


こんにちは、
りんとちゃーです。
臆病なペンギンは、天敵のいる海になかなか飛び込めないが、そんな中で、危険を顧みず、自ら先陣を切って海へ飛び込むペンギンがいる。それがファーストペンギン。
このドラマは、人生崖っぷちのシングルマザー・岩崎和佳(奈緒)が、窮地に陥った港の漁師・片岡洋(堤真一)から「浜の立て直し」のオファーを受け、古い慣習にしばられた漁業の世界に大革命を起こす、森下佳子オリジナル脚本による、実話をもとにしたサクセスストーリーです。
記事では、そんなドラマの名場面・名シーンを思い出せるよう、以下のことをまとめました。
■ドラマ情報(基本情報と登場人物・キャスト)
■各話ごとの名言・名セリフと気になる用語の解説
それでは、ドラマの名言・名セリフとともに内容を振り返ってみましょう。
ドラマ情報
基本情報
『ファーストペンギン!』
――日本テレビ 毎週水曜 夜10:00 2022年10月5日から12月7日まで放送
■公式情報
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■原作
「ファーストペンギン~シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡~/坪内知佳」
■脚本:森下佳子
■主題歌:緑黄色社会「ミチヲユケ」
(ソニー・ミュージックレーベルズ)」
▶【Official Video】https://youtu.be/su5o63BnOUM
■演出:内田秀実、小川通仁、今和紀
■チーフプロデューサー:三上絵里子
■企画プロデューサー:武澤忠
■プロデューサー:森雅弘、森有紗、阿利極
■制作協力:AX-ON
■制作著作:日本テレビ
■視聴率
・第1話(8.9%)・第6話(7.5%)
・第2話(7.5%)・第7話(7.0%)
・第3話(7.1%)・第8話(4.9%)
・第4話(7.7%)・第9話(7.0%)
・第5話(7.3%)・最終話(7.5%)
――ビデオリサーチ調べ
登場人物(キャスト)
●岩崎 和佳【いわさき のどか】(奈緒)・・一人息子の進とともに汐ケ崎に移り住んだシングルマザー。片岡に浜の立て直しを依頼され、漁業の世界に飛び込む。魚の直販ビジネス(お魚ボックス)のアイデアを武器に、古い慣習にしばられた漁業界に革命を起こそうと奮闘。3話の一件で漁師たちの信頼を勝ち取り、「さんし船団丸」の社長に就任する。
●片岡 洋【かたおか ひろし】(堤 真一)・・漁船団「さんし船団丸」を率いる社長。漁港の窮状を憂い、ホテルで仲居として働いていた和佳に浜の立て直しを依頼する。親分肌でまっすぐな性格。港で息子と一緒にいた和佳と亡き妻・みやこの面影を重ね合わせる。
●片岡 みやこ【かたおか みやこ】(中越 典子)・・片岡の亡くなった妻。汐ケ崎の港で片岡と出会い、結婚。その後病で倒れ、帰らぬ人となる。ペンギングッズを収集するほどのペンギンマニアで、浜でペンギンを飼いたいと考えていた。
●磯田 高志【いそだ たかし】(吹越 満)・・「さんし船団丸」の漁師。片岡の頼れる右腕で、心配性な性格。
●山中 篤【やまなか あつし】(梶原 善)・・「さんし船団丸」の漁師。片岡のことを「ひろ兄ぃ」と呼んで慕う。漁業にまったく興味がない一人っ子の長男・たくみに手を焼いている。
●山中 たくみ【やまなか たくみ】(上村 侑)・・東京で働いていたが、ある理由で実家に舞い戻ることに。漁業に関心がなく、父親に対して反抗的態度をとる。4話の一件で心を入れ替え、お魚ボックス事業に協力する。
●永沢 一希【ながさわ かずき】(鈴木 伸之)・・「さんし船団丸」の若手漁師。孤軍奮闘する和佳のことを気にかけ、さりげなくフォローする。仕事を黙々とこなし、先輩漁師から重宝されている。6話での恋人・アイナの妊娠を受けて、漁師を辞めることを決意。心苦しくも「さんし船団丸」を去ることに。
