(チョウ)と蛾(ガ)の見分け方

蝸牛(カタツムリ)

あじさいの上のカタツムリ(蝸牛)

梅雨の時期のあじさいの葉の上で見かける「カタツムリ」は、「でんでん虫」の異称で知られるお馴染みの昆虫です。

漢字表記の「蝸牛」は、「渦」を巻いたような殻と「牛」の角に似た2本の触角を持っていることに由来するものです。

■読み「カタツムリ」の由来


カタツムリの「かた」の語源には諸説あり、渦巻き型の殻から「傘(かさ)」を連想したというものや、殻が硬いので「かた」にした説、殻から出たり入ったりする様子を「干潟(ひがた)」の潮にたとえたなどがあります。なお、「つむり」巻き貝を表す古語の「つぶり」を語源にしています。

■豆知識③『でんでん虫の由来』


かたつむりの異称「でんでん虫」の語源には次の2つの説があります。

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子どもたちがかたつむりに「殻から早く出てこい」と囃し立てたことに由来する「出る出る虫」が「でんでん虫」になった説。

古典狂言の演目「蝸牛」のセリフ「でんでん、むしむし」からとった説。




天道虫(テントウムシ)

空を見上げるテントウムシ(天道虫)

ボールを半分に切ったような形と色鮮やかな模様が特徴の「てんとう虫」

日本で最も多く生息しているのは「ナミテントウ」と呼ばれる種で、私たちが「てんとう虫」と聞いてイメージする赤地に黄の斑点がある「ナナホシテントウ」は、あまりメジャーな種ではありません。

「てんとう虫」は、太陽に向かって飛ぶ習性があり、かつては「太陽神の使い」だと考えられていました。漢字表記の「天道虫」は、太陽神の異称である「お天道さま」に由来するものです。

■豆知識④『てんとう虫は幸運のシンボル』


「てんとう虫」には、幸運に関するジンクスや言い伝えがいくつも存在します。代表的なのは「てんとう虫が見られるのは幸運の予兆」というものや「てんとう虫が体に止まると幸せになれる」で、こういった縁起の良さから、「てんとう虫」はアクセサリのモチーフとしても人気があります。

飛蝗(バッタ)

草むらのバッタ(飛蝗)

大きく発達した脚で体長の何倍もジャンプすることができる「バッタ」

中国では、大群をなして移動して土地の草を食べ尽くすバッタのことを「飛蝗(もしくは蝗)」と呼んでいて、日本でもそれに倣って「飛蝗」の漢字が当てられています。

■読み「バッタ」の由来


飛ぶときの羽音の「はたはた」が「はったはった」▶「ばったばった」に変化したと言われています。

蜩(ヒグラシ)

木に止まるヒグラシ(蜩)

黒と緑のまだらが特徴の「ヒグラシ」は、夏の朝と夕方に「カナカナ」と鳴くことから、別名で「カナカナゼミ」と呼ばれています。

「ヒグラシ」の鳴き声は中国では「周」と表現され、「周」と鳴く昆虫の意味「蜩」の字が当てられています。日本における「ヒグラシ」の漢字表記はそれに由来するものです。

■読み「ヒグラシ」の由来


ヒグラシは夕暮れ時に鳴くイメージが強く、日を暮れさせる虫の意味で「日暮し(ひぐらし)」と呼ばれています




蟷螂(カマキリ)

獲物を狙うカマキリ(蟷螂)

大きな鎌で一瞬で獲物をしとめる肉食昆虫「カマキリ」の漢字表記は「蟷螂(とうろう)」です。

「カマキリ」には、近づいてもなかなか逃げない習性があり、それを当たり屋という意味の「當郞(当郎)」になぞらえて「蟷螂」の漢字が当てられています。他にも、両手に鎌があることに由来して「鎌切り」と表記する場合もあります。

■豆知識⑤『カマキリのメスはオスを食べる!?』


カマキリは交尾後にメスがオスを食べることで知られています。その主な理由は卵を産むための栄養源にするためで、実際、オスを食べたメスは、食べなかった個体に比べて2倍以上多く卵を産むことが分かっています。

蚯蚓(ミミズ)

地面を這うミミズ(蚯蚓)

土の中に棲む環形動物の「ミミズ」には、目・耳・鼻といった感覚器官がなく、代わりに頭部で光を感知して移動しています。

ミミズは平安時代に「美美須」と呼ばれていて、体を引いて通った跡が丘のように見えることから、後に「蚯蚓」の漢字が当てられることになりました。

■読み「ミミズ」の由来


秋の夜に土の中から聞こえてくる「ジジィ」という声を、昔はミミズの鳴き声だと思っていて(実際はケラ)、鳴き声を意味する「ミミ」に、虫や鳥を表す接尾語「ス(ズ)」を付けて「ミミズ」になったと言われています。

