【月9ドラマ】「イチケイのカラス」第1話のあらすじと感想(ネタバレあり)

判決を下す裁判官のハンマードラマ

 こんにちは、

 りんとちゃーです。

先日の4月5日(月)にドラマ「イチケイのカラス」第1話が放送されましたが、皆さんはご覧になられましたか?

このドラマは、「黒木華」と「竹野内豊」主演の、裁判官を題材にした法廷劇で、初話から実に面白い内容になっていました。

■ドラマの簡単なあらすじ


堅物で合理的、裁判官としての仕事を流れ作業のように事務的にこなす坂間千鶴と、それとは対照的に、常識にとらわれない自由な発想とゆるい性格を持つ風変わりな裁判官、入間みちお。そんな2人がタッグを組み、合議制という複数の裁判官による裁判で事件を担当していくことになり――

記事では、以下のことをまとめています。

主要登場人物の紹介
あらすじと感想+気になる用語・法律の解説
ドラマ情報(公式サイト・スタッフなど)

ドラマを見逃した人でも物語の大まかな概略が理解できるように、なるべくセリフを交えて詳しめにまとめました。

ストーリーの把握や内容のおさらいとしてご活用ください。




登場人物

坂間 千鶴(黒木 華)・・東京地裁第3支部の第一刑事部(通称:イチケイ)に配属された裁判官。何事も合理的に考えるタイプ(いわゆる堅物)で仕事は機械的にこなす。ストレス発散のために大量のお肉を食べることがある。
入間 みちお(竹野内 豊)・・常識にとらわれない型破りなスタイルで事件の真相を調べ上げるくせ者裁判官。千鶴とは対照的なゆるい性格で、ふるさと納税の返礼品を収集するのが趣味。元弁護士で、過去のある出来事がきっかけで裁判官をしている。
駒沢 義男(小日向 文世)・・刑事部の部長。東大法学部出身。現代の司法を立て直そうという野心から、入間に裁判官になるように依頼。最近はスマホ課金にはまっている。
石倉 文太(新田 真剣佑)・・書記官で元傍聴マニア。みちおの大ファンで、彼の話を最前列で見るために書記官の職に就いた。家はそば屋。千鶴に対して好意を持っている。
日高 亜紀(草刈 民代)・・日本に15人しかいない最高裁判所の裁判官の一人。通称『女帝』。千鶴と同郷で、地方研修所の教官を務めていた。入間を見知っており、過去に大きな因縁がある。




あらすじと感想

判決を下す裁判官のハンマー

男とバッジ

船の上――。

一人の男性(竹野内豊)がバッジを海に投げ捨てようとし・・。

そこから男性の過去の回想シーンに変わり、何か法廷のようなところ、さらに『私は無実です』と書かれた手紙が映し出されます。

▶▶導入部から視聴者を惹き付ける気になる描写です。バッジは弁護士バッジでしょうか、だとしたら彼はなぜそれを捨てようとするのか、過去にいったい何があったのか、とても気になります。

堅物女性裁判官

東京地裁第3支部にやって来た一人の女性(黒木華)。

裁判所の前で反対運動をする住民たちに目もくれず、第一刑事部(通称:イチケイ)に入室。「特例判事補としてやってきました、坂間千鶴です」と刑事部の皆にあいさつをします。