●小森 賢太郎【こもり けんたろう】(北川 尚弥)・・「さんし船団丸」に加わった新人漁師。メモ魔で効率重視の性格。大学で経済学を学び、卒業後、流通大手に勤務するが仕入れ先をめぐって上と衝突。その時にお魚ボックスの取り組みを知り「さんし船団丸」に応募する。頭は良いが人の気持ちを汲んだ行動ができず、漁師たちから反感を買う。
●岡室 爽【おかむろ そう】(長谷川 ティティ)・・「さんし船団丸」に加わった新人漁師。小中高に陸上をしていた体育会系キャラ。
●逢坂 孝徳【おうさか たかのり】(矢崎 広)・・「さんし船団丸」に加わった新人漁師。釣りが趣味。おもちゃメーカー「サンエピカ」の営業をしていたが、会社が倒産したため、漁師になることを決意。再就職先として「さんし船団丸」を選ぶ。
●杉浦 久光【すぎうら ひさみつ】(梅沢 富美男)・・漁業協同組合の組合長。地元を牛耳っていて、片岡たちは頭が上がらない。変化や改革を嫌い、よそ者の和佳に敵意を向ける。
●安野 茂【やすの しげる】(遠山 俊也)・・漁協の職員。組合長の腰巾着的な存在。
●岩崎 進【いわさき すすむ】(石塚 陸翔)・・和佳の一人息子。かつては魚が嫌いだったが、汐ケ崎の新鮮な魚を口にして以来大好物に。ペンギンが主人公の絵本「ペンギンのだいぼうけん」を持ち歩く。
●琴平 祐介【ことひら ゆうすけ】(渡辺 大知)・・東京に住む和佳の相談相手で、進のかかり付け医。実はみやこの連れ子(長男)で、洋とは義父・息子の関係にあたる。母親の死がきっかけで医者を目指すが、家が経済的に貧しかったため、医学部のお金を援助してくれる親戚(琴平家)の養子になった。汐ケ崎の病院を継ぎ、男性パートナーと一緒に開院しようと考えている。
●溝口 静【みぞぐち しずか】(松本 若菜)・・農林水産省の職員。国が推進する6次産業化プロジェクトを担当する。男社会の漁業の世界を改革しようと奮闘する和佳を陰で応援。7話では、彼女に「水産業界を救うジャンヌ・ダルクになって欲しい」と言って、自分たちの活動への参加を依頼する。
●山藤 そよ【やまふじ そよ】(志田 未来)・・息子同士が同じ保育園に通う和佳のママ友。忙しい和佳のために進を家で預かる。後に「さんし船団丸」の事務員として雇われることに。
●重森 梨花【しげもり りんか】(ファーストサマーウイカ)・・汐ケ崎漁港の魚市場の仲買人。目つきがキツく口調は乱暴だが、和佳のことをよく理解していて、漁協に内緒で魚を卸すなどして協力する。琴平とは幼馴染みで、中学の頃に告白してフラれていた。
●中川 康介【なかがわ こうすけ】(伊沢 弘)・・山口県漁業共同組合西部統括支店・統括支店長。通称「統括さん」。和佳から鮮魚の直売事業を許可するハンコを押して欲しいと迫られる。
●流山【ながれやま】(速水 もこみち)・・琴平が和佳に紹介した東京・渋谷のフレンチレストラン「モンシェリミスティーク」のシェフ。魚が実際にどう調理されているか知ってもらうため、漁師たちを店に招待した。
●平沼 俊也【ひらぬま しゅんや】(石井 正則)・・瀬戸中銀行汐ケ崎支店・支店長。東京の瀬戸中銀行の駐輪場で自転車を立てるのを手伝ってくれた和佳に、お礼として融資の提案をする。
●白峰 アイナ【しろみね あいな】(足立 梨花)・・神戸に住む永沢の彼女。ジャンクフードが大好きでお年寄りが苦手。妊娠を契機に、将来性がなく経済的にリスキーな漁師の仕事をやめてもらいたいと永沢に訴える。
●辰海 一郎太【たつみ いちろうた】(泉谷 しげる)・・汐ケ崎に地盤を持つ元議員。「さんし船団丸」を潰すことに手間取る杉浦に対して「圧じゃないです、そういう時は針です。――ま、知らぬが仏ですけど」と意味深な言葉を残す。どうやら「針」は、船団に送り込まれた「工作員」のことを示すらしい。
●波佐間 成志【はざま せいじ】(小西 遼生)・・野々宮(水産開発研究所・所長)の元部下。ペンギン好き。農水省を辞めた後、海外で漁師をしていた。現在の職業はビジネスコーディネーターで、「さんし船団丸と一緒にビジネスがしたい」と和佳に話をもちかける。
名言・名セリフ一覧
第1話(崖っぷちシングルマザーが荒くれ漁師のボスに!)
