【月9ドラマ】『ミステリと言う勿れ』第1話のあらすじと感想(ネタバレあり)

カレーライス日和2022年冬ドラマ

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

先日の1月10日(月)にドラマ「ミステリと言う勿れ」第1話が放送されましたが、皆さんはご覧になられましたか?

原作は田村由美の同名漫画「ミステリと言う勿れ」。人気俳優・菅田将暉が演じる、アフロヘアーの風変わりな大学生・久能整(くのうととのう)が、卓越した観察眼と、既成概念にとらわれない推理力を武器に淡々と持論を展開し、事件の謎だけでなく悩める人の心をも解きほぐしていきます。

■第1話(変わり者の大学生が殺人容疑、真実は人の数だけある)のあらすじ


天然パーマのアフロヘアーが特徴的な大学生・久能整(菅田将暉)の楽しみはカレーを作ること。ある日、彼のアパートに大隣警察署の警部補・藪(遠藤憲一)と巡査・池本(尾上松也)が現れ、「近くの公園で起きた殺人事件の容疑が君にかかっている」と言って、整を署に連行してしまいます。その後、取調室での刑事からの執拗な追求に整は「目撃者が本当のことを言っている証拠は?」とか、「犯人がナイフに指紋を残すなど浅はかなことをするでしょうか?」と理屈を並べ立て、相手の推理の穴を次々と指摘。面倒くさいやつだな、と刑事たちを困らせます。そんな風変わりな大学生・久能整が最終的にたどり着いた、事件の驚くべき真相とは――。主人公が独自の見解を一人語りしながら、事件の謎と人の心を解いていく新感覚のミステリドラマ、いよいよ開幕です。

記事では、以下のことをまとめています。

登場人物(キャスト)の紹介
第1話の詳しいあらすじと感想(ネタバレあり)
ドラマ情報(公式サイト・原作・主題歌など)

ドラマを見逃した人でも物語の大まかな概略が理解できるように、セリフを交えて詳しめにまとめました。

ストーリーの把握や内容のおさらいとしてご活用ください。




登場人物(キャスト)

久能 整【くのうととのう】(菅田 将暉)・・天然パーマのアフロヘアーが特徴の風変わりな大学生。趣味はカレー作り。卓越した観察眼と既成概念にとらわれない推理力で、持論をあざやかに展開する。
風呂光 聖子【ふろみつせいこ】(伊藤 沙莉)・・大隣警察署の新人刑事。男社会の警察組織の中で、女だからと甘く見られたりバカにされることに思い悩み、一時は辞職も考えるが、整と出会いをきっかけに自身の存在意義を見出だす。
池本 優人【いけもとゆうと】(尾上 松也)・・大隣警察署・巡査。お調子者でひょうきんな性格。妊娠中でナーバスになっている妻との関係に思い悩んでいたところへ、整が的確な助言をしてくれたことで夫婦生活は円満に。その後は何かに付けて整にアドバイスを求めるようになる。
薮 鑑造【やぶかんぞう】(遠藤 憲一)・・大隣警察署・警部補。署内では「仕事の鬼」「刑事の鑑」と呼ばれる。仕事優先の生き方をしてきて、家庭のことはほとんど顧みなかった。今回の事件では、刑事の勘から犯人は整に違いないと断定。執拗に彼を追求する。
青砥 成昭【あおとなりあき】(筒井 道隆)・・大隣警察署・警部。もとは警視庁捜査一課のポストにいたが、無実の人間を逮捕するというえん罪事件を起こし、飛ばされることに。整の「真実は一つではなく、人の数だけ存在する」という言葉に影響を受け、もう一度新たな視点で過去の事件へ向き合おうとする。




あらすじと感想(ネタバレあり)

カレーライス日和

イントロ ~カレー日和~

アパートのベランダから外を眺める青年・久能整(菅田将暉)。

「秋は夕暮れ、まだ朝だけど・・。うん、カレー日和だ。」

そう言って部屋に戻り、カレーの支度を始めていると、突如チャイムが鳴り響きます。玄関に出てみると、そこには何と大隣警察署の警部補・薮鑑造(遠藤憲一)と巡査・池本優人(尾上松也)が立っていました。