それを歓迎して迎え入れる主任書記官の川添博司(中村梅雀)。

彼は千鶴に刑事部のメンバーを紹介します。

書記官の「石倉文太(新田真剣佑)」と「浜谷澪(桜井ユキ)」、そして新人事務官の「一ノ瀬糸子(水谷果穂)」

その後、中学生の法廷見学の質疑応答に答えて欲しいからと、法服を着るように頼まれた千鶴ですが、「公判でもないのに必要ないでしょ」と言って断ります。

そこへあいさつにやって来た第一刑事部部長の駒沢義男(小日向文世)。

彼は、千鶴にこう言います。

「凛としていて法服が似合いそうですね。それに、坂間さんに憧れる未来の裁判官が生まれるかもしれないですね。」

▶▶駒沢の巧みな「おだて言葉」に、千鶴はまんざらでもない様子でした。よほど嬉しかったのか、結局、彼女は法服を着て質疑応答に答えることになります。




子どもたちと質疑応答

中学生からの質問に対して、千鶴は簡潔に答えを述べていきます。

質問①「法服が黒なのはなぜですか?」

――「黒がどんな色にも染まらないということから、裁判官の公正さを象徴しているの。」

質問②「法廷によって裁判官の人数が違うのはなぜ?」

――「一人で審議する事件を『単独事件』。3人で審議する事件を『合議事件』と言って、審議内容によって変わってくるの。」

質問③「裁判官はもてますか?」

――「あなたはどういう趣旨でそういう質問をするのかしら?」

▶▶堅物過ぎて千鶴には冗談が通じないようです・・。

質問④「判決を出すときに悩みますか?」

――「基本的に悩まないわ。検察は綿密な捜査をしていて(疑似裁判的役割)、そこで得た証拠をもとに起訴を決定している。そしてその起訴は99.9%の確証がないと行われない。だから、悩むことなんて無いの。」

さらに彼女は次のようにつけ加えます。

「裁判官は1人で250件前後の事件を担当している。

処理した事件数が新規事件を上回れば『黒字』、逆の場合は『赤字』。

『赤字』が出ないようにすることが裁判官の最も大事なことよ。

「まるでサラリーマンみたいだな・・」とざわつく中学生。

そこへ引率の先生と思しき男性(竹野内豊)が次のように発言します。

「僕はこう思うな。裁判官として大事なのは、話を聞いて聞いて聞きまくって、悩んで悩んで悩みまくって、一番いい答えを決めること、違うかな?

君は裁判官として優秀なんだろうねぇ。でも、悩まないことに悩むことになるよ。」

▶▶機械的に仕事をこなす千鶴への批判めいた言葉。悩まないことに悩むというのは、裁判の場に感情を持ち込まないことで起きる『悩み』を指すのでしょうか。この発言には、どうも彼の過去の出来事が関係しているみたいです。

侮辱的な言葉を受けたことでいきり立つ千鶴。

そのまま刑事部に戻ってくると、なんと先ほどの男性の姿が・・。

思わず不法侵入だと言って男性を取り押さえますが、「同業者だよぉ~」と言われて、彼が同じ裁判官(判事:入間みちお)だと知ることになります。




ふるさと納税返礼品

刑事部で何やら謎めいたものをいじる入間。

気になった千鶴が彼に「なんですかそれは?」と尋ねると、入間は「ふるさと納税の返礼品だよ」と答えます。

実は彼は、返礼品収集マニアだったのです。

入間みちおの返礼品コレクション


・エゾシカの角(北海道)

・ローラーボード(群馬県)
・あすなろ鉄道のつり手(四日市市)

・干しなまこ(東川市)

そこへ、駒沢から「千鶴さんには入間くんと組んで合議事件にあたってもらうよ」と突然言われ、千鶴は事件を入間と一緒に受け持つことになります。

受け持つことになった事件の概要は次のとおりです。

案件:傷害事件
被告人:長岡誠(22)
被害者:江波和義(55)

それを聞き千鶴は、「こんな事件に合議制なんて必要ない」と言い、さらに「この支部は『赤字』なの。会社で言えば倒産寸前。それを立て直すためにやって来たの」と、ここへ来た理由を語ります。

▶▶次々と事件を処理し、常に『黒字』続きだった千鶴にとって、この刑事部の『赤字』の現状は理解できないものだったみたいです。実際のところ『赤字』は、それだけ一つの事件に時間をかけているという証拠なのですが・・。

第一回公判

裁判長として、まず入間が自己紹介をし、駒沢と千鶴も合わせて紹介。

被告人の長岡誠(萩原利久)に対して「あなたには黙秘権があります」と説明し、続けて発言します。

「今での過程で言えなかったことがあったら遠慮なく言ってください。
警察、検察が調べたことが必ずしも正しいとは限らないから。」

▶▶99.9%の確証によって起訴した警察・検察の捜査を絶対的先入観で見ない入間の姿勢。常に正しさを疑い、被告人の真の心を探ろうと試みるスタンスに、裁判官として異端と言われる彼の特殊性を感じました。