「ええとこじゃったんよ、ここは。魚は山ほど獲れたし、漁師になりたいってやつらもようけ集まってきた。
じゃ、誰がここを魚も獲れん、若いやつもこんようなとこにしたんかっちゅうたら・・、それはやっぱり、わしらなんよ。あと10年か20年か、どれだけ生きれるか分からんけども、わしゃここを元通りにして人生しまいにしたいんじゃ。」
和佳(奈緒)に浜の立て直しを依頼した片岡(堤真一)が、公衆トイレの話を引き合いに出して言ったセリフ。
▶▶かつては栄えていた汐ケ崎の港も、時代の流れとともに若い人が漁師ををやめて町を出ていき、漁港は寂れる一方。漁獲量の減少や高齢化、魚の消費減少など、環境要因によるものも大きいが、根本的な原因は、変化に対して何の対策も講じてこなかった自分たちにある。だからこそ、自らが生んだ失敗や汚点は自分自身で後始末しなければならない──、そんな片岡の自戒の思いが言葉に込められているように感じました。
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「――いろいろあるんだよ。先生とか学校に楯突くと損なことが。ま、長いもんには巻かれろってことだよね。生きていくためには・・。」
漁協を通さず魚を売るアイデアに難色を示す漁師たちの「昔からこうなってるんだ」の言葉を受け、学生時代に経験した苦い思い出を想起する和佳。そんな彼女が息子の進に言ったセリフ。
▶▶長いものには巻かれろの言葉どおり、社会で上手く生きていくためには、不合理で無駄と思えることも、ときには受け入れなければならず、革新的なことを起こしたり、仕組みそのものを変えようそうとすれば、当然のごとく既得権益者から抵抗・反発を受けてしまいます。それくらい現実を変えることは、困難で険しいもの。それでも、過去の苦い思い出を乗り越えるためにあきらめたくない和佳は、国の漁業再生プロジェクトを利用し、新たな計画を立てようとします。
物語の最後、融通のきかない漁師たちに感情を爆発させ、漁協との関係が決裂。支援が打ち切られてしまいましたが、はたして和佳は、この孤立した状況下で、窮地に陥った浜を立て直すことができるのでしょうか。
第2話(海の男たちと決裂!?「魚の直販」大ピンチ!)
「私さ、昔、長いものに巻かれたの。自分の主張曲げて、全然納得もしてないのに謝って・・。また同じことを繰り返して、自分に失望するのも嫌だし、これ折れたら、子どもにもそんな人間になるなって言えなくなっちゃうじゃない。」
話の分からない漁協にケンカを売るなど、漁師たちのために必死になる和佳に「どうしてうちらのためにそこまでするんですか?」と聞く永沢(鈴木伸之)。そんな彼に返した和佳の言葉。
▶▶漁協と敵対したことで、旅館を追い出され居場所を失い、さらに組合長・杉浦の策略でお魚ボックス事業が認定取り消しの方向に動くなど、絶体絶命のピンチに立たされた和佳。それでも彼女は屈することなく、機転を利かしたアイデアで窮地を乗り越えようとします。
子どもに胸を張って誇れるように、自分の信念を決して曲げない和佳の生き方には感心するものがあり、過去の自分を変えること、困難なことに果敢に挑戦することの大切さ・意義を強く見せつけられた気がしました。
第3話(シングルマザーに詐欺師疑惑!?裏に糸を引く男が?)