藪は整に聞きます。

「久能・・せいさん?」

「ととのうです。久能整(ととのう)。」

「整(ととのう)さん。昨夜の10時頃どちらにおられましたか?」

「え、家でカレー作ってましたけど。」

「お一人で?」

「ええ、一人です。近所で事件でもあったんですか?」

藪は公園の方を指差し、こう言います。

「そこの公園でご遺体が見つかったんです。被害者は寒河江健(さがえけん)さん。同じ大学だそうで。少しお話を聞きたいので、署まで来てもらえますか?」

「全然親しくないんですが・・。今、被害者って言いましたよね。つまり、寒河江が殺されていて、僕が犯人だと疑われているわけですか?」

藪はそうだと言わんばかりの顔で、再度言葉を繰り返します。

「ご同行願えますか?」

1日目 ~事情聴取~

大隣警察署 取調室――。

整の事情聴取を藪が開始します。

「整くん、寒河江さんとは高校の時も同じクラスだよね。彼はあなたから見てどういう人物でしたか?」

「金持ちのボンボンです。父親が何かの社長で、親戚が議員さんで、小遣いたくさんもらってて、チャラくて派手で・・」

「親しくないのによく知っているね。しかも悪意のある言い方だ。彼が嫌いだったの?」

「あんまり近寄りたくないタイプでした。向こうもそうでしたから、何の接点もないです。」

「実は目撃者がいるんだよ。」

その言葉に驚いて「目撃者?」と聞き返す整。

「犯行時刻の夜10時頃、現場の公園で君と寒河江くんが言い争っているのを見たそうだ。」

「公園って・・、あそこ暗いのによく見えましたね。その人は何をしてたんですか?僕はどんな服を来てました?て言うか、皆さんその目撃者の人をよく知ってるんですか?」

「知るわけないだろ。善意の第三者だ。」

息を飲む藪の後ろで、警部の青砥(筒井道隆)が言葉をはさみます。

「なら僕と同じ立場ですよね。皆さんがよく知らない人物。それなのにどうして、その人が本当のことを言っていて、僕の方が嘘をついていると思えるんですか?あと、何もしていない僕を『えん罪』に落とし込むほど、警察はバカじゃないですよね。それともバカなんですか?

――もういいですよね、じゃ僕帰ります。」

そう言って席を立って帰り支度を始める整。そんな彼に向けて藪は言います。

「整くん、すまんが取り調べは夜までかかる。あと、明日も来てくれるかな。」




2日目 ~ネコの気持ち~

取調室にやって来た新人刑事の風呂光聖子(伊藤沙莉)と巡査・池本。

指紋をスキャナーで採取しようとする風呂光に、整は言います。

「ペットが死んだんですか?ちょっと小耳に挟んだもので・・」

「そうなんですよ。」

隣にいた池本が事情を話します。

「こいつ、ちょっと目を離したすきに死なれたって落ち込んじゃって。」

「目を離したってことはネコですか?――きっとそのネコは、風呂光さんのことが大好きだったんですね。」

思わぬ言葉に、顔を向ける風呂光。

「あなたに死ぬところを見せたくなかったんです。そういうのはネコに限ったことでなくて、うちの母方の祖母も、そばに人がいなくなったのを見計らったかのように亡くなりました。僕はそれは祖母の意志だと思います。強くて優しい人だったから。だから、死ぬところを見られたくなかったし、見せたくなかった。それは祖母の、ネコのプライドと思いやりです。」

続けて池本が事情聴取を開始します。

「おとといの夜10時、どこにいたんでしたっけ?」

その質問には答えず、池本を観察するように凝視する整。

見つめられて思わず「何か?」と聞く池本に、整は言います。

「奥さん、何ヶ月ですか?あと、ケンカでもしたんですか?」

話してもいないことをズバリと当てられ「何で分かるの?」と慌てる池本。

「シャツはアイロンかかってないし、靴は汚れているし、でも着替えてるから泊まり込みってわけではなさそうだし・・、昨日はもっとちゃんとしてました。」

その言葉に「警察官だから忙しくてなかなか家に帰れないんだ」と弁明する池本に、整は「家のことは奥さんに任せきりですか?」とさらに聞いてきます。

池本は答えます。

「ゴミ捨てはちゃんとしているよ。だから、俺のこと少しぐらい感謝してくれてもいいのに・・」

妻への不満を述べる池本に、整はこう続けます。

「ゴミ捨てって、家中のゴミを集めることから始まるんです。分別できてなかったらして、袋を取り替えて、生ゴミの水切って、ついでに排水口の掃除して、ゴミ袋の在庫あるかチェックして、そうやって一つにまとめるんです。そこまでが面倒なんですよ。外にゴミ出すだけで感謝しろって言われても・・、奥さん妊娠しているんですよ、身体しんどいじゃないですか。」

