
こんにちは、
りんとちゃーです。
気温が高くなって、桜の開花が待ち遠しくなる時節となりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
新年度の「4月」は、新入生や新社会人にとっての新しい生活のスタートとなる時期です。
そんな始まりの季節「4月」には、桜の花を愛でて宴を開く「お花見」や、お釈迦様の生誕を祝う「花祭り」など、桜や花にまつわる行事がいくつか催されます。
記事では、以下のことをまとめています。
■花見とお茶菓子(花見団子・桜餅)の由来
■花祭りについて
■2023年4月のカレンダー【付録】
花(桜)に関する雑学を学んで、花見の席の話のネタにしましょう。
花見【4月上旬~中旬】
古くから日本人に親しまれてきた、春の定番行事の「花見」。
「さくら(桜)」の「さ」が田の神様、「くら」が神様の鎮座する席を意味するように、もともと「花見」は、米作りを守護して五穀豊穣をもたらしてくれる「田の神様」をもてなすための習わしでした。
「桜」を愛でて楽しむようになったのは平安時代のことで、当時の貴族たちは、酒を酌み交わして詩歌を詠みながら観桜を満喫していました。その後、江戸時代になると「花見」が庶民の間にも広まりを見せ、「花見団子」や「桜餅」をお供として一緒に食べるようになったと言われています。
花見団子
「花見団子」の誕生のルーツは、豊臣秀吉が行った「醍醐(だいご)の花見」という宴にあります。
「醍醐の花見」は、京都の醍醐寺の山麓に700本の桜を植樹し、1300人もの人を招いて盛大に酒宴を開くというもので、この花見の席のお茶菓子として振る舞われていたのが「花見団子」でした。
花見団子の桜・白・緑(●◯●)の3色にはそれぞれ意味があり、桜●は春の桜の花、白◯は冬の雪、緑●は夏の新緑を表しています。
※季節の秋だけが存在しないことから、「秋ない=飽きない」のダジャレが含まれているという説もあり。
また、一般的な花見団子は、串の先から桜・白・緑(-●◯●‐)の順に刺さっていますが、これは桜のつぼみ【●】▶桜の花【◯】▶葉桜【●】という桜の木の変化を表現したものです。
桜餅
「桜餅」には、道明寺粉を蒸した餅(もち)生地のものと、小麦粉を薄く伸ばして焼いた生地のものの二種類があり、それぞれを「関西風」「関東風」と呼びます。
●関西風・・もち米を原料とする道明寺粉で作った皮であんを包み、塩漬けした桜の葉を巻いたもので、別名「道明寺(どうみょうじ)」と呼ばれる。全国的に広く普及しているのが、この関西風(道明寺)の桜餅。
●関東風・・食紅で染めた小麦粉の生地をクレープ状にした皮でこしあんを包み、塩漬けした桜の葉で巻いたもの。江戸時代に長命寺(ちょうめいじ)の門番をしていた山本新六(やまもとしんろく)が門前でこの桜餅を販売していたことから「長命寺」と呼ばれている。
ちなみに、桜餅に巻かれている桜の葉は、葉の大きいオオシマザクラという品種のもので、桜の葉には、香り付けや乾燥予防、雑菌の繁殖を防いだり、塩味を付ける役割があります。
■豆知識①「ソメイヨシノはクローン桜」
街路沿いや公園でよく見かける、私たちに馴染み深い桜のソメイヨシノは、江戸時代に「オオシマザクラ」と「エドヒガシザクラ」を品種改良してできた交雑種で、全国の桜の8割を占めています。
実はこのソメイヨシノ、同じ原木を接ぎ木で増やしたクローン桜にあたり、全て同じ遺伝子を持っています。そのため、同じ地域にあるソメイヨシノは、春になるとまるで口裏を合わせたかのように同時に開花するのです。
花祭り【4/8】
「花祭り」は、4月8日のお釈迦様の誕生日を祝う行事で、別名を「灌仏会(かんぶつえ)」「降誕会(こうたんえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」と言います。
お寺には、菜の花・すみれ・椿など、季節の花々で彩られた「花御堂(はなみどう)」が建てられていて、お堂の中には、甘茶で満たした「水盤」と「お釈迦様の誕生仏像」が安置。参拝者はこの像の頭上に杓子で「甘茶(※1)」を注いで、厄除けや身体頑強を祈願します。
(※1)甘茶(あまちゃ)・・ユキノシタ科のアマチャヅルの葉を乾燥させて煎じたお茶のことで、お釈迦様生誕時の「甘露の雨」を表している。苦しみを和らげ、死者を蘇らせる霊力を秘め、参拝者はこれを竹筒や瓶に入れて持ち帰って飲んでいた。
お釈迦様は、古代インドの「ルンビニーの花壇」で生まれ、生後すぐに「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と話したと伝えられていて、色とりどりの花で飾られた「花御堂」はその時の花壇を、「水盤」は大地の祝福として咲いた蓮(はす)の花を模しています。