「うちの魚は日本で一番美味しいですから。だって朝方、漁が終わって、くたくたの漁師たちにその場で詰めてもらうんですよ。みんなブーブー言いながら疲れた体に鞭打って詰めてくれて・・。だから、日本で一番美味しい魚にして出して欲しいんです。」
店先で実際に料理を食べて魚を売るかどうか選定する和佳に「手間のかかった営業するね」と話しかける寿司店「さな田」の大将(六平直政)。そのとき和佳が返した言葉。
▶▶ようやく漁協の許可が降り、お魚ボックスが本格的に開始。和佳は取引先を探すために単身で東京に出向き、営業に尽力する日々が続きます。そんな中、和佳が詐欺師ではないかという噂が漁師たちのあいだで広まり、次第にさんしたちに疑惑の目が生まれてきて・・。
漁師たちが釣った日本一美味しい魚を売るために、身を削って1日に何十件もの店を回っていた和佳。そのことを知らされた漁師たちは、彼女を疑ってしまったことを深く恥じ入り、怒って出ていった和佳を呼び戻そうと外へ駆け出します。
その最後のシーンは、絵本の中でファーストペンギンの後を追うペンギンそのもので、コミカルでありながらどこか胸を打つ、そんな心あたたまる結びになっていたと思います。
第4話(天才フレンチシェフVS漁師軍団!)
「でもカッコいいです。ロマンしかねぇって言う社長も、啖呵切るオッサンも、あのシェフも、あのシェフに認められているうちの魚も、熱くなってるみんなも、バカすぎて何一つビビらないうちの親父も。結局、終わっていたのはオレだけじゃんって・・。」
レストランの外で不良みたいな格好で座る漁師たちを見て言った、たくみ(上村侑)のセリフ。
▶▶和佳が「さんし船団丸」の社長に就任した直後、お魚ボックスでトラブルが発生。代品発送が続き、会社は大きな赤字を抱えることになります。そんな中、魚の扱い方一つでどれだけ味が変わるかを知ってもらうために、和佳は漁師たちを東京のフレンチレストランに連れて行くことになって・・。
東京で働いていた時に、田舎者に思われないかと周りの目ばかり気にしていたたくみ。彼の父親への反抗的態度は、その時の臆病でダメな自分を、冴えない父親の姿と重ね合わせた結果生まれたものだということが明らかになります。そんなたくみの心を変えるきっかけとなったのが、愚直なくらいロマンを追い求める和佳と、都会の者になめられないようにと虚勢を張る漁師たちの姿でした。
バカみたいに真っすぐで、恐れ知らずで──、そういった人間くさい生きざまは、時として魅力的に思えるものなのかも知れません。
第5話(謎に包まれた「先生」の正体とは!?)
「そんなこと、先生だって分かってるよ。それでもそうしたいんだよ。その時にきっと一番つらい思いをするのは片岡さんで、だからこそ分かってほしいんだよ。『しんどい思いをさせるよね』って、でも『ぼくはこうしたいんです。分かってください、お父さん』ってそう言ってるんじゃないかな。」
都会と違って田舎の漁港では同性愛について理解されにくく、浜に戻ってくれば周囲からの目に苦しむことになるのではないかと心配する洋(堤真一)。そんな洋に言った和佳のセリフ。
▶▶東京の銀行の駐輪場で和佳が手助けした男性は、何と汐ケ崎の銀行の新支店長で、お礼代わりに融資をしてもらえることに。その後、増えた資金でスマホ受注システムの導入や車の購入・事務員の雇用などが行われ、お魚ボックス事業は軌道に乗り始めます。そんな中、琴平が洋の息子であることが判明。さらに彼が「自分は同性愛者である」と告白することになって・・。
自分が浜に戻ることでみんなに迷惑がかかり、自らもつらい思いをするかも知れない。だからこそ父親にだけは理解していてほしい。そう琴平が考えているのではないかと語る和佳。分かってくれる人、味方になってくれる人がいれば、どんな状況でも頑張って前向きに生きていける──。そんな彼女の実体験で得た思いを感じさせる言葉でした。
第6話(テレビ出演で港に大波乱!?)
