【11月行事】「酉(とり)の市」と「七五三」|商売繁盛の祭礼と子どもの成長祈願

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 こんにちは、

 りんとちゃーです。

季節は秋が深まり、いよいよ晩秋の11月。

朝夕の冷え込みが次第に強くなり、野山で木々の紅葉が最盛期を迎えるこの時期には、鷲(おおとり)神社で開催される商売繁盛のお祭り「酉(とり)の市」や、氏神様が祀られた神社に詣でて、3・5・7歳の子どもの成長を祈願する「七五三(しちごさん)」、10月の神嘗祭(かんなめさい)と対になる、五穀豊穣を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」が催されます。

記事では、以下のことをまとめています。

酉(とり)の市と縁起物

七五三の由来と3つの儀式

新嘗祭(にいなめさい)について

2022年11月のカレンダー【付録】

秋の終わりに行われる祭礼や儀式について学んで、寒い冬の到来に備えましょう。




酉(とり)の市

酉の市の縁起熊手

別名「おとりさま」「大酉祭」と呼ばれる「酉(とり)の市」は、毎年11月の酉の日(2022年は11/4、11/16、11/28の3回)に、鷲(おおとり)神社(大鳥神社)などの鳥にゆかりのある神社で行われる、開運招福や商売繁盛を祈願する祭礼行事です。

特に有名なのが、東京浅草の鷲神社と神奈川県横浜市の金毘羅(こんぴら)大鷲神社で開催される「酉の市」で、市では、売り手と買い手の交渉が盛んに行われ、商談成立のたびに三本締めの手拍子が鳴り響くという風景がお馴染みになっています。

「酉の市」では、縁起物の「熊手(くまで)の他、別名「頭の芋」と呼ばれる「八頭(やつがしら)」、小判によく似た形の「黄金餅(こがねもち)」、餅菓子の「切山椒(きりざんしょう)」などが販売されており、それぞれ次のような意味合いを持ちます。

熊手・・本来は落ち葉などをかき集めるための道具。熊手の形が獲物をわしづかみにする鷲の爪に似ていることから、運や福をつかむ意味合いがある。
八頭・・里芋が分球せずに塊となったもの。一つの種芋から複数の芋ができる里芋の「子孫繁栄」のイメージに加え、末広がりの「八」と、人の頭(トップ)になれるようにと願いを込めて、縁起物として売られている。
黄金餅・・もち米5分・粟五分の割合で作った黄色い餅。見た目が金色の小判に似ていることから、金運上昇の効果があるとされている。
切山椒・・上新粉に砂糖・山椒を加えて作る正月用の餅菓子。山椒の木は葉・花・実・樹皮のすべてを余すことなく利用することができ、そこから、捨てる部分がないほどに有益な縁起物とみなされている。

酉の市が開催される「酉の日」は、暦の上で月に2度、多いときは3度巡ってくる(=三の酉)ことがあり、三の酉まである年は火事が多いという言い伝えがあります。

これはひと月に3回も祭礼が立つと、日常生活に気の緩みが生じると考えられていたからです。




七五三(しちごさん)

七五三と成長祈願の絵馬

「七五三(しちごさん)」は、11月15日に、3歳になった男女・5歳になった男児・7歳になった女児に晴れ着を着せて氏神様を祀った神社に詣り、健やかな成長を祈願する年中行事です。

かつては「七つ前は神のうち」と言われるほどに幼児の死亡率が高く、子どもが健康に大人に成長できることは幸運なことでした。特に3~7歳は病気にかかりやすく、亡くなってしまう子どもも多かったそうです。

そのため、3・5・7歳の節目の時期に子どもが無事育ってくれたことに感謝を示し、これからの長寿と幸福を祈願するようになったのです。

「七五三」は、平安時代に行われていた3つの儀式(髪置きの儀・袴着の儀・帯解きの儀)を起源としており、江戸時代にこの「七五三」の原型が武士や商人たちに広く普及。明治・大正時代になると庶民のあいだにも広まりを見せ、現在の「七五三」の様式が形作られたとされています。

それではルーツとなった3つの儀式について細かく見ていきましょう。

髪置き(かみおき)の儀・3歳男女

平安時代の頃、頭を清潔に保つと病気の予防ができ、後に健康な髪が生えてくると信じられていて、生まれて7日目の赤ちゃんは男女関係なく髪を剃り、3歳頃まで丸坊主で育てる風習がありました。「髪置きの儀」は、丸坊主であることを終え、髪を伸ばすことが許された日でもあります。

袴着(はかまぎ)の儀・5歳男児

「袴着の儀」は、5歳になった男児が初めて正装である袴を着る儀式のことで、天下を取る意味合いで碁盤の上に立ち、吉方を向いて将来の成功を祈ります。江戸時代以前は男女関係なく執り行われていた儀式で、吉方を向いて袴を着る他、冠を被って四方の神を拝む習わしもあります。

帯解き(おびとき)の儀・7歳女児

女児は7歳をむかえると紐の代わりに帯を結んで着物を着る習わしがあり、「帯解きの儀」この変化を祝う儀式にあたります。当時「帯解きの義」が行われていたのは9歳になる男女で、後の江戸時代にそれが変化。男児は5歳の「袴着の儀」、女児は7歳の「帯解きの儀」という形で定着しました。