それを受け、被告人は思わず留めていた気持ちを吐露します。

「俺は悪くない、俺から殴ってないんです。向こうから殴ってきた、だから応戦したんです。」

予想外の被告の陳述に、検察はあわてて事件の背景を説明します。

「被害者は代議士の江波和義。
被告人の父親(長岡洋一郎)は、江波の秘書。

2ヶ月前、不正献金疑惑で検察がマークしていた矢先に、長岡は電車に飛び込み自殺。献金の目的は、女性に金品を貢ぐため。

濡れ衣を着せられたと恨みを持った被告は、江波を呼び出して一方的に暴力を与えた。

――よって、先程の被告の陳述は虚偽であると考えられます。」

その後も、「父の死は自殺じゃなくて踏み切りの故障による事故だ」と訴え続ける被告人。

その理由は、「父が亡くなった日の朝に、就職祝いに飲みに行こうと約束していたから、それを破るはずがない」というものでした。

一連の陳述を聞いた千鶴は、事件の合理的な判決として次のように考えます。

「前科はないが反省の色がない、経緯はどうでもいいとして、主張には信憑性がない。懲役1年6ヶ月で執行猶予なしが妥当だろう。」

そう考えていると、入間が突然こんなことを言い出します。

「この公判では『経緯』が大切だな、2人の騒動の大元は2ヶ月前の長岡の死にある。

よし、『自殺』か『事故』かはっきりさせよう。」

すると、まわりから何やら「あれが出るぞ・・」との声が。

入間は得意顔で言い放ちます。

「職権を発動します。裁判所始動で捜査を行います。現場検証を行います。」

法廷の一同はこの言葉を聞いてあっけにとられます。

気になる法律『刑事訴訟法 第128条【検証】』


裁判所は事実発見のため、必要がある時は検証することができる。

閉廷後、「事件に関係のないことを調べてどうするんですか?」と詰問してくる千鶴に対し、入間はこう答えます。

「負けた感じが嫌なんだよなぁ・・。

このままじゃ被告人は、反省しないかたち、本人が納得しないかたちで実刑を受けることになる。そうなったら出所した後にまた罪を犯す可能性だってある。

すべて分かった上で、この事件に関わった全員にとって一番いい判決を下したい。これは譲れない。」

▶▶大切なことは起きた事でなく、『なぜ』それが起きたのかを知ること。事件の経緯・背景そして、罪を犯した被告人の声に親身になって耳を傾けること。それを軽んじてはいけない。そんな風に彼は考えているみたいでした。




第一回現場検証

事件現場の踏み切りへとやって来た刑事部のメンバー。

目の前で女の子が踏み切りに花を手向けています。

それを傍目に現場検証が開始。

夕日で電車が見えにくいこと、さらに、踏み切りが故障していても電車が来る音は聞こえるなどが話し合われる中、入間は周囲の騒音が気になっている様子です。

彼はこう言います。

「日をあらためてもう一度調べよう。」

▶▶もう一度現場検証という流れになり、「絶対にありえない!」と千鶴はかなり苛立ちます。そのストレス発散のためか、自室で肉をバカ食いする彼女の姿に、さすがにちょっと引いてしまいました。ちなみに、入間も千鶴と同じ裁判官官舎に住んでいるみたいです。

乙姫の罪状

夜中に入間の部屋を押しかけて、二度目の現場検証が必要ないことを律儀に抗議文付きで抗議する千鶴。

それを受け、入間は質問を彼女に投げかけます。

「うらしま太郎の乙姫、君ならどう裁く?」

■豆知識『うらしま太郎のあらすじ』


うらしま太郎は浜辺で子どもたちにいじめられている亀を助けました。助けてもらったお礼に、亀はうらしま太郎を龍宮城に連れていきます。そこで、うらしま太郎は乙姫と出会い、2人は互いに惹かれ合います。

 