また、甘茶を注ぐのは、お釈迦様の誕生の際に空から「甘露【かんろ】(=インド神話に登場する不老不死の霊薬)」が降ったという伝説にちなんだものだと言われています。
2023年4月のカレンダー【付録】
最後に、付録として2023年度4月の行事・祝日・二十四節気・記念日などが分かるカレンダーを載せておきました。日々の生活にお役立てください。
【国民の祝日】
●昭和の日【4/29】・・激動の日々を経て復興を遂げた、昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日。もともとは「天皇誕生日」で、1999年から「みどりの日」に。その後の2007年に「昭和の日」に変更になった。
【二十四節気】
●清明(せいめい)【4/5】・・「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」を略した言葉で、春の浅い時期の清らかで生き生きした様子を表す。鳥がさえずり、菜の花が咲き始める春たけなわの時候。
●穀雨(こくう)【4/20】・・春の終わりの時候。けむるような春雨が降って、田畑をうるおし、穀物の生長を助けてくれることが名の由来。この時期に降る長雨は、旬の菜の花にちなんで「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ばれている。
【記念日】
●エイプリルフール【4/1】・・毎年4/1に行われる、罪のないウソやいたずらで笑わせても良いという風習。大正時代に欧米から伝わった。
●いんげん豆の日【4/3】・・1673年4月3日に中国からいんげん豆を持ってきた隠元(いんげん)禅師の命日にちなんで規定。
●あんぱんの日【4/4】・・1875年(明治8年)4月4日に、老舗パン屋・木村屋が明治天皇にあんぱんを献上したことにちなんで制定。
●コンビーフの日【4/6】・・1875年(明治8年)のこの日に、「コンビーフ」の台形の缶がアメリカで特許登録された。
●十三参り【4/13】・・旧暦3/13に行われる13歳になる男女を祝う日。晴れ着をまとって観音様をお参りし、健やかな成長を祈願する。法輪寺(京都)や浅草寺(東京)が有名。
●オレンジデー【4/14】・・バレンタインデー、ホワイトデーで愛を確認した2人が、その愛をより確かなものにする日。愛媛の柑橘農家が、オレンジに関する風習を広く楽しんでもらおうとして発案。
●タイタニック号の日【4/14】・・1912年4月14日の深夜、ニューヨークに向かっていた豪華客船・タイタニック号が北大西洋ニューファンドランド沖で氷山に衝突。翌日未明に沈没した。死者は1514人で、当時の海難事故では最大の死者数となった。
●よい歯の日【4/18】・・「よ(4)い(1)歯(8)」の語呂合わせから、「いつまでも美味しく食事をとれるよう、口の中の健康を保ってもらいたい」という願いを込めて日本歯科医師会が制定。
【その他】
●旧暦4月『卯月(うづき)』・・名前の由来には、「卯の花(ウツギの白い花)が咲く時期だから」という説や、「稲を植える」という意味の「植月(うえつき)」が転じて「うづき」になったなど、諸説ある。
●4月の英名『April』・・古代ローマで、4月1日に、愛と美の女神「ヴィーナス」を称える「ウェネラリア(Veneralia)」が行われていて、彼女と対になるギリシャ神話の神「アフロディーテ(Aphrodite)」が名前に取り入れられた。
●時候の花・・牡丹(ぼたん)、れんげ草、山吹(やまぶき) など
●旬の菜と魚・・たらのめ、たけのこ、かつお、あさり など
●4月の童謡・唱歌
『さくらさくら』(日本古謡/日本古謡)
『花』(作詞:武島羽衣/作曲:滝廉太郎)
『春の小川』(作詞:林柳波/作曲:岡野貞一)
『春が来た』(作詞:高野辰之/作曲:岡野貞一)
おわりに
いかがでしたでしょうか。
個人的に、花見団子というシンプルな素材に、四季の移ろいや桜の成長といったメッセージが込められているところに、昔の日本人の小粋さやセンスを感じました。
花見の席で団子が出た際に、それぞれの色の由来に思いをはせながら食べると、また違った味わいを覚えるかも知れませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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■【2023年(令和5年)】年中行事・イベントカレンダー
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