■豆知識⑥『ミミズの頭はどっち?』


ミミズの環帯

一見するとどっちが頭か分からないミミズですが、実はちゃんと前後が決まっています。頭があるのは「環帯(かんたい)」と呼ばれる白い帯状の節がある方で、ミミズはこの頭を前にして、ぜん動運動を行って進んでいきます。

蟻(アリ)

葉っぱの上のアリ(蟻)

「アリ」には、巣の中でコロニーを作って共同生活を営む特性があり、その共同生活の規律正しさ(=義)に由来して「蟻」の漢字が当てられています。

■読み「アリ」の由来


多く集まることを意味する「あつまり」を略したとする説や、よく「歩く(ありく)」が変化した説、穴に棲む「穴入り(あないり)」が「あり」になったなど、由来には諸説あります。

■豆知識⑦『アリとキリギリス』


「アリとキリギリス」と言えば、夏に遊んで過ごしたキリギリスと真面目に働いたアリのその後を描いた物語として有名ですが、この話で登場する「キリギリス」が元々は「セミ」であったことを皆さんはご存知でしょうか。

 

古代ギリシャで作られた初期のイソップ物語の「アリとキリギリス」では、地中海に広く生息する「セミ」が主役の昆虫として描かれていて、それがセミの生息外のヨーロッパ北部に伝わった際に「キリギリス」へと変化。日本で親しまれている「アリとキリギリス」は、この改編後のストーリーにあたります。




蝙蝠(コウモリ)

逆さまにぶら下がるコウモリ(蝙蝠)

目の見えない「コウモリ(蝙蝠)」は、自ら発する超音波の反響を利用することで、暗闇の中でも障害物にぶつからずに飛行することができます。

漢字の「扁」には「平べったい」、「畐」には「へばりつく」の意味があり、平べったいコウモリが壁にへばりついている様子にちなんで「蝙蝠」の漢字が当てられています。

■豆知識⑧『コウモリはなぜ逆さま?』


コウモリは食事のとき以外、寝てるときも起きているときも、逆さまの状態で過ごします

 

コウモリは体が非常に軽く、足の筋肉が発達しているため、逆さまにぶら下がってもほとんど苦を感じません。むしろ、逆さまのほうがリラックスでき、好んでこのような体勢をとっていると考えられています。

土竜(モグラ)

地上に出たモグラ(土竜)

ずんぐりした体とシャベル型の前足が特徴の「もぐら」は、地面にトンネルを掘って生活する習性があり、そのトンネルの形が竜に見えることにちなんで「土竜」の漢字が当てられています。

■読み「モグラ」の由来


地下にもぐって土を持ち上げることから、古くは「もぐら持ち」と呼ばれていて、それが転じて「もぐら」になったと言われています。

豪猪/山荒(ヤマアラシ)

ヤマアラシ(豪猪)の凛々しい横顔

外敵に出会うと背中にある針を立てて威嚇し、後ろ向きに突進する習性がある「ヤマアラシ(豪猪)」

「豪」には「強い・勢いが盛ん」、「猪」には「豚」の意味があり、ヤマアラシが気性の荒い豚のような生き物であることにちなんで「豪猪」の漢字が当てられています。他にも、食欲が旺盛で木の皮などの餌を食べ尽くして山を荒らすことに由来して「山荒」と表記する場合もあります。

■豆知識⑨『ヤマアラシのジレンマ』


「ヤマアラシのジレンマ」とは、人が互いに仲良くなろうと心の距離を近づけすぎると、考え方の違いなどから反発が起き、逆に傷付け合ってしまう心理現象のことです。

 

「2匹のヤマアラシが仲良くなろうと近づいたところ、お互いのトゲで傷付け合ってしまった」という話をもとにしてこの言葉が生まれました。ちなみに「ジレンマ」とは、2つの事象で板挟みになり、どちらを選ぶこともできなくなる状態のことを指します。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

昆虫の漢字は、難解なものが多く、読みを覚えるにはそれなりの工夫が必要です。語源や背景知識を上手く活用して、今回紹介した漢字だけでも読めるようにしておきましょう。

「昆虫・小動物編」以外にも、「植物編」や「食べ物編」などの記事を投稿しています。興味がある方は、下記リンクも合わせてご参照ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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