――それから数日後、乙姫から玉手箱を渡されたうらしま太郎は地上に帰還。しかし、家もなく母もいなかったうらしま太郎は自暴自棄になり玉手箱を開けてしまいます。すると、なんとおじいさんになってしまい、うらしま太郎は途方に暮れてしまうのでした。(おしまい)

「さて、乙姫の罪状は?」

それへの千鶴の回答はこうです。

「地上とは時の進み方が違う龍宮城に連れて行ったことへの『詐欺罪』。

また、玉手箱のけむりは明らかに『危険物』であるのに、その明確な使用目的を告げずにうらしまに持たせ、彼を老化させて、苦痛を与えた。

さらに、けむりの量を間違えていたら死んでいたかも知れないから、『殺人未遂』も視野に入れるべきです。」

千鶴の明快な答えを聞いて入間は

「本当にそうかなぁ?決められないなぁ・・、乙姫が『なぜ』玉手箱を手渡したのか?それを知ってからじゃないとなぁ・・。」

と返します。

そして、「こっちで現場検証しておくから来なくていいよ」と彼女に言い放って玄関のドアを閉めてしまいます。




第二回現場検証

入間にああは言われたものの、結局現場にやって来た千鶴。

しかし、言い出したはずの本人が現場にあらわれません。

時刻がちょうど長岡が亡くなった時間になった頃、遠くの方に入間が姿を現し、何やら大声で叫んでいます。

しかし、その声は周りの騒音のせいか何も聞こえません。さらに、電車の近づく音すらも聞こえない状態です。

近づいてきた入間は「これは偶然じゃないよ」と言い、その原因が再開発の工事にあるのだと説明します。

▶▶ここで最初のシーンのビル建設の反対運動のビラにつながる展開になっていました。ビラをどうでもいいものとしてゴミ箱に捨てていた千鶴に対し、それに目をつけ、日照権の問題だけでなく騒音問題も含んでいたことに気付いた入間の観察眼には感心の限りです。

入間の説明内容は以下のとおり。

建設現場の作業記録によると、当時も今と同じくらいに重機が稼働。

 

さらに、原因はこの作業音だけでなく高速道路の交通量の増加も関係しており、その2つが組み合わさったことで、他の音がかき消されたと考えられる。

 

実際に、高架下の騒音レベルは『110dB』で、通る電車の騒音レベルは『85dB』。

 

2つの周波数が近かったことが相まって、電車の音が消されることになった。これを専門用語で『サウンド・マスキング効果』という。

■気になるワード『サウンド・マスキング効果』


聞きたい音と同時に周波数が似た別の大きな音が聞こえると一方が聞こえなくなる特性(マスキング効果)と、騒音の中でも人の話し声は聞き取れる特性(カクテルパーティー効果)の2つの効果を利用して、特定の音を包み隠す技術を「サウンドマスキング」と呼ぶ。