ごもっともな指摘に、池本はぐうの音も出ません。

3日目 ~女刑事の存在意義~

昨日の事情聴取の続きをする池本。

そこへ風呂光がやって来て「池本さん、青砥さんが呼んでます」と声をかけ、自分はそのまま帰ろうとします。

それを見て「しないんですか、事情聴取?」と聞く整。

風呂光は憤慨したようにこう言います。

「バカにしてるんですか?どうせ私なんか何もできないって思ってるんでしょ。女だからってなめないでください。」

「なめてませんよ。・・というか、風呂光さんがなめられないように気をつけないといけないのは、この署のおじさんたちだと思います。それこそが、風呂光さんの存在意義だと思います。

僕は偏見のかたまりで、無茶なことを言いますが、おじさんたちって、特に権力サイドにいる人たちって、徒党を組んで悪事を働くんですよ。都合の悪いことを隠蔽したり、こっそり談合したり、汚い金を動かしたり・・。そこに女の人が一人混ざっていると、おじさんたちはやりにくいんですよ。悪事に加担してくれないから、鉄の結束が乱れるから。風呂光さんがいる理由って、それじゃないですか?おじさんたちを見張る位置。

男のロマン至上主義の人たちに混ざれないって思ってるんでしょうけど、至上でも何でもないから、あなたは違う生き物なんだから、違う生き物でいてください。」

続けて、風呂光とバトンタッチするようにして取調室に入ってきた藪。

「整さん、料理が得意と聞いたが、果物ナイフは持っているか?実は、凶器が出たんだ。」

藪はそう言って、整に一枚の写真を差し出します。

「お前の指紋がついた果物ナイフだ。そこに付着した血液が、被害者のものと一致した。何ブロックか離れたマンションのゴミ捨て場に捨てられていて、あそこにはうるさい婆さんがいてな、住民のゴミをチェックしているんだ。お前のうちの近所のゴミ袋に入っていた。」

その追求に対して「僕はバカですか?」と返す整。

「うちにある指紋のついたナイフを使って、それを拭いもせず、手袋もせず寒河江を刺して、素手でコンビニの袋に入れて捨てたんですか?」

「そういうもんなんだよ、普通ではしないことをしてしまう。タガが外れるんだよ、人を殺そうって時には。」

「でも、この場合二通り考えられますよね。一つは、僕が僕のナイフを使って寒河江を殺害した場合、もう一つは、誰かが僕のナイフを盗んで、手袋などをして寒河江を殺害した場合。この二つは結果が同じになります。その違いをどうやって見分けるんですか?」

屁理屈ばかり言ってくる整に、苛立ちを覚える藪。

そこへ青砥が「令状がおりました」と言って部屋に入ってきて、整の家の家宅捜索が、急遽行われることになります。

突然の決定に動揺する整。その様子を見て藪は言います。

「押し入れに大麻でも栽培しているのか?ノートパソコンからヤバい履歴でも出てくるのか?」




3日目② ~人の数だけある真実~

藪が池本と風呂光を連れて整の家に向かい、取調室には青砥と整、二人だけが残されます。

沈黙の中、口を開く青砥。

「部下たちを手なづけても無駄だよ。うちは藪さんが仕切っている。ホシを挙げるために命を投げうってきた、まさに刑事の鑑だ。3年前の夏に、ひき逃げ事故で奥さんと息子さんを亡くした時も、張り込みで動けなかった。」

その後、整がふと思い出したようにして青砥に言います。

「僕は中2の頃に、あなたを週刊誌で見たことがあります。」

実は青砥は、本庁の捜査一課に勤めていた頃に、無実の人を逮捕するというえん罪事件を起こし、マスコミに叩かれていたのでした。その事件の名は『連続幼女殺人事件』。

青砥はその頃を振り返るようにして、内情を語ります。

「あれは、えん罪じゃなかったんだ。今でも俺はあいつを犯人だと思っている。同じ案件では裁けないが、いつかあいつを捕まえてやる。どんなに虚言を尽くしても、真実は一つなんだからな。」

「真実は一つなんかじゃないですよ。」

青砥の言葉に反論する整。

「例えば、AとBがいたとします。ある時、階段でぶつかってBが落ちてケガをした。Bは普段からAにいじめられていて、今回もわざと落とされたと主張する。ところがAはいじめている認識など全くなく、遊んでいるつもりで今回もただぶつかったと言っている。どっちも嘘をついていません。この場合、真実って何ですか?」