「でも、最後は私たちが勝つよ。だって私たちは間違ってないから。だから敵をつぶすなんてセコいこと考えないで、仲間を増やしていこうよ。そうやって日本中に仲間が増えていけば、それはきっといつか大きな波になってさ、日本中の浜が蘇っていってさ・・。
――そんなふうになるには5年、10年かかるかも知れない。でもいつかそんな日にきっとなる。だからよそ見せず、前だけを向いて真っすぐ歩いていこう。」(一部割愛)
「自分たちの夢は漁協をつぶすことではなく、浜の活気を取り戻すことだ」と主張する和佳に、「また漁協がそれを邪魔するじゃろう」と危惧を訴える洋。そんな彼に和佳が続けて言ったセリフ。
▶▶「神戸に住む彼女・アイナに子どもができたから漁師を辞めたい」と和佳に告白した永沢。それを聞いた和佳は「浜に彼女を連れてきて子育てすればどうか」と提案しますが、肝心のアイナが汐ケ崎に住むことを拒否。さらに彼女は「将来性がなく経済的にリスクの高い漁師の仕事を永沢にはやめてもらいたい」と主張してきます。そんな中、お魚ボックスをテレビ取材したいという話が舞い込んできて・・。
直販ビジネスに続けてテレビの取材を受けるなど、目立つ行動をしたことで他の漁師のやっかみを買い、嫌がらせを受けることになった「さんし船団丸」。その後、和佳の提案で、証拠を集めてテレビで嫌がらせの事実を告発しようという流れになるのですが、実際に放送されたテレビで告発がされることはありませんでした。
自分たちを村八分にした人間に報復するのではなく、結果を出すことで周りを認めさせればよい、そう考える和佳。目の前にどれだけ敵が現れても動じず、ロマンを求めて正々堂々と立ち向かう彼女の姿には、感服するくらいの格好良さを感じます。
第7話(「クセ強」新人登場!船転覆で絶体絶命!?)
「岩崎さん、ジャンヌ・ダルクになってもらえませんか?
『さんし』を、『お魚ボックス』を成功のロールモデルにし、漁業者の意識を、そして地元の漁協の意識を変えていく。草の根から6次化を進め、いつしか全体像を書き換える――。
岩崎さん、あなたは水産業界を救うジャンヌ・ダルクになるんです。」
お魚ボックス事業を成功させた和佳に「水産業界の未来を変える力があなたにはある」と語気を強めて言った溝口(松本若菜)のセリフ。
▶▶テレビの取材を受けたことで知名度が上がり、新たに3人の漁師が加わることになった「さんし船団丸」。そんな中、和佳が農水省の溝口から「日本の水産業界を救うために自分たちの活動に参加してほしい」と依頼を受けることになり・・。
ジャンヌ・ダルクと言うと少し大げさな気もしますが、漁業の世界に革命を起こした和佳は、確かに救世主と言える存在です。特に、お魚ボックスの評判で汐ケ崎の魚がブランド化して値が上がるなど、彼女が周囲にもたらしたプラスの影響は計り知れません。
物語の最後、船が転覆寸前になるというトラブルが発生し、その後の口論の果て、「さんし船団丸」の漁師たちがバラバラになってしまいましたが、はたして和佳は、彼らを再び呼び戻し、本物のジャンヌ・ダルクとなることができるのでしょうか。
第8話(突然の倒産危機!新たな出会い・・敵か味方か!!)