この説明を聞いたことで、長岡の一件に対して『事故』の可能性が膨らみ、警察が自殺だと断定した理由は何だったのだろうと、目撃証言をあらためて確認する流れになります。

証言記録に載っていたのは『相馬真弓』という女性。

入間は彼女を法廷に呼ぼうと言い出し、さらにもう一人、江波議員(勝村政信)も証人尋問しようと大胆なことを言い出します。

第二回公判

裁判所に江波議員が呼ばれたことでマスコミが殺到。

記者に質問攻めにあいながら刑事部に入室した千鶴は、カレー屋さんの格好をしている入間を見て驚きます。

どうやら彼は、マスコミ対策のためにコスプレをしていたみたいです。

ちなみに、部長も同様に傍聴人のコスプレをしていて、彼の場合は双眼鏡をぶら下げて、野鳥の会に所属する定年退職した公務員に人物像を設定するという芸の細かさです。

その後、場面は法廷へ――。

証人尋問が開始されます。

「長岡が自殺する直前に一緒でしたか?」という検事の質問に対し、江波はこう答えます。

「はい、不正献金を受け取って、クラブの女性に貢いだと本人から告白されました。

特捜が動いているからもう逃げられないと。死んでお詫びすると言ってました。

そして、自ら電車に飛び込んで命を落としたんです。」

次に目撃者への尋問。相馬真弓が陳述します。

「勤務していた工場からの帰り際に、偶然その場を通りかかりました。

2人の男性が何かを話していて、一方の男性が踏み切りのほうに歩き出したんです。

そして、電車が来て、遮断機が降りてなくて、そのまま彼は線路内へ飛び込みました。」

そこで、入間が彼女に確認をとります。

「当時の現場は、電車が来ていることに気付きづらい状況でした。長岡さんは電車に気付いていましたか?」

「はい、気付いていたと思います。」

と証人。

証人が虚偽の証言をする理由はもちろんなく、『自殺』の方向性が高まります。




女帝あらわる

閉廷後、通称『女帝』と呼ばれる、最高裁判所の判事「日高亜紀(草刈民代)」があらわれます。

実は、彼女は千鶴と同郷(同じ長崎出身)で、地方研修所の教官と生徒の関係。さらに言うと、支部の立て直しという今回の千鶴の派遣は、彼女の指示によるものでした。

彼女は愚痴るようにこう言います。

「今回の一件のせいで、江波や検察サイドから抗議が来ているわ。これは誰かに責任をとってもらわないと。裁判長を交代してもらえないかしら?」

しかし、入間は「僕は拒否しますよ」と頑なに裁判長を辞めないと主張します。

▶▶千鶴以上の堅物の日高亜紀に対して、一筋縄でいかない手強さを感じました。上部組織のエリートに対する偏見かもしれませんが・・。ちなみに、入間は日高に面識があり、2人の過去には何が大きな因縁があるようです。

■気になる犬『みちこ』


そば屋を営む石倉の家に居候中の犬の名前。入間が昔の弁護士仲間から引き取ったが、官舎では飼えないので石倉に代わりに飼ってもらっている。

踏み切りの少女

証拠調べのために相馬の周囲の人間の聞き込みをしていた千鶴。

気になる法律『刑事訴訟法 第298条【補充的証拠調べ】』


裁判所は必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることができる。

彼女は、調べたことについて入間に話します。

相馬真弓は2年前に離婚。現在はシングルマザー。
小学3年生の娘と暮らすが、もと夫から生活費は送られていない。
今は工場を退職し、事務員として働いている。

その話を聞いて、入間は次のように彼女に言います。

「踏み切りで花を手向けていた女の子の名前は相馬菜々、小学3年生。相馬真弓さんの娘だよ。」

思いがけぬ彼の発言に「どういうこと?」と千鶴は驚きの声をあげます。

3人の苦しみ

公園で千鶴とともに相馬の娘(菜々)に逆上がりを教える入間。

そこへやって来た母親の真弓に入間は、「忙しそうなので私たちの方から出向きました」と告げます。

■気になる法律『刑事訴訟法 158条【所在尋問】』


証人の年齢、健康状態などを考慮して必要と認められる場合に、証人の現在場所で尋問を行うことができる。

入間は続けて言います。

「長岡さんの亡くなった2ヶ月前から菜々ちゃんは踏み切りに花を手向けていました。

僕には彼女が苦しんでいるように見えました。

被告人の長岡さんは真実が明かされない『苦しみ』を。あなたの娘さんは真実を言えない『苦しみ』を。そして、あなた自身も『苦しみ』を抱えている。

裁判が終わればその『苦しみ』は永遠に続きます。僕は、裁判官として放っておけないんです。」

そして、「もう一度話を聞かせてください」と、入間は彼女にあらためてお願いをします。




第三回公判

「長岡さんの死の真相が分かりました」と言って、法壇から降りる入間。

彼は相馬真弓が話してくれた真実を被告人に向けて語ります。

「やはり自殺でなく事故でした。

でも電車が来ていることに気づかなかったのはあなたの父親ではありません。

気づかなかったのは相馬さんの娘の菜々ちゃんです。

菜々ちゃんを助けるために、長岡さんは踏み切りに飛び込みました。

相馬さんが虚偽の証言をしたのは、江波議員に頼まれたからです。
彼女の勤める工場の主要取引先と江波議員には懇意な関係があり、江波議員から頼みを断ったら取引を終わらせると脅されました。

