
こんにちは、
りんとちゃーです。
梅雨入りとともに気温がどんどん上昇し、季節はまさに夏真っ盛り。
本格的な夏となる7月には、願い事を書いた短冊を笹に飾って星を愛でる「七夕行事」の他、体調を崩しやすい土用にうなぎを食べて暑さをしのぐ「土用の丑の日」が催されます。(※2023年の土用の丑の日は「7/30(日)」)
記事では、以下のことをまとめています。
■七夕の由来や歴史、飾り、行事食など
■土用の丑の日とうなぎの由来
■2023年7月のカレンダー【付録】
七夕とうなぎに関する知識を学んで、夏の暑さを打ち負かしましょう。
七夕
由来・起源
7月7日は、「笹の節句」「星祭り」の呼び名がある五節句の一つ「七夕(しちせき)の節句」です。
梅雨真っ盛りの7月7日は雨が降りやすい時期ですが、もともとは旧暦の7月7日(現在の8月7日頃)に行われていた行事なので、晴れの確率のほうが高かったと思われます。
そんな「七夕」の起源となったのは、彦星と織姫が年に一度天の川を渡って会う古代中国の伝説と「乞巧奠(きこうでん)」と呼ばれる風習で、この2つが奈良時代に伝わり、日本に古くからあった「棚機津女(たなばたつめ)」の物語と融合。時代とともにそれが変化し、現在の「七夕」の様式になっていったと考えられています。
●織姫・彦星伝説・・中国に古くから伝わる伝説で、あらすじは次の通り。
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「昔々、天に織姫(=織女【しょくじょ】)という、機織(はたおり)の上手い働き者の娘がいました。あるとき彼女は、牛の世話をするしっかり者の彦星(=牽牛【けんぎゅう】)と出会い、2人は恋に落ちます。その後2人は結婚。ところが一緒になってからは遊んでばかりで働かなくなり、怒った天の神さま(=天帝)が2人を天の川の両岸に引き離してしまいます。それからというもの、2人は会えない悲しみで打ちひしがれ、働くどころか今まで以上に仕事をしない状態に。それを見て困り果てた天帝は、真面目に働くことを条件に、年に一度だけ七夕の夜に会うことを許したのです。」
●乞巧奠(きこうでん)・・夏の大三角(※1)のうちの2つである、牽牛星(わし座のアルタイル)と織女星(こと座のベガ)の伝説に基づいた中国の宮中行事。織姫が機織り(はたおり)上手だったことにあやかって手芸や裁縫の上達を祈願した。「乞巧(きこう)」は技巧を授かるように願い乞う、「奠(でん)」は神に物を供えるという意味。
(※1)夏の大三角・・7月下旬~9月下旬に観察できる、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブの3つの一等星を結んだ三角形のこと。
●棚機津女(たなばたつめ)・・日本に古くから伝わる伝承。水辺の機屋(はたや)に籠もった乙女が、棚機(たなばた)で織った着物を棚に供えて神をもてなし、村の厄災・穢れを払った。現在の「七夕」の読みは、この「棚機(たなばた)」に由来する。
歴史
奈良時代に中国から伝わった当時の「七夕」は、機織り上手だった織姫の話にあやかって、手芸や裁縫の上達を願って短冊を笹に飾るというものでした。
その後、江戸時代に五節句の一つに定められ、寺子屋などで読み書き上達の願いを短冊に書くようになり、現在では、手習いの上達に限らずさまざまな願い事が短冊に書かれ、できた短冊を笹竹に結んで星を眺めるのが一般的な七夕の過ごし方となっています。
飾りの意味
「七夕飾り」にはいくつかの種類があり、折り紙で作る代表的な「七夕飾り」には次のような意味合いがあります。
●吹き流し・・織姫が機織りで使った5色の糸を模したもので、風船やくす玉に5色のテープを貼り付けて作る。5色は中国の陰陽五行説の五行を表し、魔除けの意味合いがある。
●短冊・・願い事を書いて飾る五色の短冊。七夕はもともと裁縫の上達を祈願した行事のため、物が欲しいという願いより手習いの上達を願った方が良い。
●紙衣(かみこ)・・裁縫の上達を祈願して作る折り紙の着物のこと。人形にして飾ると、病気・厄災の身代わりになってくれる。
●提灯・・暗いところを照らすその特徴にちなんで、心を明るく照らしてくれるようにと願いが込められている。
●巾着・・金運上昇など、お金に関する願いを込めたもの。財布にする場合もあり、黄色や白色の紙で作ると金運アップ効果が高まるとされる。
●折り鶴・・鶴が長寿の象徴であることに由来して、長寿祈願と家内安全を意味する。千羽鶴で作ることもある。