「どうせわしが悪いんじゃ。船ひっくり返りそうになんのも、みんなが辞める言うんも、社長が赤ネクタイにキャーキャー言うんも、全部わしのせいなんじゃ。全部わしのせいにしとったらいいんじゃ。」
東京に居たまま汐ケ崎へ帰ろうとしない父親(洋)に、「お魚ボックスの再開を待っている人がいるのに、無責任じゃないかな」と咎め立てる琴平。そんな彼に言った洋のセリフ。
▶▶船転覆の一件で漁師たちが辞め、和佳・洋・小森の3人だけになった「さんし船団丸」。後に、船のロープを切った犯人が逢坂だと判明し、仲違いして出ていった漁師たちが帰ってくることになるのですが、肝心の洋が東京で和佳に置き去りにされたまま戻っていなくて・・。そんな中、銀行から電話が入り、融資が突然に打ち切り。漁協の杉浦もお金を返せと言い出し、「さんし船団丸」は再び窮地に立たされることになります。
問題の火だねを作ったのは自分だとして、なかば自棄的になる洋。そんな彼の言葉の中には、仲間からの信頼を失ったことへの痛みや苛立ち、夢を追い求める和佳に協力すると言って現れた波佐間への嫉妬心など、いくつもの心情が入り混ざっているように思えました。真っ直ぐで責任感が強い洋の心は、どうやら思った以上に傷つきやすいみたいです。
第9話(「浜の救世主」と急接近!?忍び寄る黒い影・・)
「嫌がらせされてもここまで頑張ってきたのは社長なのに、片岡さんなのに、さんしなのに。結局最後は持ってかれるなんて。ぽっと出ててた間男に、全部持ってかれるなんて。
僕が入ったのは、篤(あつし)と高志(たかし)と洋(ひろし)の『さんし』です。篤(あつし)と高志(たかし)と成志(なるし)の『さんし』じゃないんです。」
船団でリーダー的資質を発揮する波佐間(小西遼生)に飲まれっぱなしの和佳。そんな彼女の社長らしくない姿が見ていられないと言って、永沢がさんしたちにぶつけたセリフ。
▶▶漁師としての知識やスキル、説得力ある弁舌で漁師たちの心をつかみ、船団の中でリーダー性を見せ始めた波佐間。そんな彼が、やがて和佳や洋が作り上げてきたものまで奪ってしまうのではないかと危惧した永沢は、さんしたちの前で思いの内をぶつけます。
浜の船団を一つの会社組織にする計画を打ち出し、それに敵対する漁協をつぶそうとする波佐間の企業家的考え方は、和佳の思い描いた理想像と少しずれがあり、そんな彼女の気持ちをどこかで感じ取ったからこそ、永沢は波佐間に嫌悪の情を抱いたのでしょう。
物語は最後、計画の裏に隠された大きな企みが浮かびあがり、和佳は浜の窮地を救うどころか、すべてを明け渡す結果になってしまいましたが、次回最終回で、彼女とさんし船団丸は、奪われた浜を取り戻すことができるのでしょうか。
最終話(最終回!戦いと別れ・・和佳のラスト啖呵に涙)
「――続けてよ。私、これでも必死で考えてたんだよ。生まれてから一番頑張ったんだから。この先にはいつか、絶対にすごい未来が待っているから。すごい景色があるはずだから。それを見せてよ。私にそれを見せてください。どうかお願いします。」
浜を去るという和佳の話を聞いて「ならボックスをやめればいいが」と口にする洋。そんな洋に啖呵を切りながら言った和佳の後半のセリフ。
▶▶外国資本に浜を売り渡す不祥事を起こした責任をとり、お魚ボックス存続のために、自らさんし船団丸を辞めることを決意した和佳。夢半ばにして浜を去ることは、彼女からすると非常に悔しいことでしたが、今まで敵対関係にあった漁協が和佳の熱意にほだされてお魚ボックスへの協力を申し出たり、漁師たちの漁業への意識が以前より強まったりと、周囲の環境はいつの間にか大きく変化していて、そのおかげで和佳は心置きなく浜を離れ、残りのすべてをみんなに託すことができたようでした。
その後、和佳の変革によって生まれたお魚ボックスは、さんし船団丸に受け継がれ、彼女の夢を叶えるようにして成長を遂げていきます。そして10年後――。さんし船団丸・汐ケ崎の漁師・漁協が一丸となって作り上げた浜の生まれ変わった姿は、まさに和佳が描いた未来の景色そのもので、その感謝の気持ちを息子の進が洋に伝える最後のシーンには、絵になるような美しさがありました。