さらに、江波議員から工場を辞めて大手企業で働くようにと勧められていました。
その話に乗れば嘘に加担すると彼女は分かっていましたが、断れなかった。

それは、彼女が『今の生活が少しでも楽になるのなら・・』と思ってしまったからです。

彼女はその苦しい内情を涙ながらに語っていました。『命の恩人なのに・・、その息子さんと、菜々が苦しんでいるのに・・』と。」

そんな入間の言葉を聞いても「事実無根だ、すべて嘘だ」と言って断固として否定の姿勢を崩さない江波議員。

その様子に千鶴は我慢できず叫びます。

「嘘をついているのは、そっちでしょう!」

▶▶堅物で何でも合理的・理性的に考える千鶴が見せた感情を爆発させる瞬間。権力を持つものが私利私欲のためにその力を乱用したことに、さすがの彼女も堪忍袋の緒が切れたみたいです。機械的に仕事を処理する彼女にも、絶対に譲れない正義というものがあるのだということがあらためて感じました。

今まで言ったことのないことを叫んでしまい、恥ずかしくなる千鶴。隣の駒沢も思わず「静粛にしてください」と言ってしまいます。

それから、相馬が聞いていた江波と長岡の本当の会話内容が明かされます。

「先生の不正を見て見ぬ振りなんてもうできない。黙っていられない。公表します。息子はこれから社会に出ていく。その息子にこのままでは顔向けができない。」

さらに検察サイドから次の言葉。

「目撃者の証言をもとに不正献金疑惑について再捜査する方針です。江波議員は、長岡の死を利用して金銭の流れを偽装工作した可能性があります。記者に頼んで嘘の情報を書かせたという証拠もあります。」

立場がまずくなったのか法廷から慌てて逃げ出す江波議員。

最後、入間は被告人の長岡誠に、菜々ちゃんが拾ったとされる父親から息子に贈られるはずだったプレゼント(腕時計)を手渡します。

そこには、こんなメッセージが書かれていました。

「おめでとう!社会に出れば、大変なことは山ほどある。でも、頑張れ!負けるな!誠。父さんは応援してるからな。」

その文字を見た誠は、父と約束した朝の情景を思い出し思わず涙を流します・・。

そんな彼に入間は言葉をかけます。

「あなたのお父さんは不正に気付いて見て見ぬ振りをしてきた。でも、それを公にしようとしていた。

そして自殺でなく、子どもを助けようとして命を落とした――。

この事実をどう受け止めるかはあなた次第です。

次回、判決を言い渡す前に何か話したいことはありますか?」

被告人は答えます。

「私から殴りました。どうしても許せなかったから・・。

『父は不正をしていない』と問い詰めたら、江波は父さんのことを『無能だったよ、死んでくれて良かったことは、これ以上バカに関わらなくて済んだことだ』と侮辱してきました。

それで殴りました。嘘をついていました。申し訳ありません・・。」

▶▶はじめの公判の時、「江波が殴った」と言って本当のことを語らなかった被告人の真実の言葉。真相がわからないままに、何も納得できない状態で罪を認めることや償うことはやはりできないのでしょう。もし、事件が単独事件として機械的に処理されたら、彼は罪を反省しなかったかも知れません。今回の出来事を通して、司法というシステムが抱える大きな問題点を強く見せつけられたような気がしました。