「そりゃ、Aはいじめてないんだから、Bの思い込みだけで、ただぶつかって落ちた事故だろう。」

「そうですか?本当に?いじめていないというのは、Aが思っているだけです。その点はBの思い込みと同じです。人は主観でしか物を見れない。自分が正しいとしか言えない。どちらも嘘をついていなくても、話を盛っていなくても、必ず食い違う。AにはAの真実が全てで、BにはBの真実が全てです。

だからね、青砥さん。真実は1つなんかじゃないし、2つや3つでもない。真実は人の数だけあるんですよ。でも事実は1つです。この場合、AとBがぶつかってBがケガをしたってことです。警察が調べるべきなのはそこです。真実とか、あやふやなことにとらわれているから、えん罪事件が起きるんじゃないですか?」

数時間後――。

藪が家宅捜索で見つかった「借用書」のコピーを整に見せ、こう言います。

「寒河江から金を借りるつもりだったのか?あと、寒河江の部屋から何人かに金を貸したというメモが見つかった。」

さらに「金があることを鼻にかける寒河江を嫌っていたのか?妬んでいたのか?」と畳み掛ける藪。

しかし整は、煮え切らない返事を返すだけで、結局その日の取り調べは終了。続きは後日に行われることになります。

4日目 ~事件のカギ~

カレー好きの整に、ゴミ捨ての件のアドバイスのお礼として、カレーそばを差し入れする池本。

整は「カレーライスじゃないところにカレー味をかけるのは嫌なんですが・・」とぶつくさつぶやきながら、隣の風呂光にこう言います。

「家宅捜索の際、果物ナイフはキッチンの引き出しにありましたか?もしなかったのなら、玄関のカギにピッキングの跡がないかどうか、大家さんが留守中に誰か人をいれてないかどうか確認してください。誰かが僕に罪を着せようとしているので抵抗します。力を貸してください。」

後日――。

玄関のカギに異常がなかったこと、大家さんが人を入れた事実はなく、アリバイもしっかりしていたことを整に報告する風呂光。

そんな中、風呂光が何かに気付いたように「カギを落とした時に合カギを作られたってことはないですか?」と質問。それに対し整が答えます。

「あります。一年くらい前です。でもすぐに大学の近くの交番に届けていたので、事なきを得たと思っていたんですが・・。風呂光さん、調べてください。僕のカギを拾ったのは誰なのか。」




5日目 ~事件の真相~

取調室で藪と対峙し、整が話を切り出します。

「藪さん、思い出したことがあります。寒河江が高3の春、免許を取っていたことです。父親に車を買ってもらったと自慢してました。ところが夏休み明け、寒河江は友達に『模試の成績が悪かったから親父に車を取り上げられたよ』と話してました。

僕の想像ですが、その夏、寒河江は事故を起こした。でも表沙汰にはなっていない。車は父親の手配でこっそり処分された。寒河江は人をひいた。寒河江がひき逃げしたのは、藪さんの奥さんと子どもだったんですね?」

「最初に違和感を感じたのは、僕が『目撃者は皆さんのよく知っている人ですか?』と聞いた時です。藪さんは息を飲んだ。青砥さんの反応とは明らかに違いました。僕は『ああ、知り合いだったんだな』と思いました。」

「次に、ナイフが見つかったマンションのことを『そこ』ではなく、『あそこ』と言いましたよね。『そのお婆さんのことも知っているんだな』と思いました。」

「そして、僕の部屋を捜索すると言ったとき、『押し入れに大麻でも栽培しているのか?ノートパソコンからヤバい履歴でも出てくるのか?』と藪さんは言いましたよね。『どうして今どき、押入れとノートパソコンがあると言い切れるんだろう?』と思いました。僕の部屋に入ったことがあるからなんですね。

カギを落としたんですよ、一年前に。僕のカギを交番に届けたのは藪さんです。あなたは合カギを作り、僕の部屋に侵入して果物ナイフを盗んだ。そして、それで寒河江さんを殺したんですね。ご家族の復讐のために。」

整に全てを暴かれ、思わず「ふっ」と笑い声をもらす藪。

「寒河江は認めましたか?」

藪は答えます。

「否定したよ。寒河江は罪を認めなかった。それだけじゃない。あいつは『自分に妙な言いがかりをつけるな。身内に頼めばお前なんて簡単に消せるんだぞ』と脅してきた。さらに『お金が欲しいならいくらでもくれてやる』と言ってきた。だから俺はあいつを殺した。