用語解説
ファーストペンギン (1話)
集団で行動するペンギンの群れの中から、シャチやアザラシなどの天敵がいる海へ、エサを求めて「い」の一番に飛び込む一羽のペンギンのこと。
転じて、リスクを顧みず、初めてのことにでも果敢にチャレンジする人のことを、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼ぶ。
さんし船団丸 (1話)
音船漁港を本拠地とする漁船団。名前の「さんし」は、会社を立ち上げた3人の名前(篤【あつし】・洋【ひろし】・高志【たかし】)にちなんだもの。
へんくう (1話)
「偏屈」「ひねくれた性格」を意味する山口弁。
6次産業化 (1話)
1次産業である農林漁業者が、生産物の価値を高めるために、2次産業(食品加工)や3次産業(流通・販売)にも取り組み、農山漁村の活性化ならびに、農林漁業者の所得の向上を図ること。6次の6は、1次・2次・3次の数をかけ合わせたもの。(1次×2次×3次=6次)
三方よし (1話)
商売(事業活動)は、「売り手」「買い手」「社会」の三方みんなが得するものにすべきという教訓。江戸時代中期に全国的規模のビジネス活動を行った、近江商人の思想を伝えたもの。
ドラマでは、売り手は漁師、買い手は消費者、社会は仲買や漁協にあたると語られた。
千丈(せんじょう)の堤(つつみ)も蟻(あり)の一穴(いっけつ)から潰(つ)ゆ (2話)
――ほんのわずかな不注意・油断から大事を引き起こすことのたとえ。
どれだけ大きな堤防でも、アリが開けた小さい穴からほころびがはじまり、ついには崩れてしまうという中国の古典「韓非子(かんぴし)」の一節に由来する故事成語。
混獲魚(こんかくぎょ) (2話)
意図せずに漁獲してしまった魚、混じりの魚のこと。
「さんし船団丸」ではアジ・サバ・イワシを狙って網をかけているが、それに混ざってタイ・アマダイ・トビウオ・カツオなどの魚が穫れることがある。混獲魚は、売るルートが確立されていないため、自分たちで食べるか、二束三文で仲買いに引き取ってもらうか、廃棄料を払って処分するしかない。
和佳はこれに目をつけ、扱いに困っていた混獲魚をお魚ボックスを通して積極的に販売。資源を有効活用して漁港の収益アップにつなげようとした。
ちゃんこ (2話)
「座って」を意味する山口弁。主に子どもを座らせる時に使う。
血抜き (4話)
エラの付け根の上部にナイフを刺し、背骨の下にある血管を断ち切ること。血抜きをすることで魚の鮮度が保たれ、血で生臭くなるのを防ぐことができる。
カワハギの地域名 (4話)
ひし形の身体にすぼまった口が特徴のフグの仲間「カワハギ」は、地域によって呼び名が異なり、富山県では「コウモリ」、山口県では「メイボ」と呼ばれている。
ウニつぶし (6話)
海ではたまにウニが大発生することがあり、放っておくと磯場が死んで魚が獲れなくなる。そこで、それを防ぐために漁協関係者が定期的にウニつぶし(ウニ退治)を行っている。
ジャンヌ・ダルク(Joan of Arc) (7話)
15世紀に活躍したフランスの軍人・聖女。別名「オルレアンの乙女」。
天の啓示を受けて、1429年にオルレアンの解放を指揮。百年戦争でフランスの窮地を救った。2年後の1431年、イギリス軍に捕らえられ、異端としてルーマンで火刑に処された。
貸し剥がし(かしはがし) (8話)
銀行などの金融機関が、融資した個人や企業に対して、返済期限より前に返済を求めること。融資が不良債権化する可能性があると判断した場合や、総融資額を減らして、自己資本率を高めようとしたときに、この「貸し剥がし」が行われる。
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