入間はもちろん最後にこう締めくくります。

「これで正しい判決が下せます。」




正しい判決

閉廷後、第一刑事部で――

駒沢・入間・千鶴の3人によって今回の事件の判決の話し合いがなされます。

入間の出した判決は以下のようなものです

懲役1年6ヶ月 本人の反省が見られるので執行猶予あり

それを聞いた千鶴は、入間が言っていた『乙姫が玉手箱を渡した理由』について、自分なりに調べたことを伝えます。

「室町時代のおとぎ話にこんな後日談があるそうです。

玉手箱をもらっておじいさんになったうらしま太郎はツルに姿を変えます。

そしてそこで、なぜ玉手箱を手渡されたのかをうらしま太郎は理解します。

『龍宮城と地上では時間の流れが違う。だから地上に戻れば自分は死んでいた。ツルに生まれ変わったことで千年の命を持ち、生き続けることができたのだ・・』

その後、亀に姿を変えた乙姫と再会し、2人は永遠に結ばれることになったそうです。」

それを聞いて入間は「本当なの?」と知らない素振り。

「甥っ子に教えてあげなきゃ」とスマホをいじりだす始末です。

そんな彼を傍目に、今回の判決に対して彼女はもちろん「異論なし」の答えを出します。

――最後、駒沢からこんな一言。

「入間くんが今回の事件を合議制にしたのは、あなたに伝えたいことがあったらからなんですよ。」

▶▶入間の伝えたいことと言うのは、おそらく彼が千鶴に向けて最初に言った「裁判官として大事なことは、話を聞きまくること、悩みまくること、そして一番いい答えを決めること。」のことでしょう。今回の事件を通してどれだけ千鶴にその思いは伝わったのでしょうか。

イチケイのカラス

和歌山のふるさと納税返礼品だとされる大きな荷物を運ぶ入間と千鶴。

中を開けてみると、そこから出てきたのは不思議な「カラスの絵画」。

それを眺めながら、入間は千鶴にこう告げます。

「カラスになれ。

イチケイのカラスになれ・・、坂間千鶴。」

そして、場面は冒頭の船のシーンへ――

弁護士バッジを捨てようとしていた入間は、駒沢からこう依頼されます。

「あなたには裁判官になって欲しい。いつの日か、あなた自身の手で裁いて欲しい。この国の『司法』を。」





 お疲れさまでした。

 ドラマ第1話は

 ここまでです。 

初回ということで拡大版での放送でしたが、その時間の長さをまったく感じないくらい充実した内容になっていました。

特にセリフ・出来事の伏線的つながり合いが秀逸で、後半にそれらが見事に回収される展開には驚かされてしまいました。

また、堅物の千鶴が入間と出会うことで少しづつ感情的になっていくというストーリーにも面白さがあったと思います。

はたして、入間が弁護士をやめるきっかけになった過去の事件や、ドラマタイトルにもなっているイチケイのカラスの意味とは何なのでしょうか?

気になる要素がいっぱいで、それらが明らかになるであろう次話が非常に待ち遠しい限りです。

春のはじめに優れた良作に巡り会えて、また楽しみがひとつ増えましたね。

 

 




ドラマ情報

「イチケイのカラス」

――フジテレビ系 毎週月曜日  夜9:00~

公式サイト
https://www.fujitv.co.jp/ichikei/
原作:浅見理都

「イチケイのカラス」(講談社モーニングKC刊)

脚本:浜田秀哉(『絶対零度』シリーズ、『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』他)
音楽:服部隆之
プロデュース:後藤博幸(『SUITS/スーツ』シリーズ、『ほんとにあった怖い話』シリーズ他)、有賀 聡(ケイファクトリー)(『カンナさーん!』、『初めて恋をした日に読む話』他)、橋爪駿輝(『嫌われる勇気』、『ペンション・恋は桃色』他)
編成企画:高田雄貴(『刑事ゆがみ』、『黄昏流星群』他)
演出:田中 亮(『コンフィデンスマンJP』、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』他)、星野和成(『チーム・バチスタ』、『SUITS/スーツ2』他)、森脇智延(『SUITS/スーツ』シリーズ、『ほんとにあった怖い話』シリーズ他)、並木道子(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『モトカレマニア』他)
制作協力:ケイファクトリー
制作・著作:フジテレビ第一制作室

▼出演者▼


○入間 みちお  ・・ 竹野内 豊
○坂間 千鶴   ・・ 黒木 華
○石倉 文太   ・・ 新田 真剣佑
○井出 伊織   ・・ 山崎 育三郎
○浜谷 澪    ・・ 桜井 ユキ
○一ノ瀬 糸子  ・・ 水谷 果穂
○川添 博司   ・・ 中村 梅雀
○城島 怜治   ・・ 升 毅
○日高 亜紀   ・・ 草刈 民代
○駒沢 義男   ・・ 小日向 文世

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