お前のカギを拾わなければこんなこと考えなかった。大学に行った際、お前とやつは会釈をしていた。その時、カギを落としたんだ。どう使うか考えていなかったが、一応型をとった。それを見ているうちに色々考えちまってな。そのカギでお前の家へ入り、果物ナイフとコンビニ袋を盗んだんだ。それでノートパソコンに証拠入れて、目撃者を用意した。後悔はしていない。妻と息子も喜んでくれているだろう。」

そう言って部屋を出て行こうとする藪に、整は言います。

「楽しかったですか?復讐は楽しかったですか?聞くところによると、藪さんは刑事の仕事に命をかけていて、家族を顧みずに家にはほとんど帰らなかった。奥さんと息子さんがひき逃げにあった時も、病院に駆けつけなかった。怖かったんですね、死に目にあうのが。現実を見るのが怖かった。

大事だった刑事の仕事も、復讐のためなら捨てられるんですね。どうやって寒河江さんにたどり着いたか知りませんが、膨大な時間と努力が必要だったはずです。復讐のためなら時間を作れたんですか?死に目に駆けつける時間はなくても、その時間は作れたんですね。なぜなら、復讐と仕事のベクトルは同じだから。あなたにとってやりがいのあることだった。生きている時に家族に関わることには、やりがいを見い出せなかったのでしょう。

さっき、奥さんと子どもが喜んでくれていると言いましがが、そうでしょうか。僕が子どもならこう思う。『お父さん、何だか楽しそうだね。あんなに忙しい忙しいって言ってたのに。刑事の仕事が何より大事で、そのために全てを犠牲にしてきたのに。お父さんが忙しいと言っていたのは、僕らに会いたくなかったからで、僕たちが死んだら、もう忙しくなくなったんだね。』」

その言葉に「お前に何が分かる!」と激昂してつかみかかる藪。

「分かりませんよ。藪さんの真実は藪さんにしか分からないし、僕の真実は僕にしか分かりません。確かに、僕は子どもを持ったことはありませんが、でも子どもだったことはあります。親になると忘れてしまうのかも知れませんが、僕は今、子どもの立場で物を言っています。」

「藪さん、もう一つ思い出したことがあります。夏休み明けに寒河江が言っていたことです。

――『模試の成績が悪かったから親父に車を取り上げられたよ。でも、部活の先輩に貸してばかりで、全然乗ってなかったからいいんだけどさ。

寒河江が運転していたんでしょうか?ひき逃げは本当にあいつがしたんでしょうか?寒河江は金を貸してたと言いましたが、借用書は見つからず、あったのは金額とイニシャルの書かれたメモだけです。なら、貸してたんんじゃなくて、脅し取られてたのかも知れませんね。部活の先輩に金をせびられ、車を勝手に乗り回されていた、かも知れない。

寒河江は傍から見れば金持ちのボンボンです。でもそれはあいつのプライドで、そう見せていただけなのかも知れない。寒河江が実際にどんな人間だったのか、あいつの真実は分からない。」

そんな中、息を切らしながら部屋に入って来た風呂光。

「見つかったんですか?」と聞く整に、彼女は答えます。

「はい。実は久能さんに頼まれて、寒河江さんの部活の先輩という人にあたっていました。それで、その中で一人、自分が寒河江さんの車で人をひいたという人が――。寒河江さんが殺されたので、怖くなって自首しようか考えていたそうです。3年前の夏、藪さんの奥さんと息子さんをひき逃げした人です。」

残酷な真実をつきつけられ、目に涙を浮かべる藪。

「あなたも、いつもならここまで調べていたのでしょうが。『タガが外れていた』ってことでしょうか。」

その後、青砥に連れられて外に向かう藪に、整はこう声をかけます。

「藪さん、さそり座ですか?11月生まれですね。ネクタイピンがトパーズだ。ネクタイの色も臙脂(えんじ)色で、さそり座の色ですね。奥さんのプレゼントですか?服の下に腹巻きをして,足首にウォーマーをして、新しいものじゃない。奥さんが用意してくれてたんでしょう。

奥さんはあなたの無事を祈り、身体を心配していた。あなたはそれをしてあげたことはありましたか?奥さんの好きな花を、仏壇やお墓に飾っていますか?お子さんの好きな食べ物を供えてあげてますか?復讐じゃなく、そういうところに時間を使いましたか?まずはそれをしてみてはどうでしょうか。