●くずかご・・清潔、倹約、整理整頓の心を育むもの 。飾りを作るときに出る紙くずを入れることもある。
●投網/網飾り・・漁業の網をかたどっていて大漁を祈願したもの。網が魚をすくって引き寄せることから、幸せを引き寄せる意味合いがある。
●菱飾り/輪飾り・・菱と輪は星を表していて、それが連なることで天の川を表現している。
七夕の行事食
七夕の日に食べる行事食と言えば「そうめん」ですが、これは、中国で7月7日に無病息災を願って食べられていた小麦粉のねじり菓子「索餅(さくべい)」をルーツにしています。
平安時代の宮中では当初、中国と同様に七夕の日に「索餅」が供えられていましたが、時代を経るうちに、織姫の織り糸を連想させる「索餅」と似た形状の「そうめん」へと変化。その名残で現在でも七夕の日に「そうめん」が食べられています。
なお、地域によっては「そうめん」以外の行事食も食されていて、長野県の松本市では七夕の日に「七夕ほうとう」(※2)を食べる風習があります。
(※2)七夕ほうとう・・ゆでたほうとうを水にさらし、きなこ・ゴマ・小豆あんでからめたもの。もともとはお盆を迎える8/7の朝に食されていた。
■豆知識①『「そうめん」と「ひやむぎ」の違い』
「そうめん」と似た形状の麺類に「ひやむぎ」がありますが、両者は太さで区別されていて、一般的に直径1.3mm以上・1.7mm未満のものを「ひやむぎ」、直径1.3mm未満のものを「そうめん」と呼んでいます。
土用の丑の日
「土用の丑の日」になると、スーパーなどに「うなぎ」が並びますが、そもそもなぜ「うなぎ」を食べるようになったのでしょうか。
その理由を紐解く前に、まずは「土用」と「丑」の言葉の意味を確認しておきましょう。
土用とは?
「土用(どよう)」とは、「二十四節気」の立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を指す言葉で、本来ならば四季それぞれに「土用」があります。しかし、現在においては、「土用の丑の日」にうなぎを食べる「夏の土用」を指すことが多いようです。
「土用」は、季節の変わり目となる日で体調を崩しやすく、「夏の土用」には夏バテ防止のため、栄養価の高い「うなぎ」をはじめとした「う」のつく食べ物(うどん、梅干し、瓜など)が好んで食されてきました。
丑とは?
「土用の丑(うし)の日」は、土用期間中にある「丑の日」という意味で、「丑の日」の「丑」とは、十二支の「丑」のことです。
十二支は年単位の他、12日周期で繰り返され、年によっては土用の期間(18日間)に2回「丑の日」が巡って来る場合があります。
ちなみに、1回目の丑の日は「一の丑」、2回目は「二の丑」と呼び分けられていて、2回「丑の日」がある場合は「一の丑」にうなぎを食べるのが通例となっています。
なぜうなぎを食べるの?
うなぎを食べる理由には諸説ありますが、次の平賀源内の説が有力だとされています。
――冬が旬の脂ののったうなぎは、暑い夏の時期にはあまり好まれず、うなぎ屋では売上不振が続いていました。そこで何とかならないかと蘭学者の平賀源内に相談したところ、源内が、当時ちまたに流布していた「丑の日に『う』のつく食べ物を食べると夏バテしない」という俗説を利用して、「本日、土用の丑の日」と書いた張り紙を店の前に掲示。その結果、売り切れ続出の大盛況となり、そこから多くの人が夏にうなぎを食べるようになったと言われています。
関西と関東のうなぎの違い
関東と関西ではうなぎのさばき方が異なり、武家文化の関東では、うなぎの「腹開き」は切腹を連想させることで敬遠され、「背開き」が主流になっています。
一方の商人文化の関西では、腹を割って話すことに通ずるとして、「腹開き」のさばき方がより好まれています。
●関東風・・背開き。串を打って白焼きにし、蒸してタレを付けて焼く。ふわっとした食感が特徴。
●関西風・・腹開き。串を打たずに白焼きにし、蒸さずにタレを付けて焼く。パリッとした食感が特徴。
関西と関東の境界に明確な線引きはありませんが、浜名湖で有名な静岡の浜松あたりを境にしてさばき方が変化すると言われています。
■豆知識②『蒲焼き(かばやき)の語源』
うなぎを裂かずに丸のまま焼いていたものが「蒲(がま)」の穂の形に似ていて、そこから「蒲焼き(がまやき)」と表記されるようになり、後にその読みが「かばやき」へ変わったとされています。
うなぎ以外の食べ物
土用の丑の日には「うなぎ」を食べるのが一般的ですが、地域によっては、うなぎと同様に「う」が頭につく、梅干し・うどん・牛肉(うし)・瓜なども食されています。