■豆知識『千歳飴(ちとせあめ)』


七五三に欠かせない、紅白の細長い飴がセットで入った「千歳飴」

千歳飴のイラスト

千歳は「千年」「長い年月」という意味で、七五三の日にこの「千歳飴」を食べることで、細く長く・粘り強くいつまでも元気にいられると考えられていました

 

「千歳飴」の名前の由来には諸説あり、一説には、江戸・浅草の飴売り七兵衛(しちびょうえ)が棒状の紅白の飴を「千年飴」と名付けて売り出したのはじまりとされています。




新嘗祭(にいなめさい)

稲穂とお米

「神嘗祭(かんなめさい)」の約1ヶ月後の11月23日に全国の神社で行われる「新嘗祭(にいなめさい)」は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする天神地祇(てんじんちぎ)すべての神々に新穀(初穂)を供え五穀豊穣を祝うお祭りで、宮中では天皇陛下が収穫への感謝を込めて新穀をお供えし、自らそれを召し上がります

始まりは弥生時代にまでさかのぼり、日本書紀の神代・仁徳天皇の時代にも「新嘗祭」という言葉が登場します。かつては国家行事でしたが、戦後に「勤労感謝の日」として国民の祝日に変化。現代では、宮中と伊勢神宮にそのなごりを残すのみとなっています。

11月のカレンダー【付録】

付録として2022年度11月(初冬・旧暦10月【神無月】)の行事・祝日・二十四節気・記念日が分かるカレンダーを載せておきました。日々の生活にお役立てください。

11月のカレンダー

【二十四節気】

立冬(りっとう)【11/7】・・暦の上で冬がはじまる日。空気が冷たくなり、冬の気配を感じ始める頃。木枯らしが吹き、早いところでは初雪が降る時期。
小雪(しょうせつ)【11/22】・・わずかながら雪が降り始める頃。お世話になった人に感謝の気持ちをおくる「お歳暮」の準備を始める時期。

【国民の祝日】

文化の日【11/3】・・昭和21年のこの日に新憲法が公布されたことを記念して制定された国民の祝日。皇居では、文化勲章の授与式が行われる。

勤労感謝の日【11/23】・・勤労や生産を国民が互いに感謝し合う日。かつては「新嘗祭」と呼ばれ、神さまに新穀を捧げ五穀豊穣を祝っていた。

【記念日】

寿司の日【11/1】・・新米の季節であり、ネタとなる海と山の幸が美味しい時期であることにちなんで、1961年、北海道鮨商生活衛生同業組合が制定。
紅茶の日【11/1】・・1791年、伊勢国出身の釧路・大黒屋太正がロシアの女帝マリテリーナ二世のお茶会に招待され、日本人として初めて正式な茶会で紅茶を飲んだというエピソードにちなんで、日本紅茶協会が1983年に制定。
あられ、おせんべいの日【11/7】・・新米が美味しいこの季節に、あられやおせんべいを暖かいコタツに入りながら食べて、家族団らんを楽しんでもらいたいという願いを込めて、1985年に全国米菓工業組合が制定。
チーズの日【11/11】・・日本のチーズ製造の最古の記録が700年10月(新暦の11月)であることにちなんで、1992年、日本輸入チーズ普及協会とチーズ普及協議会が覚えやすい11月11日を「チーズの日」に制定。
ピーナッツの日【11/11】・・落花生の新豆が出回る時期であることと、落花生のサヤの中に2つの豆が並んで入っていることにちなんで、全国落花生協会が昭和60年に11月11日を「ピーナッツの日」に制定。
かまぼこの日【11/15】・・かまぼこが登場する最古の文献(平安時代の古文書・祝宴の膳の図)の日付けが西暦1115年であることにちなんで、日本かまぼこ協会が制定。
こんぶの日【11/15】・・七五三のお祝いに栄養豊富なこんぶを食べて、お子さんに元気に育ってほしいという願いを込めて、1982年に日本昆布協会が制定。
ピザの日【11/20】・・ピザの定番であるマルゲリータの名前の由来となったイタリア王妃マルゲリータの誕生日【11/20】にちなんで、2013年にピザ協議会が制定。

【その他】

時候の花・・リンドウ、茶の花、シクラメン など
旬の菜と魚・・ごぼう、やまといも、落花生、フグ、サケ、サバ など
11月の童謡・唱歌

『紅葉(もみじ)』(作詞:高野辰之/作曲:岡野貞一)【Key:C】




おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回の記事の最後で「新嘗祭」をご紹介しましたが、かつての日本では、天皇が新穀を召し上がる「新嘗祭」まで新米を食べないという習わしがあったそうです。

9月には新米が手に入る現代の私たちからすると考えられないことですが、当時の農家では今のように技術が発達しておらず、稲刈りから俵に米を入れ終えるまで2ヶ月近くかかっていたとか。そのため、11月の新嘗祭を過ぎてから新米を食べるのが通例だったようです。

時代とともに文化が変わり、かつての伝統行事が今とそぐわなくなるというのは、避けられない流れなのかも知れませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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