トパーズの語源には『探し始める』という意味があるそうです。きっと今でも見つかるはずです。家の中に、写真の中に、お二人の好きなものが――。」

1ヶ月後 ~新たな事件~

アパートでカレー作りにいそしむ整。するとチャイムが鳴り、玄関に出てみるとそこに大隣警察署の池本が立っていました。

池本はずかずかと部屋に上がり込んできて、子どもが産まれたことを整に報告。さらに育児に対する愚痴を述べて、アドバイスを求め始めます。

そんな中、またチャイムが鳴り、次にやって来たのは何と風呂光。池本に、現在警察で問題となっている連続殺人事件のことを話し、それを聞いた池本が思い立ったように「前の時みたいに、今回の事件も推理してくれない?」と整に懇願します。もちろん整はそれを拒否。美術館に行く予定があるからと言って、二人を追い返します。

数時間後――。

道端に整が持っていた美術館のチケットが落ちているのを見つけた風呂光は、心配になって整の携帯にメールを送ります。

風呂光からのメールを受信し、チケットを落としたことに気付いた整。

乗っていたバスの運転手に声をかけようとすると、突然一人の男が現れ、整にナイフを突きつけてきます。

バスジャック犯によって乗っ取られてしまったバス。

整はおそるおそる手をあげて、犯人にこう確認します。

「あの・・、3時までには終わりますか?」





 お疲れさまでした。

 ドラマ第1話は

 ここまでです。

最初から最後まで全て取調室の会話劇でストーリーが展開するという、ドラマとしては異色のスタイルを見せた「ミステリと言う勿れ」。

視聴者をあっと言わせる結末のどんでん返しはもとより、ミステリーの醍醐味とも言える伏線の回収も秀逸で、ドラマとして非常に完成度の高い仕上がりになっていたように思います。

そんなドラマの中で特に印象に残ったのが、整の次のセリフです。

「真実は一つではなく、人の数だけ存在する。」

人は主観的な生き物であり、自分の主観の世界から抜け出すことはできません。いくら相手を理解しようとしても、相手そのものになることはできないし、まったく同じ境遇に立つことでもない限り、その気持ちを全て慮ることはできません。主観にとらわれない第三者的視点に立てるのは、神のような存在だけでしょう。

作中で引用された「ゴミ捨て」の話を見ても、夫は家事である「ゴミ捨て」(=ゴミを出しに行くこと)をきちんとしているのだから自分に感謝してほしいと妻に思っていて、反対に妻は、「ゴミ捨て」は分別・取り替えなど目に見えない面倒な作業を含めたもので、ゴミ出しに行っただけで家事をした気にならないでほしいと夫に思っています。

どちらもそれぞれにとって真実であり、嘘ではありません。しかし、視点・見方の重きをどちら側に置くかで、現実は全く違った様相に映ってきます。

物事は一側面から見るだけでは何も分かりません。一部の情報だけで全てを理解したような気になることで偏見や先入観が生まれ、結果、取り返しのつかない悲劇やえん罪が引き起こされてしまいます。

整が発する言葉には、既成概念にとらわれた私たちに新たな気付き・視点を与えてくれる強い力があり、そんな彼の不思議な話術に魅了されて、作中の登場人物たちは知らずに知らずに心を解きほぐされてしまうようです。

さて、バスジャック犯にバスを乗っ取られて終わった物語。次話で、整がその犯人とどんな会話劇を見せることになるのか。同時に起きている連続殺人事件の捜査の行方も含め、非常に気になるところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ドラマ情報

『ミステリと言う勿れ』

――関西テレビ 毎週月曜 夜9:00~
公式サイト
https://www.fujitv.co.jp/mystery/
原作:『ミステリと言う勿れ/田村由美』(小学館『月刊フラワーズ』連載中)

【Amazon.co.jp】ミステリと言う勿れ(1) (フラワーコミックスα)

脚本:相沢友子
(『トレース~科捜研の男~』、『人は見た目が100パーセント』、『鍵のかかった部屋』)
音楽:Ken Arai
主題歌:King Gnu 『カメレオン』
(ソニー・ミュージックレーベルズ)
プロデュース:熊谷理恵(大映テレビ)、草ヶ谷大輔(『トレース~科捜研の男~』、『コンフィデンスマンJP』、『人は見た目が100パーセント』)
演出:相沢秀幸、品田俊介、松山博昭(『トレース~科捜研の男~』、『信長協奏曲』、『鍵のかかった部屋』、『LIAR GAME(ライアーゲーム)』シリーズ)

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