また、土用の期間に「あんころ餅(土用餅)」を食べるところもあり、魔除け効果の「小豆」と力の意味合いを持つ「餅」を一緒に食べることで無病息災を祈願したと言われています。
■豆知識③『あんころ餅の語源』
あんころも餅(=餅の外側を包む餡【あん】が衣のようであったことから)が変化したという説や、あんころがし餅(=餡を餅の外側につける際に転がしていたことから)に由来するなど、語源には諸説あります。
7月のカレンダー【付録】
付録として2023年度7月(晩夏・旧暦6月【水無月】)の行事・祝日・二十四節気・記念日が分かるカレンダーを載せておきました。日々の生活にお役立てください。
【二十四節気】
●小暑(しょうしょ)【7/7】・・夏至から15日目。小さい暑さという意味で、本格的に暑くなる少し前を指す。梅雨明けが近く、セミが鳴き出す頃。
●大暑(たいしょ)【7/23】・・一年で最も暑くなる日。厳しい夏を乗り切るために、天ぷらを食べる風習がある。土用の丑の日や花火大会が行われる頃。
【五節句・雑節】
●半夏生(はんげしょう)【7/2】・・夏至から11日目。7/2頃から七夕(7/7)までの5日間。半夏(=鴉柄杓【からすびしゃく】)という薬草が生える頃。稲の収穫を祈願してタコを食べる地域もある。
●七夕(しちせき)【7/7】・・五節句の一つ。織姫と彦星が一年に一度この日に出会うという古代中国の故事にちなむ。天に伸びる神聖な笹に短冊を結んで願いを託す。
●土用(どよう)【7/20】・・夏の土用と呼ばれる立秋の前の18日間。暦の上では立春から立冬それぞれの前に土用期間がある。
【国民の祝日】
●海の日【7/17】・・海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の繁栄を願う日として、1996年から始まった祝日。
【記念日】
●うどんの日【7/2】・・香川県製麺事業協同組合が1980年に制定。香川県の農家で、半夏生の頃にうどんを食べて労をねぎらう風習があったことにちなむ。
●ソフトクリームの日【7/3】・・1951年7月3日に、東京・明治神宮で開かれた米軍主催のカーニバルの模擬店で初めてソフトクリームが販売されたことを記念して制定。
●梨の日【7/4】・・二十世紀梨の産地である鳥取県東郷町がな【7】し【4】の語呂合わせにちなんで、梨の消費拡大を目指して制定。
●そうめんの日【7/7】・・「七夕(7/7)にそうめんを食べると大病にかからない」という言い伝えにもとづき、平安時代の宮中でそうめんが食べられていたことにちなんで、全国乾麺協同組合連合会が制定。
●納豆の日【7/10】・・納豆が苦手な人が多い関西地方での消費増加を目的に、関西納豆工業組合が制定。日付は「なっ【7】とう【10】」の語呂合わせに由来する。
●ハンバーガーの日【7/20】・・1971年7月20日、東京銀座にマクドナルド1号店が開店したことにちなんで、マクドナルド株式会社が制定。
●天ぷらの日【7/23】・・7/23日頃は一年で最も暑くなる二十四節気の大暑にあたり、疲労回復効果のある天ぷらを食べて夏バテを防ごうという思いから生まれた記念日。
●かき氷の日【7/25】・・かき氷の別名である「夏氷(な【7】つご【25】おり)」の語呂合わせにちなんで、日本かき氷協会が制定。
●スイカの日【7/27】・・スイカの消費拡大を願って、スイカ生産者グループが制定。スイカの縞模様を綱に見立てた「夏の綱(な【7】つのつな【27】)」の語呂合わせに由来する。
【その他】
●時候の花・・蓮(はす)、梔子(くちなし)、鳳仙花(ほうせんか) など
●旬の菜と魚・・オクラ、トマト、ピーマン、シマアジ、舌平目、岩牡蠣 など
●7月の童謡・唱歌
『たなばたさま』(作詞:権籐はなよ/作曲:下総院一)【Key:F】
おわりに
いかがでしたでしょうか。
記事で紹介したように、現在、私たちが親しんでいる七夕行事は、中国から伝わったものが時とともに形を変え、日本独自の文化として広まったものです。
七夕の夜には、その由来や意味に思いをはせながら、星を眺めてみてはいかがでしょうか。もちろん、土用の丑の日にうなぎを食べるのも忘れずに――。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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